ジェイソン・ライトマンのライブリード|トロントと日本を繋ぐ映画倶楽部【第39回】

ジェイソン・ライトマンのライブリード|トロントと日本を繋ぐ映画倶楽部【第39回】

 2023年になりましたが、もう少し2022年のトロント国際映画祭(TIFF)の話を続けます。昨年のTIFFでは、幻となった特別企画「Jason Reitman’s Live Read」がありました。

 「Jason Reitman’s Live Read」は、ジェイソン・ライトマン監督が既存の人気映画の脚本を題材にキャスティングを行い、配役された俳優たちが舞台上で脚本を朗読するもの。普段は映画を上映するTIFFの会場で、スクリーンの前に譜面台と椅子が並べられ、俳優たちが声と少しの身振り手振りで演技を行います。脚本のト書き部分をジェイソン・ライトマン監督が読みながら進む生の朗読劇で、TIFFでたびたび実施されている人気の特別企画です。

 2012年には『アメリカン・ビューティー』(1999)、2015年には『プリンセス・ブライド・ストーリー』(1987)、2018年には『ブレックファスト・クラブ』(1985)のライブリードが、それぞれTIFFで上演されました。2018年には私も現地で観ていたのですが、これがまあ面白い。脚本を読むだけなのに映画の場面がありありと伝わってきて、声の演技だけであれほど魅せるなんて役者さんは本当にすごいものだと感心しきりでした。

『ブレックファスト・クラブ』の最後なんて、ガッツポーズに劇場内は大盛り上がりで拍手喝采。もとの映画の面白さに加えて、映画のキャストとは異なる俳優が声の演技で見せる生の興奮があり、なんとも贅沢な時間でした。

2018年のTIFFの「Jason Reitman’s Live Read」チケットとTIFF公式上映スケジュール
2018年のTIFFの「Jason Reitman’s Live Read」チケットとTIFF公式上映スケジュール

 2022年のTIFFでは、2月に亡くなったジェイソン・ライトマン監督の父親のアイヴァン・ライトマン監督を称え、彼の映画が演目のライブリードが予定されていました。どの作品が選ばれるのかはサプライズとして伏せられており、私はチケット発売を楽しみにしていたのですが、TIFF開幕直前に急遽中止が発表されました。

演目も伏せられたまま中止となり残念に思っていたところ、現地で入手したTIFF公式プログラムブックには、アイヴァン・ライトマン監督の代表作『ゴーストバスターズ』(1984)のライブリードの紹介ページが。いつの日か、このライブリードを上演してほしいものです。