たかが咳、されど咳、長引く辛い咳の原因と対処法

たかが咳、されど咳、長引く辛い咳の原因と対処法

長引くその辛い咳、放っておいて大丈夫?

カナダではまだまだ寒い冬が続いており、屋内の暖房もフル稼働。室内換気が悪くなり、ほこりなども溜まりがち。それに空気がかなり乾燥している為、風邪などにかかり発熱や鼻づまりは落ち着いてはきたものの、咳だけが長引き喉がいつまでもイガイガするという人も多いはず。今冬は特に咳がなかなか治らないとクリニックを受診される方が多い傾向にあります。

そもそも咳とは何なのか?咳は医学的には咳嗽(がいそう)と呼ばれ、ウイルスやほこり、食べ物などの異物を、気管・気管支や肺から強制的に出すという防御反応。気道に溜まった痰を出す為にも咳が出ます。医師を受診したり薬局で薬剤師に相談する際、ただ「咳が出る(I have a cough)と説明しても、咳にも様々な特性があります。どれくらい続いているのか、痰は出るのか、そして何色の痰なのか、咳以外に症状はあるのかなど、咳の原因を突き止めるために必要な情報を明確に伝えるようにしましょう。

咳の原因と対処法

<咳が続いている期間>

3週間未満の場合:急性咳嗽と呼ばれ、原因の多くは呼吸器感染症。咳以外に感冒様症状(鼻づまりや発熱など)があることが多く、色や粘性などの性状が次第に変化する痰が出る場合もあります。咳のピークが過ぎているようであれば、咳を鎮める薬などの対処療法が用いられる。

咳が続くようであれば、肺炎や結核などの病気も考えられる為、胸部レントゲン検査や血液検査が実施される。細菌感染と判明すれば、抗生剤など原因の根治が期待できる治療を行う。季節性のアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などでも咳がでる場合があるので、咳以外の症状にも注意してみると良いでしょう。

3週間以上の場合:咳が長期間続いている場合は、胸部レントゲンや肺機能検査、血液検査などが実施されます。咳喘息やアレルギー性鼻炎、胃食道逆流症などによる咳も考えられます。痰がでる場合は、痰の検査や気管支内視鏡検査なども行われ、原因はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)や気管支拡張症、慢性鼻炎なども考えられます。また、咳が8週間以上続く場合は、結核や肺がんなどの可能性もあり、すぐに呼吸器内科を受診すべきです。上記と同様に、咳の原因が分かればそれに合わせた抗菌薬や吸入ステロイド薬、抗アレルギー薬など各病原体に効果が期待できる治療を行います。

市販薬(OTC薬)の選び方と注意点

咳の薬成分は大まかに分けて鎮咳薬及び去痰薬。鎮咳薬には、咳中枢に直接働きかけ高い鎮咳効果が期待できる麻薬性のものと咳反射を抑える非麻薬性のものがあります。去痰薬には痰の粘性を下げて排出しやすくする粘液溶解効果があるもの、気道の分泌液を増加させ痰を切れやすくするものなどがあり、痰の絡まりを抑え排出し易くします。

その他に気管支拡張成分で喘息発作時の咳を鎮めるもの、抗ヒスタミン成分でアレルギー性の咳を抑えるもの、喉を直接消毒・殺菌し炎症を抑えるものなど、様々な薬が販売されています。総合感冒薬(風邪薬)として複数の成分が配合されていることも多い為、市販薬を購入する場合も、薬剤師などに相談し、症状に合わせた薬を選ぶようにし、同じ効果のある成分を重複して内服しないようにしましょう。

家庭で出来る自然療法

□室内を加湿する・水分補給を心がける:気道が乾燥していると痰が出にくくなります。こまめに水分補給を行い、湿度を上げることで痰を出し易くしましょう。

□首を温める・温かい飲み物を飲む:ゆっくりと温かい飲み物を飲むことで免疫力をアップさせることができます。また首を直接温めることにより、首にあるツボを刺激し、風邪の症状の改善に効果が期待できます。

□室内の空気をきれいに保つ:空気清浄器などを使い、またこまめに掃除することで、咳の根本的な予防につながるでしょう。

□寝るときに枕を高くする:気道を広げ呼吸を楽にしてくれます。空気の通りがよくなることで咳を抑えることができます。

いずれ治まるだろうと放っておきがちな症状のひとつである「咳」。3週間以上、特に咳が8週間以上続いている場合や、痰に血が混ざっている場合は何かの病気が隠れている場合があるので、ただちに医師を受診するようにしてください。

咳に関する英単語

咳= cough

例: I have a cough

痰 = phlegm

例: I cough up some phlegm

空咳 = dry cough

↔wet cough or productive cough

喘息 = asthma

喘息発作:asthma attack

息切れ/呼吸困難 = shortness of breath

例: can cause shortness of breath

注: 本記事は一般的な情報であり、個々の症状に合わせてアドバイスするものではありません。各症状、服薬に関して、不安・質問がある場合は医師や薬剤師などの専門家にご相談頂き、OTC薬を服用される場合には、必ず服用規定を守りご利用ください。

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鶴 慶子さん(RN-日本、RPN-オンタリオ州)

日本で9年看護師経験を積んだ後、渡加。ジョージブラウンカレッジナーシングコースを卒業後、オンタリオ州看護師免許を取得。現在はトロント市内の医療機関で看護師として勤務する傍ら、日系コミュニティー向けの医療サポート会社WELLNESS KIZUNAのクリニカルディレクターとして活躍中。