休学をしてワーホリを経験!三谷咲都美さん|特集「カナダワーホリのその先」

休学をしてワーホリを経験!三谷咲都美さん|特集「カナダワーホリのその先」

カナダワーホリ後、大学に復学・就職活動を繰り返して、かねてから希望していたテレビ局のレポーター職の内定をゲットした三谷さんに聞く、ワーホリのその先。

三谷 咲都美さん

2016年2月~11月 休学・カナダワーホリ
2017年1月~   18年卒業で就活1年目
2018年1月~   休学・19年卒業で就活2年目
2019年3月    卒業見込み

慶應大学生の三谷さんが休学をしてワーホリを経験したワケ

1. 社会人になるまでに海外で生活したいと思っていた
2. 夢を実現する経験を作りたかった
3. 4年制の大学を卒業して社会人になる画一的な日本のシステムに疑問を持っていた

とにかく、現地に行こう

 以前から英語や海外の文化に興味があり、留学をしたいと思っていました。ただ、大学の交換留学の枠には限度があり、また私費留学は金銭的に厳しくて断念しました。その代案として出てきたのが、「ワーホリ」という選択でした。

多国籍国家のカナダに行けば、きっと実現できる!

 私は、テレビで伝えるレポーターやキャスターの仕事に就きたいと考えていました。というのも幼い頃から、「世界ふしぎ発見」のミステリーハンターになりたい!という夢があって(笑)。いろいろな文化圏に行って、現場からその魅力を伝える人です。なりたいんなら、なっちゃおう!と思ってカナダに飛び込みました(笑)。

日本のこと、世界のことを全く知らずに働き始めていいのか

 4年制大学をストレートで卒業し就職という、日本社会の画一的なルールにも疑問を抱いました。みんながみんな、同じタイミングで就活を始めなくてもいいのではないか。敷かれたレールの上を歩いて人生を終えてしまうのは怖い。そう考え、思い切ってレールからはみだし、海外に滞在しようと思いました。

ワーホリ経験とは、視野を何万倍も広め、人生をカラフルに彩ってくれる。目標を叶え、新たな目標を見つける経験ができる

 今まで「こうするべきだ」と考えていた固定概念を根本から無くしてくれました。

 欧米では、大学を卒業した後に何年かギャップイヤーを経験して働き始めるのが一般的です。キャリア選択なんてないのだと思いました。視野が一気に広がり、どんな人生を歩んでもいい、自分のオリジナルの人生をカラフルに描いていいんだと希望を持つようになりました。

 トロントでは、クリエイターを支援する「Creators’ Lounge」という会社でインターンとして参加したほか、TORJAでも記事を書く機会にも恵まれて、「カナダのLGBT子育て事情」などの記事も担当しました。これらの活動は、自分にとって貴重な経験になりましたし、間違いなく将来の目標に繋がる活動になりました。

今、テレビで発信する人になるという目標の入り口にはたどり着き、カナダでの滞在を通して見つけたその先の目標

 カナダのような「多様性」に溢れ、違いを受容し、異質な他者に寛容な環境を、日本社会にもっともっと浸透させたいというのが目標です。
 特に外国人が日本で急増していることを鑑み、彼らとの共生を進め、国際色豊かな日本を実現するための発信や取り組みを行っていきたいと思います。

 この夢は、カナダに行かなければ抱けなかったものだと思います。

ワーホリ時代を振り返ってもっとこうしたら良かったと思うこと

①もっと英語漬けの環境を作れば良かった

 私がインターンをしていた場所は、日本人スタッフも多くいたので、ついつい日本語を使って業務を行うことも多くありました。「これくらいはいいかな」と、気が緩んでしまうと、やっぱりいくら英語の環境でも惰性になってしまいます。
 例えば現地大学の学生コミュニティなど、完全に英語しか使えない環境に飛び込み、よりストイックな英語環境を作れば良かったと思っています。

②現地の文化を最高に楽しむ時間を作れば良かった

 トロントはストリップバーが有名ですが、結局行けずじまいに終わってしまいました。帰国した後に「ストリップバーに行った!?」と聞かれることが何度かあって(笑)。行かなかったことを後悔しています(どんなんだったんだろう…?今でもとても気になります。笑)。

③コミュニティの幅を広げれば良かった

 ワーホリはただでさえ海外という環境で心細いと思います。だからこそ、居心地のいいコミュニティに居座ってしまいがちになります。特に日系のコミュニティは繋がりも強く、すぐに顔見知りや馴染みができてしまうと思います。でも、それが何よりももったいないなと感じます。一つでも多くの、そして違いのあるコミュニティに参加するべきだったなと後悔しています。

ー日本ではワーホリの価値が就職活動であまり評価をされないと聞きますが、実際はどうでしたか?

 業界や企業によっては評価されない風潮は少しあると感じました。〝海外をなんとなく楽しむこと〟という印象をもたれてしまうこともありました。

 また、評価されないというより、ドメスティックな職種や企業は、「ワーホリ」と言ってもいまいちピンとこないようでした。

 地方のテレビ局を受けているときに「カナダは多国籍国家で、LGBTの人たちなどマイノリティにも寛容で、多様性が豊かで…日本ももっとグローバルに…」などと言っても、年齢がだいぶ上の面接官の方からは共感が得られませんでした。逆に言うと、外資系やグローバルを視野に入れている企業であれば、ワーホリでの活動を正しく評価してくれると思います。

大切なのは、海外に1~2年間滞在した経験だけでは不十分だということ。英語環境で、自分はどんな行動を起こしたのか?そこでどんなことを得たのか、考えたのか?というオリジナルな内容を伝えることが必要だと思います

ーさとみさんと同じように大学を休学して就職活動準備のためワーホリでカナダに来ている学生が増えていますが、具体的にどのような勉強・経験を積むことが日本での就職活動に必要でしょうか?

 もし現時点で目指している夢や職種があるのならば、少しでもそれに直結する体験をすることが大切だと思います。機会がないのであれば、自分で作り出すこともできます。それが海外の、カナダの良いところです。実際に仕事に直結する何かをを経験する。これが帰国後の就職活動において、何よりも身になる経験だと思います。

 もし、特に就きたい職業は無く、自分のしたいことを探しに来たのであれば、興味のあることを片っ端から始めてみてもいいと思います。せっかくカナダに来たのだから、この1年間だけはいろいろな新しいことをしてみよう!と。そうした経験は、就活に限らず将来に繋がると思います。

「記録」をすること。特に、自分の気持ちを書き残してほしい!

  1. どうしてそれをしたのか?
  2. 活動を通してどのようなことを感じたのか?
  3. どのような変化・結果が現れたのか?

 を中心にメモをとってほしいです。経験から得た自分自身の「考え」こそが、就職活動で最も評価されると確信しています。

日本人のワーホリの人たちに伝えたいカナダで感じたこと5

  1. 目的を持って滞在した方がいい!
  2. やっぱり日本人同士で固まりがち
  3. 面白い人がたくさんいる
  4. ジャパレスやカフェのバイトだけでは、もったいない
  5. 語学学校は必須ではない

帰国後に感じたワーホリをやって良かったこと5

  1. 就職活動で強みになる、オリジナルの経験を作れた
  2. キャリアについての固定概念がなくなり不安が少なくなった
  3. 視野が広がり、会える人や見える世界が一回り広がった
  4. 挑戦することが怖くなくなった
  5. いつでも帰ることのできる“another sky”ができた

ワーホリをやって感じたデメット

日本で逆カルチャーショックを受けるようになった
  ⇩
 満員電車、時間にストイック、礼儀作法、締め切り厳守など、日本の文化に適応し直すのが大変だった。

カナダスタンダードに馴染んでしまったこと
  ⇩
 服装や歩くスピードなどカナダのゆるさに慣れて心地良さを知ってしまった。

日本の就活の波に乗り遅れたこと
  ⇩
 帰国時期が3年の冬だったので、夏期インターンに参加できなかった。

他の友人と一緒に卒業式に出られなかった

就職活動で実感したワーホリ経験で評価されたこと5

  1. レポーター活動やコラム記事を書いていたこと
  2. シェアハウスなど、多様性のある環境で生活したこと
  3. 英語を使って生活したこと
  4. 一人で海外に飛び出したという行動力
  5. ビジネスの観点から、北米と日本の違いを語れたこと
*ワンポイントアドバイス
 カナダではUber、airbnbなどシェアリングエコノミーが進んでいるなど面接官が知らない新しい観点で北米の経済や企業について話せるとプラスになりました。

ワーホリ経験がマイナスと感じたこと

・ドメスティックな企業には、あまり国際色豊かな経験が好まれなかった。

*ワンポイントアドバイス
 「海外で取材活動をして記録に残した」という行動自体はどこでも評価されました。それは「度胸」や「行動力」という、どんな会社であっても評価される強みとしてアピールできたからだと思います。

・日本の就活様式にうまくなじめなかったこと(カナダの多様性溢れる環境に慣れてしまい、皆が黒いスーツを着て行う日本の就活スタイルに耐えられませんでした。笑)。

・キャリアについての固定概念がなくなり、改めて「働くこと」について迷ってしまった。

・ごく一部の企業や職種は卒業時期が遅れていることに対して良い印象を持たない。しっかり説明しないと、単位を落として留年をしたと勘違いされる。

私は、ワーホリに行くこと自体は就活にマイナスにならないと実感しています

 カナダに住む人々は、挑戦に対してとても寛容です。皆が「イイネ!」と言って応援してくれます。ぜひみなさんにも夢を描いてもらって、そこへ向かう道のりの途中に、ワーホリという経験をしてほしいなと思います。