新生活に役立つカナダのお金・投資予備知識|特集「お金のこと、ちゃんと考えてる?」

新生活に役立つカナダのお金・投資予備知識|特集「お金のこと、ちゃんと考えてる?」

TFSA

超初心者向け!まずはこれだけは押さえておこう

 TFSAとは、一般的な貯蓄を目的とした非課税貯蓄口座「Tax-Free Saving Account」を指す。18歳以上でカナダに住んでおり、SIN番号を持っていれば開設が可能。

 ポイントはTFSA内で株や投資信託を運用でき、配当や利益に対しての課税が免除される(通常は利息や投資で得た利益は課税対象となる)。毎年入金できる限度額が政府によって定められている(右/上表参照)。2009年から現在に至るまでカナダに居住している場合、75500ドルまで入金可能となる。限度額を超えた入金はペナルティーが課せられるが、ある年に限度額を満たしていない場合、翌年以降に繰り越して入金できる。

例) 2020年に限度額6000ドルのうち、4000ドルのみ入金した場合、差額2000ドルは翌年以降に繰り越すことができるので、2020年の入金可能な限度額は、定められている6000ドルに加えて合計8000ドルとなる。

 また引き出しはいつでも可能で、引き出した分は翌年の限度額に加算できる。

RRSP

 RRSPとは老後やリタイアメント後の退職金貯蓄プラン「Registered Retirement Savings Plan」を指す。RRSPはミューチュアルファンドや株などで運用でき、利息や運用益は引き出すまで非課税となる。リタイアメント後の退職金貯蓄プランなので、基本的に収入の少ない時に引き出すことが想定され、所得も減り、控除額も上がり、節税効果が期待できる。またタックスファイリングの際に控除に該当し、所得からマイナスできることもメリットだ。

 また、初めて住宅を購入する際の資金「Home Buyers’ Plan」と自分もしくは配偶者の学校に通うための資金「Lifelong Learning Plan」がある。初めて住宅を購入する際によく利用される「Home Buyers’ Plan」は、RRSPの口座から一人あたり最大2万5000ドルまで引き出しても、その年は収入として扱われない。引き出した資金は、その2年後から15年以内に返済すれば良いとされており、無利子である。

RESP

 RESPとは、子どもの高校卒業後の教育資金用の積み立て口座「Registered Education Saving Plan」を指す。口座への入金額に対して、毎年20%の補助金が付与され、上限は子ども1人につき、毎年最大500ドル・合計7200ドル・17歳になるまでとなっている。世帯収入の制限はない。

 特徴は、口座内でGIC(定期預金)やミューチュアルファンド(投資信託)などの運用を通して教育資金を増やすことができ、引き出すまで発生した利息は課税されない。また、引き出す際も課税部分(Educational Assistance Payments)と非課税部分(Post Secondary Education Payments)があり、親ではなく子に課税されることになるので、ほとんど税金がかからないという優遇措置が取られている(RESP引き出し時はまだ子どもが若く、大きな所得を得ていることがないと考えられるため)。

 引き出しの条件は、教育機関への進学が条件となるが、大学だけに限らず、なおかつカナダ国外の例えば米国や英国そして日本でも認められている。

CCB

 CCBとは、子ども手当に相当し、「Canada Child Benefit」のことを指す。18歳未満の子供を持つ家庭に対し、前年の世帯収入に応じて、毎月決められた額が支給される。世帯収入が年間3万1,710ドル以下の場合、以下の最大額が支給される。
 6歳未満の子供一人につき月563.75ドル、6歳から18歳未満の子供一人につき月475.66ドル。非課税である。

OAS

 OASとは、国民年金制度の一つで老齢年金「Old Age Security program」を指す。65歳から支給される。カナダ居住者は受給を申請する場合、カナダの市民権もしくは法律上の居住資格があること、18歳以降に最低10年間カナダに居住していることが条件。国外居住者でも申請を可能だが、カナダ市民権もしくは永住権を持っていること、18歳以降カナダに最低20年間居住していることが挙げられる。

おまけニュース:カナダで世界初となるビットコインのETFを承認!
メリットはTFSAやRRSP口座で購入でき、非課税であるということ!

 テスラのCEOイーロン・マスク氏が15億ドル分、スクエアのCEOジャック・ドーシー氏が2億2000万ドル分を購入するなど話題沸騰のビットコインだが、米老舗銀行で世界最大手の信託銀行であるバンク・オブ・ニューヨーク・メロンの仮想通貨カストディサービス参入やクレジットカード大手のマスターカードが仮想通貨決済に参入するなど、世界の金融大手が仮想通貨事業に関わり始めている。

 そんな中、カナダ当局は資産運用会社「パーパス・インベストメンツ」の世界初となる暗号資産(仮想通貨)ビットコインの上場投資信託(ETF)の発行を承認した。このファンドは、実質的にすべての資産をビットコインで保有し、ETFの保有者(投資家)に長期的な資本増強の機会を提供することを目的としているという。なお、このETFはTFSAやRRSPで運用できるため、今後何年にも渡り成長を遂げると思う人には非課税で投資ができるというメリットもある。

 ただし、カナダ中銀のレーン副総裁は、ビットコインなどの仮想通貨の急騰は「投機的な熱狂」に見えるとの見解も示しており、決済手段としては深刻な欠陥を抱えていると述べた。また、カナダ中銀ではデジタル通貨の開発の必要を検討しており、発行を含めて数年前から分析を続けているそうだ。