東日本大震災から10年の年|東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い【第102回】

東日本大震災から10年の年|東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い【第102回】

 2020年は新型コロナウィルスに振り回された1年となりました。私たち日本酒の業界も大変な状況になっています。飲食店への休業要請や、会食によるクラスター発生から、会食をすることが悪となり、その影響で飲食店の営業が大変なことになっています。日本酒は家庭でも飲まれていますが、飲食店での消費も大きく、飲食店が悪くなると一緒に悪くなってしまいます。

 それ以外にも、新型コロナウィルスの蔓延は日本だけではなく、カナダをはじめ、世界で大変な被害をもたらしました。海外への輸出も割合的に多い私の蔵は、世界の消費もロックダウンなどで止まってしまい、大きな影響を受けています。しかし、東日本大震災の時の悲惨な状況を経験してきた東北の人間は、今回の新型コロナウィルスの被害も真正面から受け止め、しっかりと生き残るために行動をおこしています。

 今年、2021年は東日本大震災から10年の年。本来なら3月には被災地で10年の節目となる大きな追悼式典を政府や県は検討していたと思いますが、コロナの影響でどうなるかまだわかりません。10年一区切り、という言葉があります。でも被災した被災者にとって「一区切り」などありません。10年の節目を境に、次の10年、その先に向かって生活を再建し、亡くなった御霊に祈りを捧げ、自分の命あるかぎり、祈り続けていくのです。10年経過したから何か起こるのか、ということはありません。でも、気持ちの中では、10年という節目を迎えることで、忘れかけていた日本中、世界中の方々の心が東日本大震災の被災地に向けられることはありがたい事です。忘れられることが一番つらく、コロナとも震災の被害とも戦いながら今を生きている被災者に是非エールを送ってほしいです。

 新型コロナウィルスに対するワクチンが開発されました。世界中の知見を集約して、信じられないスピードでの開発となりました。100年前のスペイン風邪などの時代には考えられない科学や医学の発展により、人類は必ずこの疫病に勝つと思っています。私たちの祖先は科学も医学も発展していない世の中で、様々な疫病を克服し、今の世界につなげてきました。必ず現代の人類は英知を持って、この難関を越えていくと信じています。そして、コロナの先の時代はコロナ以前とは大きく変わると思っています。コロナの前の時代に戻る事は出来ません。新たな時代をどう生きていくか。それこそが、最も難しい問題かもしれませんが、しっかり取り組んでいきます。

オンタリオ取扱い代理店:
Ozawa Canada Inc

現在トロントで楽しめる南部美人のお酒は、「南部美人純米吟醸」とJALのファーストクラスで機内酒としても採用されている、「南部美人純米大吟醸」の二種。数多くの日本食レストランで賞味することが可能。

南部美人 / http://www.nanbubijin.co.jp