株式を買ってみたい人が知っておいて得すること|バンクーバー在住の人気ブロガー岡本裕明

株式を買ってみたい人が知っておいて得すること|バンクーバー在住の人気ブロガー岡本裕明

 コロナで政府からの給付金を利用し、アプリ「ロビンフッド」を介して株式ゲームをしているアメリカ人の実体が話題になった。3月19日を底に右肩上がりの株式市場で大きな利益を手にした人も多いだろう。あるいはコロナで株なんか上がるものか、と片意地を張っていた人は地団駄を踏んだに違いない。今月は株式市場とうまく付き合うのに知っておくべきことを考えてみよう。

自分の性格が放置型か、こまめにチェックするタイプか考えよう

 私は株式投資を中学校2年生の時から始めた。今日に至るまで一度も休んだことはない。だが、お前は金持ちになったのか、と言われたら素直にうなずけない。ブラックマンディ、バブル崩壊、ITバブル崩壊、リーマンショック、コロナ…と様々な衝撃、その度に踏ん張り、また増やし、また減らすの繰り返しだ。

 ただ、投資を経験則から見ると確実に間違いを犯す率は下がっている。それと同時に投資環境が大きく変わることに自分も素直についていく柔軟性を持たせてきた。自分の投資スタイルをお持ちの方も多いだろうが、それに固執していると大きくしっぺ返しを食らう。

 私が20代後半、当時の勤め先の会長秘書だった際、ある夜の集りに会長が遅れるのでお客様を丁重にもてなしてほしいと連絡が入った。そのお客様はN證券のT会長で当時、日本の経済界でも大物中の大物だった。T会長が一人でお越しになり、こちらも一人なのでお酒を提供しながら駄話に及んだ。その際「会長、私も少々株をかじっているのですが、どうやったらもっと儲かるのでしょうか?」と若気の至りで単刀直入に聞いた。

 T会長曰く「そんなこと、わしに聞いてもわからん。昔は人間が市場を動かしていた。今はコンピューターが動かすからな。ワハハハ」。時は1989年である。そんな時代ですでに株式の世界ははるかに進んでいたのだ。

 だが、それはもう一つ意味することがある。人間の永遠無限の欲望をプログラムによって制御し、機械的に判断するということだ。相場の世界に「頭と尻尾はくれてやれ」という格言がある。株をやったことがある人はピンとくると思うが、自分の持っている株価が上がるともっと上がるかな、と欲を出す。するとそのあと往々にしてスルスルと下げるものだ。これを「もうはまだなり、まだはもうなり」という株式格言で欲はほどほどにせよと諭している。

 株式投資の場合、その人の性格により投資のスタイルは変わってくる。気長の人は放置してしまうので儲け損なうが貪欲で攻める人は結果として儲けるコツをつかみやすい傾向はある。よってまず、自分の性格が放置型か、こまめにチェックするタイプか考えよう。放置型は配当株と称する利回りが3%以上あるような株式、ないしREITを選ぶのが得策だ。今、私がカナダで投資する最も高い利回りは20%を超える配当率だ。これは5年で元が回収できる。こんな株もよく探すとあるのだ。

 証券情報でわかりにくいのが配当率で定例の配当金だけで計算されていることだ。一部の銘柄では特別配当がバンバン出るところがある。私が長期で投資するあるカナダの会社は定例利回りは5%前後だが特配が同じぐらい出る。つまり、年10%にもなるが、これは表層のデータとして挙がってこないので丹念に探さなくては分からない。こういう投資先はお宝探しのようなものだ。

 一方、気の短い方はやはり株式の値上がり益を狙いたいであろう。何十年も株式投資をし、100銘柄ぐらいのチャートが頭に入っている者として言わせていただくと株価は生き物だということだ。成熟会社ほど一定のレンジの中で株価が動く傾向がある。このレンジをボリンジャーバンドというのだが、スマートチャートで表示できる。このバンドの中の動きからスイングトレードをする手法がある。私は売買の際にはモメンタムと共に重視している。数多い機能から自分が使いやすいものを選んだらよいのだが、同じ銘柄をずっと持ち続けるよりその銘柄の株価の動きの癖を知り抜き、その波動をうまくとらえて同じ銘柄の売買を繰り返すと案外面白いように儲けられる場合もある。

米大統領が交代したらリセットしてニュートラルからスタートせよ

 最後にカナダの株式の特徴に資源関連の株式が多い点を挙げておこう。これは世界有数だと言ってよい。一方資源株は資源価格そのものより価格変動が大きく、値動きが極めて荒い。倍になったと思ったら半値になったりする。特に金鉱山、銀鉱山、ベースメタルの採掘会社の株価はローラーコースター状態だ。これにうまく乗れるかは商品相場を理解する必要がある。特に金や銀はプレッシャスメタルといい、ベースメタルと区別され、値動きもまったく違う。

 私は最近、ある提言をしている。アメリカの大統領が変わったら今のゲームをいったん終了させ、ニュートラルからスタートせよ、と。アメリカはそれくらい変わる。そして世界の勢力地図も変わる。どう変わるかは私はFPでもないし、それを業ともしていないのでここでは書けないが株式市場というのは地球規模の経済や政治の動きを踏まえながら個別の銘柄がどう影響するのか、というところまで落とし込まねばならない。

 実に奥深いことでこう掘り下げるとワクワクものだ。ただ、「ビギナーズラック」とは株式投資にも当てはまる。初めに小銭を儲けられたので次に大きく張ったら大負けしたという話はよく聞く。皆さんの大事なお金だ。ここはギャンブルではなく、しっかり確実に資産形成ができるように頑張ろう。