ファイナンシャルアドバイザー 井上朋子さん カナダ在住15年|カナダで起業!「スモールビジネス・オーナーの挑戦」

井上 朋子さん カナダ在住 15年

Maple Bridge Financial

【プロフィール】 ファイナンシャルアドバイザー。東京都出身。2001年米国大学院修士課程修了後、ボストンの投資銀行で翻訳の仕事をする。2006年スキルドワーカーとしてカナダの永住権を取得後、移住。3年間、カナダの銀行のバックオフィスで働く。2009年にファイナンシャルアドバイザーとしてMaple Bridge Financialを起業。

私は思う。今のこの時の苦しみは、やがて私たちに現わされようとする栄光に比べると言うに足りない。(ローマ人への手紙8-18)

THE 一問一答

起業して何年と何ヶ月
12年11か月
人生のモットー
絶えず祈りなさい。すべてのことに感謝しなさい。(テサロニケ人への第一の手紙5-17)
自分はどんな経営者だと思う?
保守的で、慎重な経営者
カナダで起業してよかったこと
自分と同じように移民してカナダに来たという経験をした人たちと、苦労や喜びを共有し、一緒に成長していくことができること
影響を受けた事業・サービス
UHN、Canadian Cancer Society
注目している事業・サービス
グローバル人材の育成、超スマート社会における情報教育、プログラミング教育
リタイアは何歳で?何したい?
75歳 外国からの留学生のホストファミリーをやりたいです。ただ、国を超えての移動が難しくなれば無理ですけど

カナダで起業したきっかけ

 アメリカに住んでいた時に、Administrative Assistantとして、不動産会社で働いていたことがありました。その時のパレスチナ出身の不動産会社のオーナーが、「いつまでも、後ろに座って、事務なんてやってないで、外にでて稼いで来たらどうだ?5年も、10年も事務なんてやっているつもりじゃないだろ」と私に言いました。当時の私にとっては、「働くこと=雇われること」でしたが、彼のメッセージによって、考え方が一変し、起業したいと思いました。

 カナダでスキルドワーカーとして永住権を取得して、移住してからも、しばらく銀行のバックオフィスで働いていましたが、いつも起業したいと思っていました。スターバックスの店舗を買うとか、コンビニエンスストアを始めるとか、新移民を雇ってクリーニングビジネスを開こうとかいろいろと考えましたが、自分の経験のないビジネスを始めることに抵抗があり、経験があるのは金融業だったので、金融ビジネスを始めました。

カナダで事業を営む理想と現実

【理想】
・日系コミュニティーとの良い関係
・安定した経済
・貯蓄志向の国民性

【現実】
・日系コミュニティーは小さく、コミュニティーとしての繋がりは薄い
・失業率の増加、インフレーション、トロント近郊の不動産の高騰
・借金志向のカナディアン

苦労や挫折そこから得た教訓

 ファイナンシャルプランニングのモデルは、若い頃から安定した高収入のある人の幸せな家庭であり、それが「普通」というイメージです。私はカナダに来てから、体調が悪い日々が何年も長く続き、家族もなく、自分はファイナンシャルプランニングのモデルではないことに罪悪感を感じた時期がありました。

 現実には、高収入家庭のほうが少なく、ある程度の年齢になると、持病があるのは当たり前、働き盛りの30代、40代の家族が病気や事故で亡くなる場合もあり、離婚家庭も解雇も一般的となり、高収入の健康で円満な家庭のほうが少ないなど家族の多様性が存在します。

 なので、金融業界のモデルである完璧な家庭と、不完全の方が多い現実とのギャップを埋め、それぞれの環境の中のベストを尽くすファイナンシャルプランニングをお手伝いさせていただくことこそが私の仕事だと感じています。

コロナ禍でのビジネス。未曾有のパンデミックの中で大切に感じたこと

 不景気という言葉が飛び交っていましたが、一部の業界が打撃を受けた一方、他の業界がかなりの収益を上げたので、コロナ禍でも株価は高く、金融業界は打撃を受けませんでした。ただ得意先への訪問ができなくなり、ビジネスの方法がオンラインミーティングに変わりました。訪問することが誠意であり、メールだけでは信頼関係が築けないと思い込んでいましたが、意外に多くの方が、すぐにオンラインベースのビジネスに慣れたことに驚いています。最初は抵抗があっても、世の中の流れに逆らわないことが大切ですね。

資産形成は若い頃から? 資産形成の成功のアドバイス

 若い頃に将来の資産形成のために何をしたら良いかがわかっていれば、みなさん始めているのではないでしょうか(笑)。私の姉の時代は大学が一番の投資と思われ、私の時代は資格取得が一番の投資と思われ、現在のカナダは不動産が一番の投資だと思われています。よりよい投資先は時代と場所により変わってきます。

 私が信じていることは、どこの国でも、いつの時代でも、健康と家族関係への投資だと思います。体や心の病気、そして若年成人の死は資産形成の打撃になります。また、家庭の不和や離婚は浪費につながり、資産形成の妨げになります。健康と円満な家族関係は若い頃からの毎日の投資の結果であり、資産形成の成功の基礎ではないでしょうか。

2021年の挑戦

 パンデミック2年目で社会的制限もありますが、オンラインベースでネットワークを広げ、マーケティング活動をしたいと思います。

拝啓 10年後のキミへ

長年のクライアントとの信頼関係は続いていますか?