「食前・食間・食後」そのくすり正しく飲めていますか?

「食前・食間・食後」そのくすり正しく飲めていますか?

くすりのはなし「食前・食間・食後」

「食間に飲む薬」を食事の最中に飲んでいる人、「どうせお腹に入ったら一緒」とジュースやコーヒーで飲んでいる人、手元に水がないと唾だけで飲み込んでいる人、薬をこんな飲み方で服用している人は多いのではないだろうか?

手軽に購入できる市販薬や毎日飲んでるから大丈夫と油断をし、正しく薬を服用出来ていない人は意外に多い。特にここは海外、薬剤師や医師から英語で服薬指導されても良く理解できず、「たぶん食後でいい?」などと自己判断して服用している人もいるかもしれない。

薬を定期的に服用している人も、めったに薬は飲まないという人も、いざという時の為に、基本的な「くすりの飲み方」は理解しておきたい。

くすりを飲むタイミング

  •  食前(Before meals)

    : 食事の20〜30分前のこと。食べ物や胃酸の影響を受けたくない薬、胃の調子を整える薬、食べた後の吐き気を事前に防ぐという薬などに用いられる。

  •  食間(Between meals)

    : 食事の最中と思っているが多いが、食間とは食事と食事の間のこと。食事を終えてから、2時間後が目安。空腹状態で吸収が良い薬や胃の粘膜を保護する薬などに用いられる。

  •  食後(After meals)

    : 食後20〜30分以内のこと。胃への刺激があるような薬や食べ物と一緒の方が吸収が良いという薬に用いられる。

  •  就寝前(At bedtime)

    : 文字通り寝る前のこと。就寝の30分から1時間前、ベッドに入ってから飲むという人も多いが、それでもOK。

  • 1日3回(Three times a day)

    : 基本的に毎食後、服用すれば問題はない。食後に飲んだ方が良い薬の場合と、飲み忘れがないように「毎食後」と指導されている場合がある。食事時間が不規則な人は、薬剤師に相談し、食後が理想なのかもしくは食事の時間に関係なく一定の時間をあけ服用する方が良いのかを確認しておくと良い。

服用時間は胃への刺激や吸収時間を考慮しているだけでなく、吸収後の血中濃度も考慮した上で決められている。薬は一定の血中濃度が保たれている間に効果を発揮する為、次の服用時間は血中濃度が下がり過ぎる前でなければならない。

そのため薬によっては、8時間毎、12時間毎などと間隔指定の場合や、毎日同じ時間に服用するようにと説明を受けるものもある。飲み忘れたから2回分飲んだりすると、逆に血中濃度が上がりすぎる危険もあるので、自己判断は絶対に避けよう。

くすりは水で飲まなきゃいけないの?

一般的に薬はコップ一杯の水かぬるま湯で飲むことを前提に作られている*。コーヒーやジュースで飲むと、吸収時間に影響をきたし血中濃度の上がり方が遅くなることがある。水なしで唾で飲み込む場合、溶けずにそのまま便として出ているということもある。薬が効果を十分に発揮するには、適切に溶け、吸収されなければ全く意味がない。

アルコールで薬を飲むなど、もってのほか。肝臓がアルコールの分解を優先し、薬の血中濃度が上昇してしまう。その他、血圧降下薬とグレープフルーツジュース、ワルファリンとビタミンK(日本人の場合納豆)など、組み合わせが悪いとされるものもあるので、薬は基本的に水200㏄程度と一緒に飲むことを心掛けよう。

*チュアブル、舌下錠、トローチなど水なしで飲むものは除く。

くすりを誤って飲んだら?

慌てず状況を確認すること。特に子どもに多い誤飲。北米の小児用の薬はシロップが多く、味も飲み易いように工夫されており、過量服薬につながる。いつ、何をどのくらい飲んだのかを把握し、オンタリオであれば下記に相談しよう。

Ontario Poison Centre
1-800-268-9017 / 416-813-5900
www.ontariopoisoncentre.ca

子どもが誤って薬を飲んだ場合

  • 口の中に残っているものを全部出す。
  • 薬の瓶、口の中から出したものなど、すべてチェックし、何をどれだけ飲んだのかを把握する絶対に吐かせてはいけないものもあるので、まず専門家に相談すること。
  • 医療機関に行く場合は、飲み残しの容器、吐いたものもすべて持参すること。

医師が書いた処方箋、じっくり見てみよう

経口避妊薬やアレルギー用の抗ヒスタミン薬などを医師が処方した場合、Refill/Repeat 〇 time(s)と書かれている場合がある。これは、1度処方された薬を医師の再診なしで〇回追加で購入できるということ。同じ薬局に行けば、同じ用量の薬を同じ期間分だけ出してくれる。

専門家を活用しよう!

症状が似ているので以前処方してもらった薬の残りを服用する(処方箋薬が残っていること自体がおかしい)、友達が「効く」と言っていたのでそれを飲むなど、異国の地で暮らしているとやってしまいがちな薬の飲み方。症状が似ていても原因が同じとは限らず、また薬の飲み合わせなどで副作用が出たりなど、手軽な薬でも薬は薬。ドラッグストアの薬剤師など、専門家を上手く活用し、安全且つ効果的に薬を服用しよう。

この情報はあくまでも一般的な内容です。すべての人にあてはまるというわけではありません。医師や薬剤師など専門家に相談した上で、用法にはくれぐれも気を付けて薬を服用してください。

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WELLNESS KIZUNAでは、海外でも安心して楽しく生活が送れるよう、様々なサポートを提供しています。ちょっとした風邪や湿疹など、こんなことで受診するのは?と市販薬で我慢する人も多いですが、間違った治療で症状が長引くことも。

弊社ではクリニックの紹介、予約代行、医師の診察や薬局において日本語サポートを提供しています。また、急なケガや既往症の治療など、提携クリニック以外の専門医や総合病院での受診サポートも可能です。海外旅行保険をお持ちの方の保険適用症の治療・検査は、すべてキャッシュレス!お金の心配をせず、すべて日本語でお手伝い致します。まずはお気軽にご相談ください。

鶴 慶子さん(RN-日本、RPN-オンタリオ州)

日本で9年看護師経験を積んだ後、渡加。ジョージブラウンカレッジナーシングコースを卒業後、オンタリオ州看護師免許を取得。現在はトロント市内の医療機関で看護師として勤務する傍ら、日系コミュニティー向けの医療サポート会社WELLNESS KIZUNAのクリニカルディレクターとして活躍中。