カナダの『LGBTQ+』ライフストーリー:カナダ・ビクトリア在住 鈴木まど佳さん

カナダの『LGBTQ+』ライフストーリー:カナダ・ビクトリア在住 鈴木まど佳さん

 2012年に現在のパートナーと出会い、2016年に国際同性婚をした。日本では同性婚ができないので、パートナーの配偶者ビザがおりない。そのため、現在はパートナーとカナダで暮らしている。『LGBTQ+』のテーマを中心としたブロガーとしても日々貴重な情報を発信している。

幼少期は口数が少なく、人見知り。学校では一人ひとりの個性が大事にされていないことが疑問だった

カミングアウト

わたしは家族に恵まれたケースです

 自分のブログ内「国際同性婚を決めた私のカミングアウトストーリー」でも書いていますが、否定されるのではないかという恐怖心はありました。

 ただ、自分の中ではパートナーであるキムと共に生きていくと決意したので、それを伝えずにカナダに飛び立つのは違うなと思い、カミングアウトを決意しました。

 最初にカミングアウトしたのは母でした。母は「人を好きになることに性別も国籍も関係ないのだから自信を持っていいんだよ」と言ってくれました。父も「自分で決めたのだから自信を持って」と予想以上に肯定してくれた返答でした。

 わたしは家族に恵まれたケースです。しかし、残念ながら家族や友人に理解されない、祝福されないケースも知っています。実際に家族から絶縁された人もいますし、アウティングされた人もいます(アウティング:本人の性のあり方を、同意なく第三者に暴露してしまうこと)。
 なので、「カミングアウトするといいよ!」ということは全く思っていません。

カナダ社会で体感する理解や寛容性

かつてあった差別が今の寛容なカナダにつながっている

 人種、宗教、性別、民族、肌の色、文化的背景、様々なことが異なる人たちがカナダに住んでいます。差別が全くないわけではないですが比較的少なく、とてもウェルカムな雰囲気があります。

 カナダでは2005年から同性婚ができるようになりました。2017年にはカナダの首相ジャスティン・トルドー氏が『LGBTQ+』コミュニティへの不当な扱いや差別について謝罪しています。かつてあった差別が今の寛容なカナダへと繋がっているのだと思います。

 また、街中ではジェンダーニュートラルのトイレが普及されてきていますし、学校では『LGBTQ+』教育も盛んに行なわれています。

理解が遅れている日本社会

日本は「人権問題」という意識が低い

 「日本には差別がない」と言い切ってしまう人がいることが恐ろしいと思っています。一番多いのは「マイクロアグレッション」と呼ばれるタイプの差別ですね(マイクロアグレッション:悪意のない小さな差別的な言動や行動のこと)。

 『LGBTQ+』に関しても日本では人権問題であるという意識が低く、制度が整っていないのが現状です。制度がないことで困っている人がすでにたくさんいるので、きちんと人権問題として扱い、同等の権利を得ることができるようになればいいと思っています。

【一例】
・病院で面会が拒否される
・外国人パートナーの
ビザがおりない
・財産が相続されない
・子どもの親権が
認められない など

これからの社会に望むこと

 多くの人に今後の日本の同性婚訴訟に注目していただきたいです。当たり前の個人の自由として誰を愛するか、誰と共に人生を歩んでいくのか、選択できる世の中になってほしいと思っています。

<鈴木まど佳プロフィール>

 なぜダンスが生まれたのか?なぜ人は踊るのか?を探求しに世界一周の旅に出る。《レゲエの神様》ボブマーリーの孫娘ドニーシャに「革命的なダンサー」と言われる。日系スタータレントサーチ2015にて「最も記憶に残るベストパフォーマンス賞」を受賞。2017年カナダのビクトリア、マチョーズン村でダンススタジオをオープン。2016年にカナダ人女性と国際同性婚。 ブログ: https://madokasuzuki.com/