『ラビット・ホール』とニコール・キッドマン|トロントと日本を繋ぐ映画倶楽部【第28回】

『ラビット・ホール』とニコール・キッドマン|トロントと日本を繋ぐ映画倶楽部【第28回】

 『スーパー!』でジェームズ・ガン監督を初めて知り、大興奮した2010年のトロント国際映画祭(TIFF)では、他にも興奮する出来事がたくさんありました。そんなわけで、今回も2010年の昔話の続きです。

 前年の2009年、何も知らないまま後半日程を中心に入手可能なチケットで映画祭を楽しんだ私は、スター俳優や監督が登壇する豪華な舞台挨拶や上映後のQ&Aにはほとんど遭遇できずに終わってしまいました。その反省から、2010年には関係者が登壇しそうな上映回を狙ってチケットを取っていました。

そんな作品のひとつが、ジョン・キャメロン・ミッチェル監督のニコール・キッドマン主演作『ラビット・ホール』でした。この作品はTIFFがワールドプレミアで、その初回上映がElgin Theatreで予定されていました。ワールドプレミアのためか、チケット料金が通常上映より高めのプレミアム上映となっていましたが、こんな機会はなかなかないだろうから、とチケットを取りました。

▲2010年の上映スケジュールと『ラビット・ホール』のチケット
▲2010年の上映スケジュールと『ラビット・ホール』のチケット

 会場に入ると、スクリーンが見やすい中央付近の座席の一群が、関係者席になっていました。一般上映ではあまり見ない豪華なドレスで着飾った観客もちらほら見受けられ、さすがワールドプレミアという雰囲気です。Elgin Theatreは、近年では座席指定制になっていましたが、2010年当時は関係者席以外が自由席だったため、私は関係者席の2、3列後ろの見やすそうな位置で座席につきました。

 上映前に関係者の舞台挨拶があり、そこに主演のニコール・キッドマンも登壇しました。このとき、私は初めてニコール・キッドマンを生で見ました。目の前で動き話すニコール・キッドマンはとにかく美しく、綺麗!けっこう背が高い!でも細い!そして顔が小さい!と、抜群のスタイルや美貌に私は目を奪われるばかり。

そして舞台挨拶が終わって上映が始まるタイミングで、登壇していた関係者が観客席の中を私が座っているほうに向かってきて、なんと私の数列前の関係者席に座りました。この美しいニコール・キッドマンと、数メートルしか離れていないこの場所で、一緒に映画を観るのか!などと思うと、どうにもソワソワして映画に集中しにくいものがありました。でも、一般客が映画スターとともにワールドプレミア会場で観賞できるなんてTIFFすごい!と感激しきりでした。