【第31回】国際離婚と養育費の見直し|カナダの国際結婚・エキスパート弁護士に聞く弁護士の選び方

 国際離婚において、当事者の一人が母国に帰ることは少なくありません。「子供を連れて帰国する日本人母」については、これまでも幾度か紹介しました。それでは「子供をカナダに残して日本に帰る親」の責任はどうなるのでしょう。「親権も面会交流も望まなければ、養育費の支払いも無い」のでしょうか?

 そこで今回は「国際離婚と養育費」さらに「養育費の見直し」についてスペシャリスト認定弁護士のケン·ネイソンズに聞いてみました。

国際離婚と現地法

 国際離婚は、夫婦が暮らしていた国の法律に従って解決します。カナダのように州法が制定されている場合はそれに従います。これがハーグ条約でもよく使われる「常居住地法」ですが、ここではこれを「現地法」と呼ぶことにします。

 親権や面会交流など子供に関する決め事も、財産分与や配偶者への経済支援などのお金の問題も現地法で解決します。「現地で暮らした年月の長短」も「夫婦の国籍」も考慮されません。

 例えば、夫婦共に日本人であっても、オンタリオ州で暮らしていたなら、オンタリオの法律に従って国際離婚を進めることになるのです。

親権と養育費

 さて、冒頭の問いに戻りましょう。「親権も面会交流も望まなければ、養育費の支払いも無い」のでしょうか?
 その答えは、やはり現地法にあります。

 オンタリオ州法では、親権や面会交流の有無と養育費の支払い義務に関連性はありません。「権利を放棄したからといって義務から解放されるわけではない」といったところでしょうか。
 次のシナリオを例にとってみましょう。

 日本生まれのAさんは、オンタリオ州でBさんと離婚することになりました。Aさんは自宅をBさんに譲り、Bさんが自宅のローン返済を引き継ぐことで、財産分与と配偶者サポートを解決しました。その後、帰国することにしたAさんが、子どもの親権をBさんに委ねると、Bさんは養育費の支払いを求めました。Aさんは「自宅を与えたのだからこれ以上支払えない」と主張しました。しかし裁判所は「養育費の支払い」を命じました。

養育費の見直し

 オンタリオ州では、養育費の値は支払い側の年収によって定められます。Bさんのような単独親権の場合、支払い側の年収のみで判断されます。たとえBさんが大富豪であったとしても、Aさんの支払い義務がなくなることはありません。

 しかし、年収の増減以外にも養育費の見直しを行う理由が存在します。シナリオを続けましょう。

 Bさんは職場復帰し、徐々に収入も安定してきました。一方、再婚して新たに子供も生まれたAさんにとって、養育費の支払いは大きな負担でした。裁判所命令通りの養育費を要求するBさんに対し、Aさんの弁護士は「支払環境の大きな変化」を立証し、養育費の減額に成功しました。(注1)

 このように「養育費の見直し」においては、弁護士のサポートが重要です。ネイソンズ・シーゲル弁護士事務所は、「国際離婚と養育費」に関する問題のすべてを日本語でサポートします。

 国際離婚と養育費をはじめとする家族の問題は、家族法を専門とする2名のエキスパート認定弁護士と日本人有資格者(オンタリオ州公認パラリーガル)が在籍するネイソンズ·シーゲル弁護士事務所にお任せください。

 リモート相談は、次の手順で行っております。

  1. hnoguchi@nathenssiegel.com(野口)宛に相談内容をお知らせください。
  2. 当事者おふたりのフルネームと相談者の写真付きIDをお願いします。
  3. いただいたフルネームから顧客名簿を検索し、相手方が過去に当事務所の顧客でなかったことを確認します(弁護士協会の規定により、相手方が過去の顧客であった場合には相談に応じられません)。
  4. オンライン・ミーティングの日時候補をお知らせします。
  5. 面談日時をお選びいただいた後、オンライン・ミーティング(Zoom)リンクをお送りします。
  6. 初回面談への野口の同席は無料です。面談時に野口から今後の流れを含む詳細を説明します。

ケン・ネイソンズ: B.C.L, LL.B, LL.M(Family Law)

 日本人の国際離婚を多く手掛ける。ていねいに話を聞く姿勢は 移住者女性に好評。ネイソンズ・シーガルLLP設立パートナー。趣味はモデルカー収集。

野口洋美: B.A. M.A.

 ヨーク大学で国際離婚とハーグ条約に関する研究に携わる。国際結婚に関する執筆多数。ネイソンズ・シーガルLLP所属。趣味は日本語ドラマ鑑賞。