「カナダ移住につながる旅」奥澤 麻美さん カナダ在住7年|私のターニングポイント第18回

お祖父様が80年代にカナダに駐在した関係で、カナダの経済の話やカナダ人と仕事をした話を聞いて育ったという奥澤さん。在日カナダ商工会議所での勤務のほか、カナダ大使館では、カナダの映画、音楽、舞台芸術からカナダ留学を広報するチャンスに恵まれた。2015に渡加し、JETROトロント事務所で対日投資の業務を担当、2016年からはジャパン・ソサエティで日加企業とともに両国の関係の促進を目的に経済、文化など多岐にわたるプログラムに従事し、やりがいを感じられるカナダライフを過ごしている。

多方面で影響を受けたビルさんとの出会い

在日カナダ商工会議所のネットワーキングイベントでのビルさんとわたし
在日カナダ商工会議所のネットワーキングイベントでのビルさんとわたし

 トロントに引っ越す直前は、カナダ大使館もある東京・青山一丁目駅近くに事務所をかまえていた在日カナダ商工会議所に勤務していました。在日カナダ商工会議所は、日加経済関係を促進するための非営利団体です。当時の上司は、ビルさんといってモントリオール出身の方でした。ビルさんからはカナダのこと、ビジネスマナー、英語のメールの書き方など今でも役立っていることを教わりました。プレゼンも上手で、事業を進めるにあたって人を説得したり、巻き込むのがとても上手な方でした。仕事はとても早いけど、一方で定時になるとバシッと帰宅して家族や趣味の時間を大事にしていました。

JMECでの授賞式でチームメイトと
JMECでの授賞式でチームメイトと

 また、ミニMBAと呼ばれる経営とビジネスプランの書き方を学ぶ「JMEC(Japan Market Expansion Competition)」というプログラムに挑戦していて、フルタイムで働きながらでも学び続けようとする姿勢に刺激を受け、わたしも翌年「JMEC」に参加してみました。

 実際、プログラムが始まると平日は仕事のイベント運営で遅くなる日もありながら、週末はみっちり座学があり、宿題には調べものやレポートなどもあり、結構大変でした。

人生を、何より短い夏を思いっきり楽しもうというモントリオールの雰囲気に感銘を受ける

 ある夏、せっかくカナダ商工会議所に勤務しているのだし、夏休みはカナダに遊びに行こう、それもビルさんからよく話を聞いていたモントリオールに初めて旅行してみようと思い立ち、大学時代の友人と女子二人旅が決定しました。幼少時に家族旅行でカナダ西部を訪れたことはありましたが、初めて自分でプランするカナダ旅行です!夏のモントリオールでは、セントローレンスリバーが気持ちよく、野外コンサートに通りがかったり、初めてのヨガクラスをフランス語で受けることになったり、現地で知り合った友人にホームパーティーに招待していただいたりしました。

モントリオール旅行でレンタルサイクル
モントリオール旅行でレンタルサイクル

 ビルさんに教えてもらっていたギリシャ街では、レストランにワインの持ち込みができて、地元っ子と一緒になって、サマータイムのおかげでまだまだ明るい中、路上に広げたテーブル席で外の風を受けながら食事を楽しみました。街では、異なる宗教が隣同士でお祭りのようなイベントで盛り上がっている姿や、フランス語・英語はもちろん様々な言語が行きかう様子に感銘を受けたことを覚えています。

 モントリオールに旅行したことで、日本から仕事で携わっていただけでは知らなかったカナダの良さをたくさん知り、帰国してからカナダに移住したいと考えるようになりました。一緒に旅行した友人も感化されたのか日本帰国後、上場企業を退職し、漫画家になりました!

カナダに移住したいと思い、ワーキングホリデーで渡加

 カナダに移住したいと思ってからは、どのような方法があるか、ビザのことやカナダの各都市の雇用市場などを調べました。ワーキングホリデーは日加間で最大一年間相手国で学業、就業、観光ができる素晴らしい仕組みですよね!それを利用して渡航することにしてからは、貯金、部屋探し、英文の履歴書を準備したり、カナダ検定にもチャレンジしました!

 恥ずかしながら日本でカナダ関係の仕事に就くまでは、カナダの公用語が英仏両言語であることも知らず、モントリオール旅行では衝撃を受けました。カナダにいつか行きたいと思いだしてからは、フランス語を勉強し始め、学校にも通い、長期休暇を使ってフランスでホームステイなどしましたが、まだまだ流ちょうに話したり、新聞を読めるレベルには到達できていません。

■ いまの自分に点数をつけるとしたら?

100点満点!と言いたいところですが、フランス語の勉強をさぼっているので、赤点ですね。

■ もし人生をやり直せるとしたら、いつ?

 やり直したいことがあったら、今行動すればいいので、時間を戻す必要はなさそうです!大学時代に第二外国語でフランス語をとって、真面目に勉強していたら、基盤は違ったのかもと思うので、今勉強しないといけないですね。学生のみなさん、在学中に学校の授業や図書館は活用してください!社会人になったら全部自腹ですから!

■ 人生で大切なことは?

 思いやり。

■ 将来の夢・ライフプラン

 カナダに住む夢が叶い、充実した日々を過ごしています。生涯にわたって日加関係に携われたらよいと思いますし、これから日加関係のために働きたいと思っている人や団体の手助けができたら嬉しいです。

-座右の銘: 座右の銘ではないですが、卒業論文は、アリストテレスの『ニコマコス倫理学』を読み解きました。その中で、「中庸」が徳として紹介されており、例としては、「臆病」と「向こう見ず」は反対の性格だけれど、どちらもわかっていないと中庸であることはできないとしました。本当にその通りだなと思いながら生きています。
-好きな本: 『14歳からの哲学』 池田晶子、『壬生義士伝』 浅田次郎
-尊敬する人: ツッコミがうまい人。
-感謝している人と一言メッセージ: 両親には感謝してもしきれません。今の自分がいるのは、両親のおかげです。それからおじいちゃんとおばあちゃんのカナダの話を聞いて、カナダのことが好きになったので、そのご縁にも感謝しています。いつも応援してくれてありがとう!
-カナダの好きなところ: 移民が多くて、それぞれの文化を受け入れているところ。のんびりしているのに、ちゃっかりしているところ。