コンテンポラリーダンサー・瀬川貴子さん 新作「Echoes: Vibrations from Japan to Canada」を発表

7月28日〜30日「日本文化」を堪能できるイベントが開催 David Crombie Park
【イベント詳細】

小さな子ども連れで遊ばせながらアートに触れられる!

 7月28日から30日までコミュニティー「JAMII esplanade」での作品公開のほか、日本の文化をコミュニティーや多くの人が体験できる。ワークショップと上映会以外はDavid Crombie Parkで行われ、全て無料。

 期間中は、折り紙コーナー、カリグラフィーのワークショップや、墨絵ライブペインティング(3日間通してどんな作品が出来上がっていくかのお楽しみ)、カナダ生まれの日系の俳優が語る紙芝居、ライブ音楽が開催される。

 瀬川さんの新作「Echoes: Vibrations from Japan to Canada」をオタワの太鼓グループ2名とソプラノシンガーとのコラボで1日2回公演。
 27日には、ジャパンファウンデーションとジャパンファウンデーショントロントの共同提供により家族で楽しめる2本の映画が上映される。

瀬川さんに聞く新作「Echoes:Vibrations from Japan to Canada」

©Yves Soglo
©Yves Soglo

 ダンスパフォーマーとしてヨーロッパでダンストレーニングを経て、コンテンポラリーダンサーとして活躍してきて20年が過ぎました。カナダに移住を決め新たなダンスコミュニティーに携わる中、トロントの多文化を目の当たりにし、自分の文化への尊重や重み、そして個性を日本文化とどう組み合わせていくかに興味を持ち始めたのがこの作品の始まりです。

 永住権を取得し、日本人家族としてカナダで生活し、子供が一世として育っていく中、カナダという国にアダプトしていくということに感慨深い感情が出てきました。子供はもちろんのこと、自分たちとは全く異なる世界を見て育ちます。今こうしてカナダで生きていく自分と日本で仕事をして生きていく自分を比べると、少なからず異なる考え方や方法、アプローチの仕方で働いているようにおもいます。どこに本来の自分があり、それを表現者としてどの様に作品にしていくかという観点から今回の作品が生まれました。

 そして、この作品の一部に第二次世界大戦中並びに戦後に亘るカナダでの日本人強制収容の歴史があります。今年が80周年ということもあり、私たちの歴史として理解し忘れず、その中からハーモニーを生み出して行けることを願っています。

©Sasa Gyoker
©Sasa Gyoker

 文化を大事にする意味も含め、この作品では違う視点からも追求し、すでにミックスされたアイデンティティーで生きていく私たちと、本質的に2つの国(もしくは3〜4カ国)が混ざり合い、生まれてきた次世代に繋げていける作品の象徴として皆さんに共感してもらえたらと願います。

●創作活動の源となっている信念や想いをお聞かせください。

 今まではツアーやダンスプロジェクトで踊る側でしたが、今後身体的にも限界が来ると思います。でも飾らずそのままの状態を表現し続けたいという一心です。そして、文化の誇り伝統的なものだけでなく斬新な新文化をパフォーマーとして振付師として老若男女問わず身近なものに出来るようにして行きたいという想いが、今もダンスを続ける源になっています。

●読者の皆さまにメッセージ。

 ダンス公演ということで、興味がない方々にも必見なイベントです。特に次世代に関わる子供さんがいらっしゃる方々にも多文化のご家族と交流していただき、アートにも触れ気楽に5分でも10分でも来ていただきたいです。気取らず公園に遊びにいく感覚で、アートに触れていただける場になっています。日本文化ミックス文化の体験をできる良い機会です。ピクニックをしながらでも良いと思います。是非お楽しみ下さい。

【瀬川さんのこれまでの歩み】

©Sasa Gyoker
©Sasa Gyoker

 日本体育大学を卒業後、1998年にロンドンコンテンポラリーダンススクールへ渡英留学。卒業後は、ロンドンで単発のダンスプロジェクトやダンスカンパニーで3年半踊り、その後1年間イタリア、スロベニア、オランダなどでダンス作品やフェスティバル、ダンスプロジェクトに出演。ヨーロッパ最後の国はギリシャのダンスカンパニーで4年半活躍。

 カナダに来たきっかけ:ギリシャで出会ったカナダ人振付師に誘われカナダ・トロントで4か月ダンスプロジェクトに参加、その後アジアツアーに招聘される。その翌年カナダに移住を決め、ダンスカンパニーでワークパーミットを貰い2年後に永住権を取得し、6年前にオタワに移住。

 今年15年目を迎え、現在もカナダ内のダンスプロジェクトやワールドツアーで活躍中、6年前よりカナダ政府から芸術助成金を受け自分の作品も手掛け始める。

 仕事とは別にも、2020年オタワでカナダよさこいチーム奏楓(カエデ)トロントチームのオタワ支部を設立。今年より2017年に設立された高知県よさこいアンバサダー絆国際チームに加入し、代表3名の一員として活躍。今年はセイントパトリックパレードからプライドトロント、サドバリー日本フェスティバル、マルチカルチュラルイベント、オタワミュージック・ダンスフェスティバルなどなど、トロント・オタワ・サドバリー・日本で演じている。