対談「ワーホリ後の就活やキャリア」を語り合う 奥澤 麻美さん×岩渕 篤史さん|特集「カナダワーホリのその先」

ワーホリ制度を活用しトロントに移住しキャリアを構築する二人

<対談場所:: カナダ有数の法律事務所として有名なTorys LLP>

奥澤 麻美さん

 大学卒業後、広告代理店の営業として2年間働いた後、在日カナダ商工会議所へ転職し5年勤める。その後は2014年に在日カナダ大使館の広報部に転職。2015年にワーキングホリデーでトロントに渡加、現在もトロントに継続して滞在しジャパン・ソサエティで働く。

岩渕 篤史さん

 大学卒業後は日本の医療メーカーに就職し3年間勤めた後、ワーキングホリデーでバンクーバーに1年間滞在。日本へ帰国後はレストランビジネスに従事、トロントで現地法人の責任者も経験。帰国後は財務コンサルティングの執行役員を経て、帰国キャリアドットコムを運営するI Links 株式会社を起業し、2017年からトロントを拠点とする。

大学卒業後の就職活動

岩渕さん: 僕がメディカル系に就職を決めたのは、消去法です。就活するのは遅かったし、今考えれば真面目にやっていなかったですね。当時はそれなりに頑張っていたかもしれないけど、今の事業をやるようになって、〝頑張っている学生を見ていると、それは一番入りたいところには入れないよねって。〟そこに入れる努力も足りなかったし、スキルもなかった。業界では大手の会社には入社しましたが、やりたい仕事だったかと言われるとそうではなかったです。

奥澤さん: 私は東京の大学に入って、〝みんな一律に始まる就活という流れに乗っかっていたな〟と今は思います。テストを受けて、エントリシートを書いて、ってみんながやっているように同じことをしていました。日本には就活のシステムがありますから。就活も業界を絞ってやっていたというよりは、学生として社会のこともわからないまま、どんな可能性があるのかなって手探りしながら手当たり次第に受けていました。最終的に広告代理店に決めたのは、人の間に入る仕事に興味があったからで、今もそのような感じの仕事をしていることから、方向性は間違っていなかったとは思っています。

転職や海外留学をするきっかけ

奥澤さん: 私が転職するきっかけとなったのは、国際的な仕事をしたいという思いがあったからですね。最初に就職したのが日本企業ですし、お客様も日本の方だったので、何か海外に縁のある仕事をしたいなという思いがあって。

岩渕さん: 僕もそうですね。でも奥澤さんの20代の頃と今って時代とか社会的な流れが違うじゃないですか。〝今の若い人たちは人手不足や高齢化で結構大切にされている〟と思いますけど、僕たちの時はナショナルクライアントがすごい時代で、ベンチャー起業も目立ってなくて、あまり大切にされなかったんですよ、若い人が。残業をつけるのもおかしいという風潮があったり…。

奥澤さん: 時代の流れはありましたね。この10年で変わっているというのもあるかもしれないです。確かに、〝日本での仕事はそういう意味ではきつかった〟ですね。

岩渕さん: そういうのもあって、僕は海外とか転職を考えました。キャリアアップ・スキルアップして、〝もっと良い車に乗りたい、もっと良い時計したい〟とか、今よりもっとそういう欲望が強かったです。だから海外に行って英語を覚えたらもっと良い会社で良い仕事、良い待遇になるんじゃないかと思って。

奥澤さん: 私は待遇が変わると良いなぁということはあまり考えなかったですけど、なんで国際的なことをしたいのと聞かれたら、確かに〝キャリアアップとか英語を使って自分でできる内容の可能性を広げたい〟と答えると思いました。

カナダでのワーホリ経験

ーワーホリ制度を利用するきっかけは?

奥澤さん: 私は最初に転職した後、在日カナダ商工会議所に勤めたことから、今後も日本とカナダに関係する仕事をしたいというのは決めてました。カナダに行き、今やっている仕事と同じ仕事を別方面からやってみたいと思ったんです。ワーホリには年齢制限があるので、それまでには行くぞと思って、行く前から準備をしていました。

岩渕さん: 僕がワーホリビザにしたのは、純粋にお金がなかったからで…。働けるビザが出ないと1年間生活していけないので、必然的にワーホリになりました。

ーワーホリ中は?

奥澤さん: ワーホリ期間中は、トラベル・スタディ・ワーク全部できるんですよ。だから、全部やろう!と思って。仕事はジェトロに勤めましたし、旅行はカナダ国内旅行にたくさん行って、カナダの州の内7州には行きました。勉強は、元々フランス語を勉強していたので、カナダでももっとやろうと思ってフランス語を勉強していました。

岩渕さん: 僕は英語を勉強するつもりでワーホリをしたのですが、小さい頃からアイスホッケーをしていたので、周りのカナダ人にやれやれと言われて、ワーホリに来て1ヶ月経たない内にこちらでまたホッケーを始めて、それからはホッケー三昧でした。元々やるつもりはなくて道具も持ってこなかったんですけど、それは親に送ってもらいました。チームにはスポンサーもついて、英語も語学学校にも行かずにチームメイトのカナダ人に囲まれてホッケーをする中で学びました。スーパーでアルバイトもしました。

ーワーホリが終わったあとは?

岩渕さん: ワーホリが終わった時にカナダに残りたいという気持ちはすごく強くありました。ホッケーのスポンサーもアルバイトをしていたスーパーも就労ビザを出してくれるって言ってくれて、実際に残るという選択もあったのですが、将来のことを考えた時に、平行線だなと思って。残っても、キャリアアップじゃなくて問題の先送りだし、思い描いていた野望にはならないんですよ。僕はプロ野球選手より稼ぎたいと思っていたので。迷った結果、尾を引かれながら帰国しました。

 帰国後は飲食ビジネスに進んだのですが、それはカナダにはまだラーメンブームや日本食レストランブームがなくて、飲食ビジネスは伸びるというのを感じて、今まで仕事で包丁も握ったことがなかったのに飲食ビジネスに飛び込みました。

奥澤さん: 私は日本のものを全て片付けてきたのですが、それは今思えばカナダに長くいることを無意識に考えていたのかもしれません。なので、ワーホリが終わる時にはワークビザが必要だということになり、そこで就職先を探してジャパン・ソサエティにお世話になることになりました。

カナダにワーホリで来ている人にアドバイス

岩渕さん:〝誰もやってないことをやろうということですね。みんながやっている経験をするよりも、就活を考えるなら人事と採用に認められなきゃいけないから、武器とかストーリーを持っていないとダメじゃないですか。

 武器を身につけるためにはレアカードになれってことですよね。留学は別に珍しいものでもないので、みんなと同じことをして埋もれるなってことですね。〟

奥澤さん:〝私はせっかくカナダにいるのだからカナダでしか見られないものを見たらいい、色んなところに行って色んな経験したら良いって思いますね。

 そこに行って自分がどう感じたか、どんな人に会ってどんな会話をしたかというのはすごく印象に残るものだから。

 私もカナダに着いてバンクーバーからトロントに移動中の電車で出会った人との話を覚えていて、そこからインスピレーションを受けて、新しいこと始めてみようと思ったこともあります、そんな経験をしてほしいって思いますね。〟

 英語に関しても、英語の本を一冊読み終わったりTOEICで850点取ったりするのも良いんですが、完璧な英語じゃなくてもいいから、トロントにいる色んな国の人たちと話してみて、これは通じるとか、知らなかったことを教わったとか、そういうことが人として大事なんじゃないかと思います。

岩渕さん: せっかくなら20カ国語の訛りある英語とかね。

奥澤さん: そうそう!それはトロントならではだと思います。

日々社会人として努力していること

奥澤さん: 語学ですね。フランス語は昔から勉強していますし、ジャパン・ソサエティのイベントで最初の挨拶くらいはフランス語でできたら良いなと思ってフランス語を勉強しています。

 あとは、仕事で色々な業界の日系企業の人とお会いするので、新聞を読むのはもちろんですが、実は業界誌というのがあって、自動車業界だったらそれを束ねている自動車工業会というのがあるのでそのウェブサイトや会報誌を見るようにしています。業界を決めた就活をされている方にはおすすめですね。

岩渕さん: 僕は情報収拾や人と会うことですね。人は人に磨かれると思うので、出来るだけ自分より情報を持っていて、優秀な人と会うようにしています。

対談を終えて

奥澤さん: 岩渕さんの経歴の話も聞けましたし、ゴールを設けて、それに向かってやって行く、というのは私と真逆の発想なのでとても参考になりました。

岩渕さん: 僕に持ってないところを麻美さんは持っていて、その良いところを今日は吸収させていただきました。