【日本製品と文化の魅力を北米へ】日本の政府系機関が仕掛ける戦略的プロモーション「Next Stop Japan」 メディアナイト開催

【日本製品と文化の魅力を北米へ】日本の政府系機関が仕掛ける戦略的プロモーション「Next Stop Japan」 メディアナイト開催

トロント・クイーンストリートで3月13日から22日まで開催されたポップアップイベント『Next Stop Japan ‒ Marketplace』。本企画は、ジェトロが主催し、在トロント日本国総領事館およびジャパンファウンデーションが共催して実施されたものであり、「日本ブランド」をトロント、そして北米市場へ戦略的に発信することを目的としている。

 3月12日にはメディア・インフルエンサーを対象とした『Media Night』が開催された。その現場を取材し、日本製品と文化の魅力を、単なる展示ではなく“体験”として届ける取り組みを紹介する。

メディアナイト開幕──静かに始まる“和の演出”

メディアナイトは午後7時にスタート。受付を抜けた瞬間、空間に広がるのはピアニスト橋本茉莉子氏による演奏である。来場者はメディア・インフルエンサーを中心に約80〜100名。過度な混雑はなく、各ブースや演出をじっくり体験できている様子だった。

刃物と音──身体性で魅せる日本文化

イベント最中には「Knifewear」によるパフォーマンスが実施された。刃物という日本文化の中核的プロダクトを、静的な展示ではなく“動き”として見せることで、観客の視線を強く引きつけた。
また、三味線と和太鼓による「Ten Ten」の演奏。低く響く太鼓の振動と、鋭い弦の音が重なり、会場の空気が一変する。視覚だけでなく身体感覚に訴える構成は、本イベントのコンセプトを象徴している印象だった。

“食”で体験する日本──軽やかな設計


フードはトレーサービス形式で提供され、おにぎりやフィンガーフードが会場内を巡る。さらに各ブースでは桜大福をはじめとしたサンプルが提供され、来場者は自由に味わいながら回遊することができた。

日本文化の“入口”としてのマーケットプレイス

イベントは、日本のプロダクトや文化を横断的に体験できる場として構成された。食品、日本茶、キッチンウェア、ライフスタイル雑貨、文具など、多様なカテゴリーの出展者が集結し、来場者は“桜”をテーマにした空間の中で日本文化に触れることができる。


特徴的なのは、「購買」に繋げるための「体験」を主軸に置いた設計である。試食やデモンストレーション、パフォーマンスを通じて、来場者の理解と興味を自然に引き出す構造となっている。会場に並ぶプロダクトはいずれも、素材や手仕事への意識の高さを感じさせるものばかりであり、日本文化の本質が静かに立ち上がる空間だった。

所感──ローカルに届く、
日本の価値とeコマースの接点

本イベントで強く感じられたのは、日本製品と文化が、確実にカナダのローカル層へと浸透し始めているという実感である。来場者の多くは現地消費者であり、すでにオンライン上で日本の商品を“知っている”層である。しかし、その理解はまだ断片的だ。

ここで提供されたのは、その断片を“体験”によってつなぐ場であった。実際に手に取り、味わい、背景を知ることで、日本製品の価値は一段と立体的になる。その納得感は、その場の感動で終わらず、後のeコマースでの購買へと自然に接続されていく。

日本文化の繊細さや品質への信頼が、ローカル市場の中で「選ばれる理由」へと変わる瞬間である。世界の中でも「Next Stop Japan」は、オフライン体験を起点にオンライン消費を加速させる、日本ブランド浸透の実践的なモデルであるといえるだろう。

ベンダーさんの声

Nakamori Japanese Restaurant

スカボローで地元の日本食ファンに人気の「Nakamori Japanese Restaurant」は、今回初めてJETROのイベントに参加し、「日本文化に対するカナダの人々の関心の高さを、来場者の反応を通して改めて実感した」と語る。実際に目の前で試食し、興味を示す来場者の姿は、日頃の店舗運営とはまた異なる手応えを感じさせるものだという。


スカボローというローカルエリアにおいても、日本食への理解や関心は着実に高まっていると語る。「ダウンタウンのようなトレンド感度の高いエリアとは異なり、より地域に根ざしたマーケットではあるが、その分、基礎的な理解がしっかりしており、長く支持されている」と教えてくれた。
今回のイベントでは、あづまフーズの商品で開発されたメニューを提供した。
「こうした場で直接反応を得られることは非常に貴重」とし、日本食の可能性がローカル市場においてさらに広がっていく手応えを語ってくれた。

Azuma Foods

オリジナル商品の製造や日本食材を取り扱うあづまフーズのオンラインショップ「Azuma-tei」は、来場者の反応について「多くのカナダ人が日本の特別な商品に強い関心を示している」と語る。焼き芋の自然な甘さや、冷凍で提供可能なアナゴ寿司など、手軽でありながら本格的な味わいの商品は、その場で高い評価を得ていたという。

同社は日本食材の流通を長年支えてきた実績を持つ。これまではレストラン向けのBtoBビジネスが中心であったが、近年は一般消費者向けの展開にも力を入れている。背景には、家庭でも本格的な日本食を楽しみたいというニーズの高まりがある。「レストラン品質の味を家庭で再現できる商品」をコンセプトに、一般向け商品の開発を進めている。

また、JETROとの連携を通じて、日本国内で人気のある商品やトレンドも積極的に取り入れている。焼き芋をはじめとした商品は、そうした取り組みの一例であり、日本の“今”をカナダ市場へ届ける役割も担っているそうだ。
「直接反応を得られる場は貴重」とし、今回のイベントを通じて、BtoBとBtoCの双方をつなぐ新たな可能性を実感していると語った。