世界の冠婚葬祭ってどんなの?!「結婚式」「お葬式」「成人式」をカルチャー別に分析

世界の冠婚葬祭ってどんなの?!「結婚式」「お葬式」「成人式」をカルチャー別に分析

1)結婚式 2)お葬式 3)成人式

国が違えば文化も違う!様々な文化背景を持った人種が混在するカナダならではの多様性に焦点を当て、日常生活において節目となるイベント「結婚式」「お葬式」「成人式」をカルチャー別に分析。

北米(アメリカ・カナダ)

式から披露宴まで同じ場所で行うことが多い(北米結婚式)

1)花嫁が純白のドレスを着るのでゲストの白いドレスや派手なロングドレスはタブー。ブライズメイドやグルームズマン(花嫁、花婿の仲良しグループ)は式のテーマに合わせたお揃いのドレス&スーツに身を包む。ウェディングケーキのファーストバイトやブーケトスといった日本でもお馴染みのジンクスに加え、花婿がその場で花嫁のガーターを外し未婚男性に投げるガータートスも行われる。ご祝儀や引き出物の文化はなく、新郎新婦が事前に登録した欲しいものリストを元に親戚や友人が予算に合わせてギフト選びをするブライダル・レジストリーというシステムがある。

2)キリスト教式で土葬がメイン。葬儀の場所や日程の知らせは、一般人もハガキではなく新聞の死亡広告欄に掲載する。Viewingという告別式をお葬式前日に行う。式当日の服装は遺族と葬儀屋のみが喪服で他の参列者は色にとらわれずフォーマルな服装で参列。

3)アメリカの成人年齢は18〜21歳と州ごとに違いがあり、飲酒や喫煙の許可年齢も様々である。成人時に特別な式が開かれることはなく、大人の仲間入りを果たす16歳の誕生日の方がSweet Sixteenと呼ばれ重要視されている。

韓国

家族のみで行われるペベク(韓国結婚式)

1)韓国では家族のみで行われる「ペベク」という伝統的な式がある。結婚式場内にペベク専用の部屋があり、新郎は韓服、新婦は民族衣装チマチョゴリに着替え、上から華やかな上着を羽織る。このセレモニーの最後には、新郎が新婦をおんぶして部屋を一周するという面白い風習があり「今後は僕があなたの面倒を見ます」という意味が込められている。

2)儒教や風水の影響で土葬メインだったが、土地の問題で現在では火葬が増えている。葬儀は3日葬(サルミチャン)と呼ばれ、1日目は葬儀の準備、2日目はお通夜、そして3日目が告別式と3日間に渡る。その期間は参列者全員に食事を振舞ったり、24時間弔問客の対応をするなど、遺族にとって非常に忙しい場合が多い。服装に気を使い、親族全員が喪服を着用する。また焼香の際には遺影を前に”クンジョル”という膝をつく深いお辞儀を2回行う。

3)韓国の成人年齢は19歳(数え年で20)。5月の第3月曜日を“成年の日”としているが、公休ではないため特にセレモニーは行われない。ただ、地域によっては成人式ならぬ成年式が行われ、伝統的な韓服に、男の子はまげを結って笠をかぶり、女の子はかんざしを挿して冠をかぶる。

インド

豪華な伝統ドレスが近年日本でも人気(インド結婚式)

1)花嫁は民族衣装サリーを豪華にしたような上下が分かれたドレスの上にストールを巻いた“ヘレンガ”を身に纏う。いかに盛大な式を挙げるかに重点を置くインドの結婚式は1年以上かけて準備され3日から7日間に渡って行われる。白馬や像のレンタルをして花婿が花嫁を迎えに来て式場に向かう。家族が多く参加者が多いことでも有名で通りすがりの人がご馳走目当てに紛れ込むこともあるというから驚きだ。

2)インドでは火葬がメインで遺骨はガンジス川に流す。理由はガンジス川には生前の罪を洗い流し、輪廻の苦しみから解き放たせてくれるパワーが宿っていると信じられているからで、一部だが遺体をそのまま流す水葬を選ぶ人もいる。有名なタージマハルは、ムガール帝国の5代皇帝シャー・ジャハーンが亡くなった王妃のために作ったお墓だが、彼らはイスラム教徒だったため、実際のところインドにおけるヒンドゥー教徒のためのお墓はゼロということになる。

3)インドの成人年齢は18歳。成人後に喫煙が許され、選挙権を得るが、タバコ関連の規制が緩く、子供の喫煙を気にしない大人も多い。逆に飲酒に関しては取り締まりが厳しく、飲酒可能年齢は州ごとに異なる。(首都デリーでは25歳から)

フランス

1)白いドレスが主流だが、人によってはセカンドハンドで購入しリメイクするなどお金をかけない工夫が目立つ。他にもケーキや花は宣伝する代わりにスポンサーとなって提供してもらったり、実家の庭でケータリングを頼むなどこじんまりとした式も多い。また結婚式で花嫁が身につけると幸せになれるというサムシング・フォーや式の前に花嫁のドレス姿を見てはいけないなど、多くのジンクスが残っている。ちなみにジューンブライドも天候に恵まれやすいヨーロッパの気候に由来している。

2)カトリック式のお葬式が主で、近年はエコロジーだという理由で火葬が増えており、約70%の人が遺灰を家に持ち帰り、残りの約30%は散骨を選ぶ。後者の場合、公道以外ならどこへ散骨しても構わない為、ヘリコプターでモンブラン山頂や地中海上空から散骨するという驚きのサービスも存在する。また、服装に特に決まりはなく、装いよりもお悔やみの気持ちが重視されている。

3)フランスをはじめとしたヨーロッパ各国ではほとんどの国で成人は18歳からと定められている。また飲酒は16歳以上と決まりがあるが、喫煙に関しては年齢制限がなく、学生の喫煙も目立つ(※一応学内での喫煙は禁止されている場合が殆ど)。小中高を通して入学式や卒業式のないフランスでは成人に関しても特別な式はなく、家族や友人と祝うのが基本。

メキシコ

カラフルな伝統的ウェディングドレス(メキシコ結婚式) ©Anne Menke

1)衣装は都市部では北米同様白いドレスやスーツが主流だが、地方では伝統的な衣装を着るカップルも多い。悲しみを意味するパールはタブーとされているが、披露宴では盛り上がること重視で形式に捉われず、招待客以外も参加するなど食べて、飲んで、踊ってみんなで楽しむことが好きな国民性が現れている。

2)死後も家族と会って話ができる“死者の日”(毎年11月1日は死者が骸骨となって訪ねてくるとされ、花やカラフルな骸骨の飾り付けと共に盛大に祝う文化)があり、棺での土葬がメイン。遺族が棺桶を用意し、家または葬儀屋で死者を弔う儀式を行う。そして教会に移動してミサを行い、お墓に埋める。

3)メキシコでは女性は15歳、男性は18歳と男女で成人年齢が異なる。男性は目立った式を行わないが、女性は15歳になる誕生日をキンセアネーラ(Quinceanera=15歳)と呼び、特別な日として盛大に祝う。ドレスのために体を絞ったり、チャンべランというダンスチームを作り踊りを練習するなど1年以上かけて準備する。当日特に注目したいのは伝統的な靴の交換。父親が娘のフラットシューズをハイヒールに履き替えさせることで、一人前の女性になったと認められるのだ。