「人の役に立つクリニックを目指す」青嶋正さん カナダ在住30年|カナダで起業!「スモールビジネス・オーナーの挑戦」

青嶋 正さん カナダ在住 30年

Flow Shiatsu Acupuncture RMT Clinic
Registered Massage Therapy
鍼灸指圧

【プロフィール】
 Registered Massage Therapist (カナダ公認ライセンス)。1994年、Flow Shiatsu Acupuncture RMT Clinicを設立。27年間鍼灸指圧に従事。

人の役に立つクリニックを目指す

THE 一問一答

起業して何年と何ヶ月
26年11ヶ月
人生のモットー
臨機応変
自分はどんな経営者だと思う?
マイペースな経営者
カナダで起業してよかったこと
自分流を打ち出し、どんなスタイルでも許される
影響を受けた事業・サービス
自分流なのでいません
注目している事業・サービス
TORJA、ネットサービス、エコビジネス
リタイアは何歳で?何したい?
周囲から要望がある間は現役を続ける予定

カナダで起業したきっかけ

 日本人の個性を活かせる分野であったこと、そして日本で勤めていたクリニックのように機械的に患者さんをこなすのでなく、時間をかけて個人に合ったトリートメントを提供する目標が実現可能だったからです。

カナダで事業を営む理想と現実

【理想】
・カナディアンライフを楽しみながら優雅に暮らす。
・仕事しながら英語が上達する。

【現実】
・日本のルールとの違いに戸惑う。
・文化的背景の違う人たちに有効なコミュニケーション能力を身につけるのが難しい。
・カナダのライセンスを取る学校に入学した際、カナダに長年住んでいても自動的に英語は上達しないことを思い知らされた。

苦労や挫折そこから得た教訓

 ビジネスにおいては幸い大きな挫折は無いのですが、しいて言えば住宅購入の際はスムーズにいかず苦労した経験があります。当初、カナダの銀行でお金を借りるシステムを知らなかったので、なかなかうまく進みませんでした。そんな時、知人から受けたアドバイスは、「銀行はお金を貸す商売だから、借金のお願いに行くのでなく、借りてやるくらいのつもりで行け!」と少々荒っぽいものでした。それからは少しでも銀行がお金を貸しやすいストーリーを用意して、毎日のように通い詰めていると、ある日支店長が私たちの話に割り込んできて、こことここの数字を○○ドルにして持ってきなさいと答えを教えてくれました。

 会計士に相談して提出書類の数字のバランスを上手く調整した結果、何十回と門前払いをされた希望する家のローンを得ることが出来ました。困った時は早めに専門家のアドバイスを聞く事も大事だと感じました。

コロナ禍でのビジネス。未曾有のパンデミックの中で大切に感じたこと

 昨年から続くコロナ禍に伴い、多くの同業者がビジネスのクローズを余儀なくされました。私自身は、昨年3月から2ヶ月ほどの政府の要請によりビジネスを一時閉鎖しなければならず、補助金はあったものの減益となりました。その後、6月にカナダのライセンスを保持しているマッサージセラピストはヘルスケアプロフェッショナルとして営業が認められました。その後も継続して現在まで営業が認められてきました。

 感染を恐れて患者さんが来ないのでは?と不安でしたが、自宅勤務など生活環境の変化に伴い、以前とは違う問題点を抱えている患者さんなどから予約が入り通常通り営業を継続できています。また、親子3代で通ってくれたり、かつてサポートした選手がコーチとなり、教え子を連れてきてくれたりするのが今の下支えになっています。

 他とは違った自分のスタイルを地道に続けてきたのが、コロナ禍でも数多くあるクリニックの中から私を指名してもらえた理由のように思います。

五輪メダリストなど高いレベルでギリギリの勝負の世界にいるアスリートと向き合う際の信念と心算

 私はコンディショニング方法を選手に身につけてもらう立場なので、今まで選手と一緒に学んできたと考えています。世界各国のトップアスリートと巡り合う機会に多く恵まれ、特に冬期オリンピックは、長野大会から来年の北京大会まで計8大会で日本人に限らずさまざまな国の20人以上の選手を送り出すとともに、世界でトップになることの難しさを知りました。

 念には念を入れて準備をしても、なかなか上手くいかないオリンピアンのサポートをした経験からたどり着いた答えは、勝利を確実に自分に引き寄せる方法は、全ての試合にピッタリとコンディションを合わせて常にアスリートの力を100%発揮してもらうことです。

 トップレベルアスリートも一般の患者さんと同じ人間の体なので基本的に同じ処置をすることになります。日々クリニックを訪れてくれる、①時間に追われている主婦の方や子育てをこなすママさん、②睡眠不足で勉強する学生さん、③人手不足で長時間勤務のサービス業などギリギリの状況下にある患者さんから学んだ様々な対処法をアスリートや一般の患者さんにフィードバックしています。

 そもそも選手をギリギリの状況下で戦わせていては、セラピスト失格だと思っています。大事な試合に普段通り望めるよう、事前にコンディショニングの必要性や効果的な方法を共同作業で身につけてもらうスタイルを30年間続けています。

 試合前など「絶対絶命」の状況下で周りに期待される「ミラクル」を起こすコツは、「おまじない」や「神がかり的な能力」を発揮することではなく、30年間続けている方法で築かれる選手との信頼関係にあります。

 また、常に多くの選手をサポートしている以上、特定の選手の専属的なイメージはマイナスだと考えています。「トップアスリートを専属でやっている人」ではなく、「腰痛肩こりなど一般患者さんから頼りにされるマッサージセラピスト」を目標としています。

これからの挑戦

 デジタル・オンライン化が進む世の中に超ローテクな私のスタイルで、AIではなく「ai(愛)」で挑みます。

拝啓 10年後のキミへ

10年前と同じノリでカナダ生活を楽しんでますか?