カナダCOVID-19パンデミックダイアリー 上地 伊久子さん

コロナ禍のなかで過ごした日々と気持ちの変化、見つめ直されたライフスタイルや仕事の価値観、家族との過ごし方などそれぞれの人生観について綴ってもらう。
〝家族とスタッフがいてくれること、優しい友人やお客さんがたくさんいること、仕事があること、それだけで幸せなんです〟

上地 伊久子さん(沖縄県出身)
職業: シェフ
カナダ滞在歴: 8年
プロフィール: ご主人と通堂ラーメンを経営する3児の母

『気持ち』

 中国で新型コロナウイルスの感染拡大が騒がれていた頃は、全くの他人事で、今このトロントにおかれているような状況になることは、考えてもいませんでした。

 緊急事態宣言が出されてから、レストランでの店内飲食ができなくなり、次の日から売り上げが激減し不安や心配はありましたが、それでも私は根がポジティブなので、「なんとかなる!」と思って今日まで過ごしています。

『環境の変化』

 環境の変化は仕事面で急激にあらわれました。緊急事態宣言が出される前は、子育てもあるので、1日に4時間程度しかお店の手伝いをしていなかったのですが、3月中旬ごろから売り上げがなく、スタッフも雇えなくなったので、主人と2人で一日中働かなくてはいけなくなりました。

 プライベートは、一日中仕事をしているので、子どもたちはほったらかしですが、彼らもこの状況を理解してくれて、ご飯作りや掃除洗濯など自分たちでなんでもやってくれているのがとても頼もしいです。

『価値観』

 コロナによって価値観が変わったということをよく聞きますが、私は家族(スタッフ含む)がいてくれること、優しい友人やお客さんがたくさんいること、仕事があること、それだけで幸せなんです。

 今回のコロナ禍をポジティブに捉えるなら、私の周りに感染者がいないから言えることだと思いますが、子どもたちにとって、長い人生の中でこんなにのんびりとした時間を過ごすこともいいのではないかと思います。

 これまでお店を守るため、毎日必死に働いていたので、正直色々と考える余裕がありませんでしたが、これから確実に変わるであろう世の中に合わせて、私も考え方を変えていかなければいけないと思っています。

『仕事と収入』

 いまは、収入はかなり減りましたが、政府からの支援金や子供手当などのおかげで、生活は安定しています。スタッフも、国からの給付金がもらえているので、週に1、2回の出勤しかありませんが、生活には困っていないようです。カナダ政府の決断の速さや対応にはとても感謝しています。とてもいい国だと思います。

 だけどもちろん、終わりの見えない状況なので、国からの支援がなくなった後のことを考えると不安は尽きません。

『感謝』

 私と主人は、結婚前から飲食店で働いていて、2人ともこの仕事が好きでトロントにお店を出したのですが、コロナの影響で人生最大と思える危機を迎えています。しかし、遠方からわざわざテイクアウトをしに来てくれたり、美味しい差し入れを持ってきてくれたり、デリバリーの注文の時に優しいメッセージを送ってくれたり、SNSで宣伝してくれたり、テイクアウトにもかかわらず、チップをたくさん払ってくれたり、情報を共有してくれたりと、ほんとにたくさんの優しい方たちに助けてもらっていて、感謝感謝の毎日です。あらためてこの仕事が大好きになりました。

『ニューノーマル』

 私にとってニューノーマルはまだ模索中です。今後、アフターコロナ・ウィズコロナの環境の中で、仕事面では飲食店のあり方も変わっていくと思うので、新しいことへの挑戦も考えていきたいです。もちろん、仕事ばかりではなく、子どもたちとの時間も大切したいですね。

琉球新麺 通堂

596 College St
営業時間
12:00pm〜11:00pm
Open 7 Days a Week
TEL: 416-588-8317