我々日本人にとって究極の課題「英語!」|バンクーバー在住の人気ブロガー岡本裕明

 トルジャの読者はほとんどが英語を第二外国語として流暢なり片言なり使いながらカナダで日々生活されているのだろう。この英語、日本人にとってこれほど習得に苦労するものだとは誰が思ったであろうか?どうにか、身に着ける方法は無いのか、一緒に考えてみよう。

 私の周りに英語教育の事業をされている方が4〜5社ある。また、私自身、コロナ前まで日本の大手幼児向け英語学校のアドバイザーを短期間だけだがやっていたこともある。生徒や顧客から見れば「英語ぐらいしゃべりたいよね」という気持ち、それに対してサービスを提供する英語学校側も〇〇メソッドといったよくわからないけどなんとなく凄そうな教育方法を打ち出す。その上、普段愛想がない大学教授が「これであなたも英語が自然と耳に入ってくる!」と推薦メッセージがあれば誰でも「英語ペラペラの術」にはまり、イチコロというものだ。

 こんな話は私が大学生の頃にもあった。ある強引なセールスがホテルイベント会場に連れ込み、2時間ぐらい拘束してセールストーク漬けとなるのだ。「はい入会します」と言わないと帰らせてもらえない。私は這う這うの体で抜け出すことに成功した。が、私のクラスメートはそこから脱出できず、何十万円かの教材を買う羽目になったがもちろん、その彼がその後、英語がペラペラになったという話は一度も聞いたことはない。

 私の事業の関係で今、日本の看護師経験者を常時募集しており、ワーキングホリデーやコープビザの若者が毎週のように応募し、面接をさせて頂いている。その90%以上の方々の共通の悩みは英語でこれがクリアできず、アルバイト先も限定され、飲食店のキッチンとか皿洗いをしている方も見受ける。日本で看護師というしっかりした仕事をして、カナダに夢と期待を膨らませてきたのに「皿洗い」ではギャップがあり過ぎだ。

英語がなぜ、上達しないのか、なぜ、〇〇メソッドに頼ってしまうのか、そもそもの理由は何だろうか?

 メソッドに頼るということは自分の英語がうまくないという先入観があるか、英語の成長のバリアに引っかかっているということだろう。だが、ほぼ断言してよいが、〇〇メソッドはほぼ意味がない。英語圏で生まれた子供は10年もすれば一丁前の英語をペラペラ喋る。そこにはメソッドは関係ない。あえて英語のキャッチコピー風に言うなら「英語のシャワー」を浴びるべきなのだが、シャワーは5分か10分で終わるだろう。24時間入っている人はいない。つまり、自分を完全に英語環境に落とし込む以外英語がうまくなる方法は無い。

 もちろん、例外はある。先日、ある高校2年生とZoomでインタビューをした。この学生の英語があまりにも素晴らしかったので驚愕したのだが、小さい時から英語漬けになる努力をしていたそうだ。その努力の中で思わず唸ってしまったのが日本の家で兄妹同士、英語のみの会話を何年もし続けてきた点だ。ご両親は英語が出来ないので兄妹が喋っている内容が全然理解できないと嘆いていたそうだ。
 その彼女が言っていたのは「兄妹で英語会話を始めた時はぎこちない会話内容だったけれど時間が経つにつれ『これどうやって表現したらよいのだろう』と勉強しているうちに語彙や表現力が備わった」と。つまり、ずっと英語環境に落とし込むことで英語がうまくなるのだ。

 せっかくカナダに来たのにルームメートが日本人とか、学校の半分が日本人という環境ではまず英語は上達しない。必ず一人でチャレンジすることだ。さもないと聞き取れない、焦る、悔しい思いをする、恥ずかしかったといった感情が伴う状況に陥ることがないのだ。友達に頼っていると間違えても「あは!」で終わる。これは自分のメンタルに一つも堪えてない証拠だ。

 大学に留学している人が割と英語の上達率が良いのは何故だろう?これは大学の授業でプレゼンテーションが頻繁にあるからだ。これは英語で人前でしゃべるだけではない。それに対しての質疑応答もあるし、担当教授からの厳しい指摘もあるだろう。これは英語ができるのは当たり前でその上に何かを乗せるという行為を続けてきたからだ。これも誰かに援軍を頼むことはできないので一人で失敗を重ねることになる。その時の英語能力の上昇力は加速度的になる。これはほぼ断言してよいだろう。

英語はメソッドに頼る必要は一つもない。唯一、大事なのはしゃべり続けるということだ。しかもオンラインではない。

 なぜならオンラインでは感情表現や恥や嬉しさなどの心理状態がスクリーンというフィルターで邪魔されるからだ。この私だって2週間も日本にいれば急激に英語がさび付くことを感じる。それは日本語に慣れてしまい、英語が奥底に仕舞われてしまうからだ。それを避けるためには常に英語の引き出しを開けておくようにする。

 日本に帰ったら英語喋ることができない、ということはない。10月から日本の入国規制もほぼ撤廃された。外国人は円安も手伝ってどんどんやってくる。その人たちとしゃべるチャンスを作ればよい。それだけだ。高い駅前英語教室に通う必要など全くない。私は今、これを東京で書いているが、私の東京の事業の顧客は世界各地からきている外国人ばかりで英語がビジネスに有利に展開していると断言してよいだろう。

皆さんの英語力がぐんぐん伸びることにフィンガークロス!