「舞踊を通して成長した20代」鵜飼優衣さん(カナダ歴10年)|私のターニングポイント第5回

 トロントブルージェイズ、バレエ・クレオ、カシェダンスカンパニーでダンサーとして活躍し、現在はフリーランスで舞踊家、女優、インストラクター業をしながらヨーク大学芸術学部舞踊学科の大学院で修士号の勉学に励む鵜飼さん。日本でも舞踊が現代人の人たちの身近なものになって欲しいと願い、自分に何ができるかを具現化している最中だ。

カナダのトロントという土地で生活するという特別な意味を自分の中で探すようになった

 ヨーク大学に入学し、勉学に励む中でダンスコニュニティーと繋がることが出来たのがまずは最初の分岐点です。その後、ブルージェィズやカナダ企業で働き、いまはフリーランスで舞踊家、女優、インストラクターとして活動をするようになりました。

 主に舞踊の作品作りや公演に関わることで多文化や違う境遇と価値観の人たちと深くかかわり合うという経験やアーティストたちから刺激を受け、昨年からヨーク大学の大学院で日本文化と近代舞踊の融合する舞踊の振付と創作、デジタルコラボレーションとパフォーマンス研究について勉強しています。

オーディションに落ち続ける時もあり、自信を無くしたこともありました

 私はトロントに来てから沢山のオーディションを受けるようになりました。自分から受けに行くものがほとんどで、毎回緊張しながらも自分の最大限の力を発揮しようと一つ一つのオーディションに力を入れていました。オーディションの結果は良い時もあれば仕事に結びつかないこともあります。

 私は幸運なことに家族や周りの方々、そして素晴らしい先生や先輩方の助言を心に留めてきたこともあり、いつからか結果はさて置き、一つ一つのオーディションは経験を得るという価値をあたえてくれる大切な場所、そして自分自身の足りないものを補うことに気づきました。オーディションの場は、自分の長所を発見し、伸ばし続けていける学びの場所なんだと思うようにしてから、目的や仕事の仕方が変わったように思います。

チャンスや幸運をつかむということは、日々の行いや努力の賜物

 毎日、自分の心身を整えることは仕事の効率を上げるのにも繋がっていると思います。7年ほど舞踊を通して様々な方々と仕事をする機会に恵まれながら、トロントブルージェイズでは一年ごとにインタビューとオーディションの選考をし直すという環境の中で、3年間在籍したことは自信と成長に繋がりました。

 生まれ持った才能や能力によって環境の違いはあるかもしれませんが、それでも目の前にある課題や磨き続けるという作業があるからこそ、結果的に人としても成長し、またその成果を発揮できる場所が与えられるのだと思います。

■ いまの自分に点数をつけるとしたら?

95点 100点満点だと、そこで止まってしまうような気がしてしまうので、5点は伸び代があるという希望を自分に持って、しっかりと成長していってねという意味を込めて。

■ もし人生をやり直せるとしたら、いつ?

 なし。いつの日も明日、自分の人生が終わるとしてもやり直す思いのない人生をこれからも送りたいですね。

■ 学生時代のエピソード

 小中学校時代は帰宅部、バレエのお教室に週6日通う日々を過ごし、高校では宝塚の県立高校にある演劇科に進学したため、ここでも毎日登校し、普通の高校生の科目を勉強しながら、構内にある劇場とスタジオに篭っていました。

 集中したり、気合が入ると視野がとても狭くなり時間を忘れて何かに没頭してしまう一方で、小中を広島の瀬戸内海を見渡す田舎の宮島(厳島神社)の近くで過ごしたからか、関西に進学した高校時代はみんなからおっとりしてるといつも言われていたように思います。

■ 人生で大切なことは?

 ポジティブシンキング。物事を良くも悪くも捉えるのは本人次第なので、出来るだけ人生を豊かに出来るような思考を持つ事が大切だと思います。

■ 将来の夢・ライフプラン

-修士号を習得する事。

-日本に数年帰る機会があれば、学校で必須となったダンスを学び、踊る時間を日本舞踊や日本の民族舞踊を土台として、北米で根付いている近代舞踊や創作舞踊の構成の仕方の新しいアプローチを通して、古くから伝えられる日本の舞踊をダンスを通して体現化し、理解していくことの出来るワークショップ等が出来るように地元から発信したいです。

-大学等で舞踊や舞台芸術を専攻し、卒業した人たちの働く場所を作るためにそのような人たちが所属できる組織を形成し、地元の学校の先生たちや人のニーズに合わせて、舞踊の講師や舞踊作品の提供を出来るネットワークを作りたいです。

-座右の銘: 好きこそものの、上手なれ
-好きな本:1. すべてを味方、すべてが味方/小林正観、2. 美しく、心地よく、生きる/ 升野俊明、3. Even Happier/Tal Ben-Shahar
-尊敬する人: 島崎徹氏、田丸美佳氏
-感謝している人と一言メッセージ: 父と母。いつも変わらず、応援してくれてりがとうございます。
-カナダの好きなところ:多文化を尊重し合い、共存していることろ。