外国人とのコミュニ ケーションのコツ。注意すべきは何か?|キャリアコラムNO 01.

 カナダで仕事をしている中で、会議における発言の仕方や意思決定方法の違い、上司や同僚とのコミュニケーション方法の違いに驚くことがあり、私の経験も含めて、異文化の人とのコミュニケーションのコツを紹介したいと思います。

欧米企業の社風は、本当にフラットか?

 トロント着任当初に、会社の仲間とメジャーリーグを見に行った時のこと。年齢や性別、肩書きもバラバラの10人程度で見に行ったのですが、球場に着けば、当然、ピーナッツ片手にビールでしょ、とばかりに、私がビールを買いに行こうと皆を誘うのですが、「まだビールは飲みたくないかな~」とビール好きな仲間が意外な一言。「なに冗談を言ってるんだよ?」と突っ込んでも真顔です。この後、会社のトップが合流したことで皆がお酒を飲まない理由がわかりました。実は上司がビールを飲むのか確認をしてから、自分たちもビールを飲みたかったのです。私としては、自分たちの意思や思いが先にあり、周囲への見え方には無頓着なのが「北米感覚」だと思っていたので、これはとても意外でした。

 「異文化理解力 – 相手と自分の真意がわかるビジネスパーソン必須の教養(著:エリン・メイヤー、田岡恵)」によると、日本は諸外国に比べて、非常に階層主義的な国と位置付けられ、ヨーロッパ各国が階層主義と平等主義的の中間から、やや階層主義的。逆にアメリカやカナダは、より平等主義的な国に位置付けられるようですが、そのカナダですら、前述のような事件(?)が起こりますので、私のように勝手な思い込みによる北米感覚で対応していると、誤解を産むかもしれません。当たり前かもしれませんが、空気を読むのは日本人だけでは無いのです。

単語の選び方で、弱気に見えてしまう

 日本は「遠回しに発言する文化」であり、普段、英語で外国人とコミュニケーションされている方は、ダウングレードする単語(*)に心当たりがある方も多いかと思います。ダウングレードする言葉が悪い訳ではないと思いますが、私の経験からは、こちらの意図がはっきりと伝わりきれない感じと、明確に同意や意見を示していないが故に、自分の意見がないように思われると同時に、相手の意見に同意していない、もしくは、立場関係によっては、断定した発言をした人を小馬鹿にしたように聞こえることもあるようです。はっきり発言する文化の人に対しては、会話だけでなく、メールでもアップグレードする単語を使うと、よりプロフェッショナルに見られることが多いのでオススメです。

*ダウングレードする単語

 例えばkind of(とも言える)、sort of(多少)、a little(少し)、a bit(やや)、maybe(かもしれない)、そしてslightly(若干)といった言葉

 また、メールに関して切実に感じるのは、本題が明確でないメールは、ほとんど読まれることはない、ということです。主旨がわかりにくいメール、いくつもの内容が盛り込まれているメールが読まれる可能性は非常に低く、ましてや、添付ファイルなどは、よっぽどで無い限り開かれることは無い、と思われた方が良いと思います。

多文化の人と仕事をする上でのコツは?

 自分の勤め先が突然、外資系企業になったり、ビジネスパートナーが外国人になった場合、この文化の違いや言葉遣いの違いを乗り越えて、円滑にコミュニケーションを進めていくためには、どうすれば良いのでしょうか?

 エリン・メイヤー氏によると、「多文化のチームではローコンテクストなやり取りを行うこと」が重要だそうです。つまり、曖昧さをできる限り排除して、伝えたい内容を正確に伝える。これは、自分の意見に妙なニュアンスを付け加えることなく、ストレートに表現することで解消されると思います。

 そして、中国には「目はふたつ、耳もふたつ、でも口はひとつ。その数に応じて使いなさい」という言葉があるそうで、「異文化の人と交流する際には、いつもより多く目を使い、耳を使い、口を使うのは少なめに。話をする前に耳を傾け、行動する前に学ぼう」と言っています。

 意見を聞いていることをジェスチャーや相槌などで伝えつつ、要所要所で、「私にはこのような意見があります」と一旦、議論の流れを止めてでも、ゆっくりと自信溢れる態度で発言すると、皆が真剣に耳を傾けてくれることと思います。