自由に自分らしくいられる場所「復興食堂」|東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い【第123回】

 日本もコロナの第7波が収まってきました。まだ安心は出来ませんが、このまま落ち着いてくれることを願っています。海外ではマスクはもう必須ではなく任意になっているようですが、日本はマスクはまだ必須のような形です。そこには日本独特の同調圧力もあります。

“同調圧力といえば、東日本大震災でもそれを大変感じた事があります。”

 東日本大震災が発災後、特に沿岸部は津波により大変な被害を受けました。その映像は瞬く間に世界に流れ、青森、岩手、宮城、福島の沿岸部は大変な被害だったのですが、そのイメージが内陸のほうまで広がり、まるで岩手県全体が津波に飲みこまれたように錯覚されました。

 そんな中、私たち内陸の人間は、早期に沿岸部に行き、復興支援活動をスタートしました。あの時、震災初期の段階では、県外や国外からのボランティアは物理的に受け付けられませんでした。そんな復興支援活動をしている時に、沿岸部で出会った方々の多くは津波から逃れ、避難所で暮らしていました。

 避難所生活は大変過酷で、大変大きな共同生活を強いられます。そこにはとても強い同調圧力がかかっていました。私が話したおじいさんは、とにかく笑う事が出来ない、いや笑ったら周りからすごい目で見られる、一緒に避難している孫のちょっとしたかわいい仕草でも笑う事をためらってしまう、と言っていました。でもそのおじいさんは、みんな辛いんだから、笑ったら悪いし、笑ってしまった自分が一番悪い、と言って自分を責めていました。

 「察する」という日本人がとても得意な事。これが「察しすぎる」になって、いつしか自分の心を縛り、大変な苦しみを味わっているのだと、とても悲しくなりました。避難所では共同生活ですから、同調してしっかりと生活しなければいけないですが、毎日24時間そんなプレッシャーにさらされると心が壊れます。

 そこで私たちは「復興食堂」という、別の場所をつくり、そこは自由に自分らしくいられる場所をつくりました。杯数制限はありますが、お酒も飲めます。辛い気持ちを聞いてくれるボランティアも、一緒にお茶を飲みながら話をしてくれるボランティアもいます。

 そんな共同生活で強い同調圧力は仕方ないけど、そこから少しでも解放できる場をつくることが出来て今となれば本当に良かったと思っています。同調圧力は日本人の国民性の特性の1つですから否定しません。しかし強すぎると本当にキツイものがあります。

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Ozawa Canada Inc

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南部美人 / http://www.nanbubijin.co.jp