「無事、自宅を売却できました!」|コロナ禍体験談シリーズ

2015年に購入した自宅を、このCOVID騒ぎの中、無事売却することができました。20年早々には売り出す選択肢もあったのですが、冬の時期はマーケットが冷え込むというリアルターのアドバイスを受け、その時期をリノベーションにあて、春にマーケットが動き出したら出すつもりで動いていたところ、3月にロックダウンが開始してしまいました。

 物件リストのためのフォトグラファーを連れて来ることができず、オープンハウスもできなくなりました。ちょうど2月には一戸建ての値段がまた上がっているというニュースが出たところでしたので、もう少しだけ早く動いていたらとガッカリしました。

 ただ、マーケットが全く止まってしまったわけではなかったため、スローですが準備を進め5月末にリスト、10日後の締め切りに無事オファーを受けました。オープンハウスはまだできないため、内見はアポイントベース、全ての方にCOVIDの症状などが出ていないことを確認するウェイバーにサイン頂き、オファーのやり取りも全てメールという静かな手続きでした。

 いくつかの項目に分けて、体験談を共有させていただきます。

リアルター選び

 家を買って驚いたのは「売る気はありませんか?その時はよろしく!」と名刺や手紙を置いて行くリアルターが多いことでした。エリアで有名な方(道路脇に大きな看板を出している方)からは、「リノベーション代金を負担しますよ!売りましょう!」などのハガキが届きます。それだけ競争が激しいということでしょう。

 また、ここ数年、住宅価格が上がり続けていることもあり、最初からリノベーションをして良いタイミングで売る(Flip)つもりの家主も多いようです。代理人となるリアルターはただ家をリストしてセールの代理人となるだけではありません。売却タイミングやリノベーションのアドバイスから始まり、フォトグラファーやコントラクターの紹介もお願いできます。

 私たちは数人のリアルターに家を見て頂いて意見をもらい、また、どういったサポートをして頂けるかをお聞きした上で最終的にお願いする方を選びました。どうやったら家が高く、良い相手に売れるか、そして、この手続きをストレス少なく過ごせるかを二人三脚で考えてくれる人を選ぶことをおすすめします。

家の準備

 売りたいな、と思って一番最初にすることは「大掃除」だと思います。通常、売却後の明け渡しまでの時間(クロージング)までは2か月程度。その間に、次の引っ越し先と引っ越しを完了させる必要があります。売れてから考えようでは遅いわけです。また、リストする時には家の写真を撮ります。その時に、物置状態の部屋があっては魅力的に見せることができないため、できるだけ不要な物を減らしておくことをお勧めします。

 私たちは一か所にゴミを積み上げ、コンテナを持って来てゴミを丸ごと持って行ってくれるタイプのジャンクサービスにお願いしました。引っ越し時に荷物を預けるストレージサービスを使うのも良いと思いますが、引っ越しが終わるとまた整理するのが面倒になって置きっぱなしになってしまい、毎月結構な額を不要家具の家賃として払ってしまっているケースを聞きます。車があれば処理場にそのまま持ち込むこともできますが、それもそれで大変な手間です。コンテナ業者に支払った額は500ドル程度ですが、非常に楽でした。いずれにせよ事前の掃除を強くお勧めします。

売却タイミング

 私たちの場合はCOVIDという非常に特殊なケースでしたが、タイミングを見計らっているうちにマーケットが大きく動いてしまう場合もあります。今年に関して言うならば、1〜2月の売買契約で、COVIDを理由に収入に変化が起きてしまい、クロージングできなかったケースもあったと聞きました。

 私のケースの場合は、去年このくらいと予想された額よりも高く売れたものの、実質、その間に払っていたモーゲッジの額を考えるとそれほど大きな得になったわけではありません。一般的にはやはり、緑が出て来て家の見映えがよくなる5〜6月くらいが一番動くそうですが、リアルターによってもアドバイスが異なるので、あまり欲張らず、考え過ぎないことが大事なように思います。「どうしてもいついつまでに!」というように、期限や条件を絞ってしまうと、柔軟な選択ができず、足元を見られてしまう原因にもなるので、余裕を持ったプランニングが必要だと思います。

設定価格(AskingPrice)について

 リアルターの方は、そのエリアの相場を知っているので、だいたいこのくらいではないか、という価格を教えてくれますが、最終的には自分たちで決定します。ここで大事なことは、実際の同じエリアのおうちの直近の売却価格を自分たちでも確認することです。やはり人間ですから、自分たちの家はひいき目に見てしまいますし、良い情報だけが目に入ります。

 買うときも同様ですが、こと家となると、単位が大きくなる分、1~2万ドルが誤差のように感じてしまうくらい鈍感になります。また、売却価格(Asking)は売却戦略の1つなので、「このくらいで売れたらいいなー」の額とは異なることもあります(例えば、少し相場より安く設定してオファーを増やし、競争を増やして最終的には値段を上げる方向に持って行くなど)。そのため、「だいたいこのくらいで」という最終の希望額をできるだけ現実的にしてから、実際のオファーを見ることをおすすめします。後で、「もっと高く売れたのではないか」「Askingより低くオファーされるなんてガッカリ」と後悔したりするのは健康的ではないと感じます。

付随して・・・

 家を買うためにバタバタと準備をした私ですが、「First-Time Home Buyer Program」を利用するために開設したRRSP口座は頭金でほとんど空になったし、と最初の数年間なおざりになっており、Repaymentの手続きを忘れていてタックスリターンになって慌てたり、ふと気づくと3月1日を過ぎていてその年のContributionを逃したりということもありました。

 RRSPローン(年度期限の3月1日には現金はないが、後でまとまった収入がある場合を見越し、借り入れをしてRRSPへのContribution額を増やす)なんて便利なものがあることも、今年はじめて知りました。カナダに生まれ育っていないと、よく分からず後回しになってしまいますが、住宅購入を機にお金の管理に少し力を入れるのは良い考えだと思います。

 私自身、元々、家を買うこと自体がゴールのような感覚になっており、買った後のことは計画していませんでしたし、こんなに早く、家を売ることも想定していませんでした。ただ、家を手放すと決めたことでトロント以外に移動することも含め、色々なオプションを持つことができるようになったのも事実です。

 また、頭金を貯めて、貯めて、それを注ぎ込んで購入した家が再度、現金化されたことにより、常にモーゲッジや維持費を気にしないといけない状態から解放され、意外と貯金があったのだと気づけたという面もあります。

 とは言え、逆の目線で、「今までずっとコンドに住んでいて、便利で良いと思っていたけど、このロックダウンで外に出れなくなって、やはり庭がある家がよい、家の中のスペースが広い方がよい」と住宅の購入や引っ越しを検討する方も出て来たと聞きます。COVIDにより、様々な価値観が変わったとおっしゃる方も多いと思います。皆さんにとっての理想の〝住環境〟とは何でしょうか?