カナダの『LGBTQ+』ライフストーリー:カナダ・イエローナイフ在住 山崎 陽太さん|特集 カナダ「LGBTQ+」

カナダの『LGBTQ+』ライフストーリー:カナダ・イエローナイフ在住 山崎 陽太さん|特集 カナダ「LGBTQ+」

 幼少期の頃から男性に惹かれることに気がついていた山崎さん。周りとは違う自分を隠したが、イジメにあい不登校に。人間不信や世間を嫌いになっていく中で、ゲイである自分を隠すため金髪のヤンキーになり高校は2ヶ月で自主退学という荒れた生活の中で来日中の現在の夫に出会い、山崎さんの人生が少しずつ希望に溢れていくことになる。

(左)幼少期。この頃から自分が他人とは性の認識が違う事を自覚。(右)不登校を経てその後ストレートを1番強く演じていた高校生時代
(左)幼少期。この頃から自分が他人とは性の認識が違う事を自覚。(右)不登校を経てその後ストレートを1番強く演じていた高校生時代

カミングアウト

 18歳の時に母に開いたままの手帳を見られてしまい、ゲイであることがばれてしまい、父には勢いでカミングアウトしました。両親ともかなりのショックだったらしく、母は泣き、父は固まってしまい親子関係は静かになりました。しかし、今ではかなり理解をしてくれていますし、夫を紹介した時も家族として受け入れてくれて仲良くしています。

世間にカミングアウトしてカナダに住んでいる現在の夫に会うために日本で激務に明け暮れていた頃
世間にカミングアウトしてカナダに住んでいる現在の夫に会うために日本で激務に明け暮れていた頃

カナダストーリー

夫に会いたい一心でカナダに

 海外にも行ったことがない、英語もできない私がカナダに来た動機は夫に会いたい一心でした。ノースウェスト準州の人口3千人のHay Riverという小さな町には日本人は私一人しかいない中で、地元レストランに就職しました。同時に得意だったピザのテイクアウ ト専門店を開き、町民に少しずつ名前を売りました。早朝から夜遅くまで必死で働き、過去に知事も経験したお店のオーナーからは、法律や深い文化、タブーなどたくさんの事を学びました。

カナダに英語も分からず勢いで来てしまった当時
カナダに英語も分からず勢いで来てしまった当時

自分を見る周りの目

理解を深めるためには当人が偽らないことが大切

 カナダでは同性婚が認められてから14年が経ち、私達を特別視したり異端に見られることがほとんどありません。日本に住んでいた頃はカミングアウト後も公共の場では自分を偽りストレートのふりをいましたが、カナダでは自分らしさを全て出せるようになりました。

 日本では夫と周りの目を気にせず2人で過ごしていましたが、まだ日本では周囲の視線がとても刺さりますし、誰かに関係を話してもまだ障害が多過ぎて、大きな溝がまだあるということが再確認できました。

カナダ社会でカルチャーに触れている方々に期待すること

カテゴリーに縛られず、同じ人間としてたくさん話してみて欲しい

 カナダには様々な人種の人がいて、それは国籍や肌の色だけでなく、『LGBTQ+』もストレートもみんな違うことが当たり前で、個が個であることが尊重されている国だと感じます。

 カナダには多くのオープン『LGBTQ+』の人が社会で活躍しています。職場や公共施設、家庭などで関わる機会を大切にしてもらえたらと思います。私達は『LGBTQ+』としてプライドを持って生活しています。日本で見るメディアの過剰演出や『LGBTQ+』は生産性がないという政治家の人種差別的な発言が飛び交う社会に疑問を感じて欲しいです。

 みなさんが我々のことを理解いただいた後に日本に帰国して、偏見の目に疲れ切っている『LGBTQ+』の方々と関わることがあれば、きっと彼らの心の支えになれると思います。そしてその光景は、偏見を持つ人の気付きのきっかけになるかもしれません。

これからの社会

人は産まれたときは真っ白

 『LGBTQ+』だけでなく、マイノリティの人々が正直な主張をした時に煙たがられない社会になればと思います。他の人の問題を他人事ではなく、考えて意見を持ってディスカッションが盛んに行われる社会になれば、きっと世の中は平等になって行くと思います。

 私の家の近くには児童会館があるのですが、そこで遊ぶ子ども達は人種やコミュニティに関係なく遊んでいます。人は産まれた時は真っ白です。社会に関わって行くと様々な色を取り入れていくのが成長ですが、差別的な暗い色に染まってしまうこともあります。いま私達が差別を無くしていく努力をすれば、きっと子ども達が暗い色に染まることを回避出来ると信じています。

これから・・・

 私はゲイとして生きてきて色々な経験をしてきました。そして外国人としても生きてきました。『LGBTQ+』の人間が何を思ってどう生活しているのかを私なりに発信し、差別や偏見を少なくしていければと思います。そして外国人としてカナダで生活をし、悩みやストレス・カルチャーショック等の経験をもとにこれから新しくカナダに来る日本人の方の支えにもなりたいと思っています。

山崎 陽太

 北海道生まれ。イジメ・不登校から暴走族を経験。18歳でカミングアウト。2016年にワーホリで来加、2018年に現在の夫とパートナーシップ(同性婚)を結び、2019年にカナダに移民する。料理人。 Twitter: @YohtaY