「カナダで知った、花より団子」白石 真理さん カナダ在住3年|私のターニングポイント第19回

2019年にワーキングホリデービザでカナダに来た白石さん。日本では写真家だったという彼女は、永住権取得を目標に現在はトロントの青山寿司で働いている。キッチンとホールサービスを担当しながら、インスタグラムのプロデュースなどプロモーション・マーケティング業務などもこなしているという。

日本では写真家

 日本では写真家として活動していましたが、もっと広い世界をフィルター越しに見てみたいと思い、2019年にカナダに来ました。初めての長期海外生活で戸惑いながらも色んな価値観を知っていく中で、もっと頑張りたい、そう思わせてくれたのがカナダでした。それから永住権取得を目指すことを決めました。

就職。しかしすぐにロックダウンでピンチ

 当時働いていたラーメン屋ではワークビザが取れなかったので、2020年の3月から現在働いている青山寿司で働くことになりました。しかし、出勤2日目にして新型コロナの感染拡大でロックダウンになり、仕事がないまま数ヶ月が経ちました。世界中がパニックになり、友人たちが帰国していく中で、私のビザの期限も迫っていました。家族もいない異国の地で、いつまでロックダウンが続くのかも分からず、もうダメかもしれないと思ったこともありました。今思うと、この時が一番のピンチでした。

 ロックダウン中はオーナーと電話でビザについて話し合っていたので、その時に仕事への熱意を伝え、2日間しか働いていないにも関わらず、ワークビザのサポートをしてもらえることになりました。

自分に出来ることは何か

 お店がオープンしてからも何度もロックダウンになり、テイクアウト営業のみの日が長く続きました。そんな環境でしたが、自分に出来ることは何か、と毎日考えていました。そこで始めたのがインスタグラムの毎日投稿です。

 元々このレストランで働いていたスタッフが、お客様を楽しませる目的でインスタを始めて、ロックダウン中もお客様を励ますために動画を投稿していました。私はその意思を継いで、コロナで外出制限がかかり、寂しい思いをしている人たちに笑顔を届けたいと考え、インスタで写真や動画の投稿を始めました。そしてオーナーにお願いして、お店のインスタを私に一任してもらえることになりました。

私の写真を見た人が笑顔になってくれているのを見るのが喜び

 2020年10月から毎日、たくさんのエンターテインメント動画を投稿してきて、時にはアイデアが浮かばず、行き詰まることもありましたが、何をする時にも頭の片隅にインスタのことを考えていると、全然関係のないところからアイデアが湧いてくることもありました。実際にお客様から「あの動画見たよ!面白かったよ!」とコメントやお店で直接言ってもらえると、とても幸せを感じることができています。

 以前日本にいた時は写真で賞を取ることが一番の目標でしたが、今では私が撮った写真や動画を通して見た人が笑顔になってくれているのを見ると、とても嬉しくそれが一番の喜びになっています。

■ いまの自分に点数をつけるとしたら?

88点
自分に点数をつけることは難しかったので、私のラッキーナンバーの88にしました。自分はまだまだなので、伸びしろしかありません。

■ もし人生をやり直せるとしたら、いつ?

 人生をやり直したいと思ったことはありません。もっとこうすれば良かったと思うこともありますが、それがその時のベストだったと思います。

■ 学生時代のエピソード

 学生時代はとにかく部活動に励みました。中学生時代はハンドボール部のキャプテンをしていました。コーチはとても厳しい人で、今でも夢の中でお叱りを受けるほどです(笑)。その当時はコート内でのポジションをキープするためにどう自分の存在価値を出すかを考え、努力のみならず結果に結びつくように毎日必死の思いで練習に励んでいました。

 高校時代は写真部に所属し、日本一の写真の賞を取ることを目標に、毎日どこへ行くにもカメラを携えていました。九州は温泉が盛んなので、飛び込みで、温泉に入っている人に交渉して写真を撮らせてもらった事もあります…。高校3年間でたくさんの写真の賞を受ける事ができ、ついに3年生の時に念願だった日本一の賞を頂きました。今の仕事に向き合う姿勢は学生時代に部活動を通して学んだ教訓が支えてくれていると確信しています。

■ 人生で大切なことは?

 本当に大切な事はシンプルなことだと思います。いま自分の置かれている環境や、サポートをしてくれている人たちに感謝し、今を一生懸命に楽しく生きる。ネガティブになりたくないので、悪口や愚痴は言いません。困難があってもワクワク感とチャレンジ精神で頑張っていれば、道は拓けると信じています。

■ 将来の夢・ライフプラン

 私は熊本県の田舎町で生まれ育ちました。蛍を川に見に行ったり、山に冒険に行ったり、とても豊かな自然に囲まれ、心温かい地域の人たちに見守られながら育ちました。今はそんな熊本がとても恋しいですが、私が日本にいた時は熊本出身ということに特に深い意味を感じていませんでした。しかしカナダで出会う人たちにとって私は、初めての熊本人ということになります。それで、カナダでは私が熊本出身という事に意味があると気づきました。そんな中、熊本のマスコットキャラクターであるくまモンのアンバサダーになれるチャンスがあると知り、くまモンアンバサダーの任命賞をもらいました。

 熊本には熊本を盛り上げようと取り組んでいる人たちがたくさんいます。現在カナダにいる私は、外から熊本を盛り上げていきたいです。先日、カナダのテレビに出演する機会があり、ディレクターにお願いして、くまモンをアピールするためにくまモンの耳をつけさせてもらいました。熊本を盛り上げるために、これからもくまモンをカナダに広める活動をしていきたいと思います。

-座右の銘: 迷ったらワクワクする方を選ぶ
-好きな本: 金子みすゞ『私と小鳥と鈴と』。私はクリスチャンではありませんが、毎日『聖書』を読んでいます。『ハリーポッター』幼少期からずっと好きです。
-尊敬する人: 私を日本から支えてくれている両親です。学生時代、部活で遠征の時は毎回遠くまで私を応援しに来てくれました。自分の時間を削ってまで私を支えてくれた両親には感謝と尊敬の気持ちでいっぱいです。
-感謝している人と一言メッセージ: 今まで私に出会ってくれた全ての人たちに感謝しています。皆さんのおかげで今の自分がいます。私と出会ってくれてありがとうございます。
-カナダの好きなところ: 今の環境は私が今まで想像も出来なかったようなバックグラウンドをお持ちのお客様にお会いするチャンスがあります。物事の表面的なものではなく、本質を追い求める事で結果はおのずとついてくるということを気付かせてくれました。たくさんの学びを与えてくれるカナダは面白く素敵なところです。