2年前までなら、今時分はそろそろトロント国際映画祭(TIFF)の前売りチケット販売日程が発表され、映画祭に向けて情報が少しずつ出始める頃。でも、新型コロナウィルスの世界的流行を受けて、昨年は映画祭の開幕間際まで情報が錯綜していました。今年も、4月上旬現在ではまだ何も情報がありません。私が再び日本からTIFFのために渡航できる日は来るのか、不透明すぎて悶々とするばかり。
なによりTIFFに行けなかったら、この連載に書くネタが早々に尽きそうじゃないか、という大問題もあって、戦々恐々としています。そんなネタ切れ時限爆弾を抱えながら考えたのは、しばらく昔話でもして耐え忍ぼうかな、ということ。過去のTIFFで遭遇したハプニングや感激エピソードを取り上げつつ、なぜ私がこれほどTIFFに魅せられてやまないのかを書いてみようと思います。
初回となる今回は、そもそも私がなぜTIFFに行くようになったのか?というところから。私が初めてトロントを訪れたのは2009年。それまで、年1回くらいのペースで1週間休暇を取って10日間程度の海外旅行をしており、次はどこに行こうかな、と思っていたときにトロントが思い当たりました。
そういえばトロントって映画祭があったっけ、と調べてみたら9月の開催で、ちょうどシルバーウィークに合わせて行くと良さそうだとわかりました。しかもTIFFは一般人に開かれた映画祭で、映画業界の関係者でなくてもチケットが入手できそうです。そこで2009年の旅先はトロントに決めました。
しかし、そこからが大変でした。当時、一般人で日本からTIFFに行っている人など見当たらず、ウェブで検索しても日本語の情報はありません。仕方なく英語で書かれたTIFF公式サイトを読み込むと、チケットの販売システムや購入方法は徐々にわかってきましたが、その内容はどう考えてもトロント在住者に向けたもの。
極東の日本からチケットを事前購入して映画祭の期間中だけ現地に滞在しよう、なんて観客をまったく想定していない内容でした。そんな中どうやって私がチケットを入手し、その後しょっちゅうTIFFに行くまでになったのか、誌面がなくなったので「次回に続く」としておきます。