カナダが世界の業界リーダー宇宙産業ビジネス|見えざる世界に今年大注目!宇宙特集

 宇宙産業の分野でカナダは世界を牽引する存在だ。ケベック州やオンタリオ州には世界トップクラスの航空宇宙産業企業がたくさんあることでも知られている。今回は業界最大手からスタートアップとして今注目されている企業などを紹介する。

カナダが誇る宇宙航空産業界のリーダー
CAE Inc. Canada

ケベック州・モントリオール

創業年: 1947年 
創業者: ケン・パトリック氏 
公式WEB: cae.com

 カナダが誇る航空宇宙産業界のリーダーである同社は、長年にわたりパイロット・トレーニングに欠かすことが出来ないシミュレーション・テクノロジーとトレーニングサービスを提供している。また、デジタルイマージョンの最先端の技術をもつハイテク企業であり、世界をより安全な場所にするためのソリューションも提案している。

 事業内容には、民間航空シミレーション機器の製造販売、商用機航空トレーニング、ヘルスケア・シュミレーション機器販売やパイロット提供サービスなども含まれている。CAE社は35カ国以上に約1万人の従業員、160のサイト・トレーニングセンターがあり、業界の中では最もグローバルな企業の一つである。

 2020年からは「CAE OneWorld」と題する宇宙産業業界の最新のイノベーションとテクノロジーに焦点を当てた無料のインタラクティブな仮想会議とトレードショーを開催していて、今年もオンラインでの開催が予定されている。

グローバルな航空宇宙企業
Magellan Aerospace

オンタリオ州・ミシサガ

創業年: 1996年 
創業者: フィリップ・アンダーウッド氏 
公式WEB: magellan.aero

 カナダを代表するグローバルな航空宇宙企業である同社は、航空機やエンジンメーカー、および世界中の宇宙機関にシステムソリューションを提供している。また、軍事そして宇宙市場向けの高度な製品、産業用発電、特殊製品を設計、製造なども行っており、通勤用航空機のエアバスA380、ボーイング787ドリームライナー等のコンポーネントサプライヤーでもある。

 同社の事業は主に航空エンジン、航空構造物、ロケットと宇宙、そして特殊製品の四つの分野に分けられ、2020年12月にはAEシステムズとの合意に基づくF-35ライトニングII水平尾翼アセンブリの200セット目の納入を発表した。カナダのほかに米国、英国の各地の施設で運営されている。

最先端プロジェクトに技術提供
Dishon Limited

オンタリオ州・ヴォーン

創業年: 1980年 
公式WEB: dishoncnc.com

 宇宙、衛星、航空機、発電部門向け精密加工、複合機械部品メーカーである「Dishon Limited」。同社の技術は、国際宇宙ステーションや火星探査機フェニックス、スペースシャトル搭載ロボットアーム「カナダアーム」などの最先端プロジェクトに利用されている。

宇宙探査ミッションにいくつもの主要システムを提供
Neptec Design Group

オンタリオ州・オタワ

創業年: 1990年 
創業者: ポール・ネフィン氏 
公式WEB: neptec.com

 ミッションクリティカルな宇宙アプリケーション向けの電気光学および電気機械システムの製造などに携わっている。また、多くの過酷かつ要求の厳しい宇宙探査ミッションにいくつもの主要システムを提供している。カナダを代表する航空宇宙産業企業として知られる。

 カナダ宇宙庁や欧州宇宙機関、日本宇宙航空研究開発機構(JAXA)ともプロジェクトを行ったこともあり、およそ三万時間以上の時間をアメリカ航空宇宙局(NASA)のミッションコントロールに費やしている。

 同社はレイザーテクノロジー、スペースフライトセンサー、そして惑星探査社のサポートを特殊化とし、現在はカナダ宇宙庁から、国際宇宙ステーション(ISS)用の最先端のビジョンセンサースイートを設計する契約を獲得し、打ち上げ予定の2021年に向け作業をしている。

カナダ初の商用ロケット発射宇宙港を提供
Maritime Launch Services

ノバスコシア州・カンソ

創業年: 2016年 
創業者: ジョン・イゼラ氏 
公式WEB: maritimelaunch.com

 衛星打ち上げに必要なスキル、資産、テクノロジーそしてインフラストラクチャを統合し、急速に増大する衛星の商用スペースの確立をサポートする宇宙輸送サービス企業である。

 また、カナダ初の商用ロケット発射宇宙港を提供することでも有名だ。商業市場にサービスを提供する打ち上げ場所がとても少ない現在、低軌道への全ての軌道アクセスのニーズを満たし、安全で費用効果の高い発射施設の開発をミッションとしている。ターゲットとする低軌道への明確なアクセスがあるローケーションを計画的に選んでいて、周囲の自然環境への影響は最小限に抑えらているという。

 今年、2021年に初の打ち上げが予定されており、国際航空宇宙コミュニティーにおけるカナダのリーダーシップの向上の築き上げに貢献するとされている。

国際宇宙ステーションに2台のカメラを設置
UrtheCast

BC州・バンクーバー

創業年: 2010年 
創業者: ドン・オズボーン氏 
公式WEB: urthecast.com

 ブリティッシュコロンビア州バンクーバーを拠点としている地球観測企業で、同社のスローガンは「私たちは、人々が地球を見る方法だけでなく、人々がそのデータにアクセスする方法も変えていく」ことであり、事業内容には、データサービス、地理分析、機械学習、人工知能技術の開発等がある。

 同社が提供するデータにより、多くの業界顧客が、地球上の長期的な傾向を追跡し、変化を監視し、ガイド付きの戦略的行動をとれるようになっている。2019年に宇宙技術開発プログラムで約200万カナダドルの資金を受け取り話題になった。2022年には地球全体の科学的品質の分析対応画像を毎日生成するように設計された世界初の地球観測システム「UrtheDaily」を発表の予定だ。

ロボット工学・衛星システム・地理空間インテリジェンスのパイオニア
MDA

オンタリオ州・ブランプトン

創業年: 1969年 
創業者: ダニエル・ジャボロンスキー氏 
公式WEB: mda.space

 カスタムテクノロジーソリューションの開発に50年以上の経験をもち、ロボット工学、衛星システム、地理空間インテリジェンスのパイオニアでもある。同社は数十年にわたってカナダ政府との強力なパートナーシップを確立してきた。国際宇宙ステーションに向けたシャトル・リモート・マニピュレータ・システム(カナダアーム)、そしてカナダ政府の観測衛星の提供など世界をリードする多くのプロジェクトに携わっている。

 現在は、月のコロニー建築、地球観測の強化、ハイパーコネクテッドワールドでのコミュニケーションに率先して力を入れており、地球と宇宙の両方をより良いものにすることを目標に掲げている。

衛星地球観測から火星の惑星探査に至るまで
MPB Communications Inc.

ケベック州・モントリオール

創業年: 1977年 
創業者: ジェーン・バチンスキー氏 
公式WEB: mbacommunications.com

 多くのグローバル・ハイテク業界に高性能なファイバーレーザーそしてファイバーアンプサブシステムを提供する大手サプライヤーである同社の宇宙・フォトニクス分野は90年代初期に誕生し、MPB特有の電磁気学、通信、レーザーの分野における技術開発で新しいフロンティアイノベーションの優位性を築いた。それ以降、MPB社はスマートサーマルラジエーター、自己修復コーティング、適応可能なマイクロローバーなどの開発にも関与しているほか、衛星地球観測から火星の惑星探査に至るまでのアプリケーションを備えている。

人工衛星のスタートアップ
Kepler Communications Inc.

オンタリオ州・トロント

創業年: 2015年 
創業者: ジェフリー・オズボーン氏、マーク・マイケル氏、ウエン・チェン・チョン氏、ミナ・ミトリー氏 
公式WEB: keplercommunications.com

 「宇宙にインターネットを構築する」というミッションを掲げ、衛星、宇宙ステーション、ロケット、およびその他宇宙搭載にリアルタイム通信の提供を目標とし、すでに利用されている技術と新たな技術をうまく融合し、衛星通信業界の再構築に貢献している。

 2019年にカナダ宇宙庁の主催した宇宙産業企業の支援をする宇宙技術開発プログラム(Space Technology Development Program)に参加し、約100万カナダドルの資金契約を獲得した実績を持つ。このプログラムでKeplerが提案した「Next Generation Telecommunications Nano Satelite」は、増大している超小型衛星の需要を迅速に対応し、特定のコストとパフォーマンスの要件を満たすことができる新しいカナダの衛星プラットフォームの作成をするプロジェクトだ。

 同社による今後の衛星打ち上げは、実証衛星が2020年春に予定されているほか、商用衛星を2020年夏に打ち上げ、それ以外にも年内に2回予定しているという。

宇宙空間を監視
NorthStar Earth & Space

ケベック州・モントリオール

創業年: 2015年 
創業者: Stewart Bain
公式WEB: northstar-data.com

 スペースデブリ(宇宙ゴミ)やほかの人工衛星といった宇宙の物体を監視することを目的とした新しい衛星コンステレーション「Skylark」の建設を予定しており、2022年に運用を開始する。

 人工衛星によって低軌道から静止軌道までを光学センサーを使って監視し、集められたデータをアルゴリズムを通じて宇宙の状況を表示するという。

宇宙エレベータに挑むベンチャー
Thoth Technology

オンタリオ州・ペンブルック

創業年: 2001年 
創業者: Caroline Roberts Brendan Quine
公式WEB: thothx.com

 NASAとも協業経験をもつ宇宙関連ベンチャーである同社は、地上から高さ20キロメートルの「宇宙エレベーター」の建設に挑んでいるという。米国の特許も取得済みで、宇宙飛行士が軌道の途中まで乗っていけるほど高い超高層タワーとなるそうで、宇宙飛行の費用を3分の1削減できるという。