今年はこうなる、 2023年ひろの大予想|バンクーバー在住の人気ブロガー岡本裕明

 トルジャの読者に毎年お届けしているひろの大予想は今回で11回目を迎える。2022年の予想は2/3ぐらい当たったようだ。「コロナは消滅する」は消滅こそしていないが状況は大きく改善した。「戦争が起きる」はズバリだ。「脱炭素のコスト」で物価高を予想した。「株価の予想は困難」も専門家すら悩ましい状況にあるのは御承知の通り。「日本のプレゼンス」で岸田政権は案外長期政権になるとしたが、これも今のところは外していない。全然だめだったのが「カナダの不動産は記録的上昇」や「仮想通貨元年」「アメリカ中間選挙、民主党は散々」。予想は難しいが予想をすることに価値があるということで今年もどうかお付き合いを。

ひろの大予想1:混とんとする社会

 不景気の上に人間関係がギスギスする。理由は過度のSNSが人間同士のコミュニケーションと連携を妨げたからだ。人々は不満を言い、ごく一部の自分と価値観を共にできる人としか信頼関係を築けない。これは国家間でも同じ現象が起きる。まさに人類の危機ともいえる。

ひろの大予想2:ウクライナ戦争は停戦に

 複数の国の代表者が仲介役となり、ウクライナとロシアは停戦合意する。戦後処理を巡り社会的圧力に屈し、プーチン氏は退陣する。またウクライナでもゼレンスキー氏が一連の責任をとり大統領を辞任する。新しいウクライナを築くために世界は知恵を絞り、一種の信託統治方式をを受け入れることになろう。

ひろの大予想3:物価高は春には収まるがコロナ以前には戻らない

 今回の物価高の最大の引き金は戦争ではない、物流や原油価格でもない、実はコロナにある。人々の働き方が変わり、労働生産性が落ちたにもかかわらず、賃金だけが上昇したからだ。働き方が変わったというより人々が以前の働き方に戻れなくなっただけだ。賃金は下げられない。唯一の方法は解雇による労働力削減だ。ここには誰もが簡単に踏み込めるわけではない。よって今の物価より下がることはなかろう。

ひろの大予想4:2022年の逆流となるマネーマーケット

 22年ドル円は一時150円を突破した。だが、アメリカの利上げ頭打ちで逆流が始まった。日銀の黒田総裁の退任で更に拍車がかかり、23年には一時120円を切る円高もありうる。日本の株価は円高を嫌うため日経平均はやや弱気の27000円程度が中心レンジとなるか?北米の株価は景気後退に押されるが、その後はある程度回復基調となろう。

ひろの大予想5:中国は習近平体制に黄色信号

 習氏は22年の共産党大会で盤石の体制を生み出したように見える。が、実は布陣が悪い。多くの取り巻きは能力に勝るというより応援団だ。企業でもそうだが、常に内政に緊張感がなければ国政は失敗する。つまり、習氏は自らの人事政策で自らを窮地に追い込むことになるが未だ気づいていない。中国は監視社会を作り出したが、表層支配が14億の民の真の一体化につながるわけではないのだ。

ひろの大予想6:アメリカは脱トランプながらも柱が見当たらず

 国内を二分したトランプ派と反対派の攻防はアメリカ国民の遅すぎた「気づき」でようやく落ち着く。24年に迫る大統領選に向け、国民は一旦腰を据えて自国を見直すことになろう。国民的英雄やリーダー不在のまま方向感を探る1年となりそうだ。イーロンマスク氏はいくら天才であっても言論の圧力に屈するだろう。民主党も共和党も大統領候補となる人物の擁立に苦戦すると予想する。

ひろの大予想7:2023年もずっと岸田氏が首相だ

 就任1年あたりから急速に不人気となり、統一教問題に閣僚の相次ぐ辞任で批判の矢面となっている岸田氏だが、実は経済は世界に比べて安定、コロナ対策も落ち着き、外国人の入国でビジネスも活性化した。諸外国首脳とのやり取りもこなし、広島サミットも控える。他に適任がいないというより自民党の派閥組織の自壊といった方がよい。よって岸田氏が引き続き政権運営をするし、支持率は若干回復する。

ひろの大予想8:日本の少子化人口減は危機的状況に

 22年の出生者数は77万人台と驚愕の減少数をみる。死亡者数は150万人となり、差し引き73万人もの人口減となるだろう。これは徳島県の総人口より多い。我々は今後、毎年都道府県が一つずつなくなるような人口減を経験するはずだ。理由は分母となる女子が減っているからで出生率が多少改善したところで絶対数の減少に歯止めがかかるわけではない。統計の読み間違えだ。

ひろの大予想9:カナダの不動産は根強い人気だが高額物件は不人気に

 複雑な形状の芸術的建物は魅力的だが水漏れリスクが高い相関関係もあいまって超高額な物件の引き合いは厳しさを増す。一方、旺盛な経済移民の受け入れもあり、住宅需要は引き続き高く、カナダの不動産取引は年内に底打ちとなり、じわっとした上昇に転じるだろう。比較的手が出しやすい80〜100万ドル前後の郊外の物件が物色されそうだ。木造集合住宅が改めて注目される。 

ひろの大予想10:WEB3が変える社会

 WEB1がインターネットの記事を読む社会、WEB2がSNSの社会、それに対してWEB3は分散型自立組織とされる。つまり大手が提供するビックデータに支配される社会からより限られたセキュアな世界を生み出す可能性が出てきたわけだ。アマゾンやグーグルはさようなら、になりかねない。WEB3はブロックチェーンの技術が根底にある。そしてそれは国境をも超えるだろう。我々が想像もしたこともない社会が生まれ、アバターと仮想現実の二層構造の社会の実現が一歩、また近づくだろう。

 2010年代と20年代はコロナが生み出した断絶期間を含め、恐ろしく連続性がない社会が生み出された。皆様には断絶のない素晴らしい2023年となればと祈っている。