第11回:上手なビジネスプランの書き方|カナダのお金について「なるほど納得!銀行のいろは」

第11回:上手なビジネスプランの書き方|カナダのお金について「なるほど納得!銀行のいろは」

 先月はCanada Small Business Financing Loanについて紹介し、このローンを申請する際にビジネスプランが大変重要であるという話をしました。今月は、ビジネスプランについてもう少し詳しく紹介します。

ビジネスプランの内容構成

 新規ビジネス立ち上げ費用をCSBFLで借りる際、金融機関からビジネスプランを求められます。これを作成する目的は明確です。新規ビジネスの内容を金融機関に理解、納得して貰い、自分のビジネス・アイデアにお金を出して貰うことです。何の記録もない新規事業に融資するため、ビジネスプランに記載されている内容のみがビジネスの成功率、返済能力に関する判断材料になります。企画書という風にイメージしても良いでしょう。

 主な構成内容は、マーケット・リサーチ、ビジネス戦略、経営プラン、競争相手リサーチ、マネジメントの経歴、財務予算等です。ローン申請用の資料ではありますが、決して金融機関のためだけの資料ということはなく、ビジネスオーナーにとっても参考書の役割を担います。自分のビジネスアイデアを明文化し、ビジネスプランに盛り込むべき項目を一つずつ整理していくことによって、自分のビジネス・アイデアが成功するかどうか具体的に見えてきますし、ビジネスを成功に導くために何が必要かが見えてきます。

 ビジネスプランの作成段階で、逆に成功の見込みが低いと分かれば、その時点で中断することによって、リスクやロスを回避することができます。

上手なビジネスプランの書き方

 ここでいう「上手」とは、言葉遣いや表現、言い回しのことではなく、審査の際に如何にして貸し手を頷かせるかということを指します。そのため、徹底したリサーチにより導き出された緻密な内容であることが望ましいです。

 まずは、マーケット・リサーチです。自分では画期的なアイデアを閃いたと思っても、マーケットにおける需要や参入障壁はどのくらいあるのか、また実際にアイデアを実現できるのかどうかを知る必要があります。マーケットをある程度理解できれば、より具体的なビジネス戦略や経営プランを立てることができます。

 例えば、飲食業の場合、ターゲットにする消費者層によってメニューの内容や値段設定が決まり、店舗ロケーションが決まります。同じ飲食業の場合でも、フランチャイズ店経営と独自のレストラン経営とでは懸念事項が多々異なります。

 競争相手リサーチで通常要求されるのは、例えば実際に店舗を構える予定であれば、店舗から半径何メートル以内に同じ商品・サービスを提供する店舗が他にもあるのかどうか、もしある場合、自分の店舗の優位性は何か、といったことに関する記述です。競争相手を知らずしてビジネスを行うのではあまりにもリスクが大きすぎます。

財務予算は現実的且つ達成可能なものを

 財務予算作成もマーケット・リサーチ無しには成り立ちません。ここでも飲食業を例にしますが、顧客単価、1日の売上、月間売上、経費、純利益予想等は裏付けとなるデータなしには信ぴょう性に欠けてしまいます。顧客単価にしても、15ドルと設定した場合、何が根拠となっているのかが必要です。

 最も基本的な売上予想は、顧客単価x1日の消費者数によって導き出すことができますが、1日の消費者数予想の裏付けられるデータが必要です。1日の異なる時間帯ごとの店舗前の通行人を数えたり、店舗近くの競争相手の顧客の入り状況を把握することによって、1日の平均消費者数が分かってきます。

 売上予想が決まれば、そこから売上原価や営業経費、ローン返済額等の支出を賄えることができるのか、そして最終的に利益がでるのかどうかが見えてきます。

 ローン審査に通るために楽観すぎる財務予算ではあえてリスクが高くなってしまいます。

 そして、もう一つ大事なのはそれぞれの財務項目が業界の平均値に沿っているかどうかです。業界平均の売上原価が売上の30%なのに対して、自分の財務予算ではこれを遥かに下回る15%となっていたら貸し手側に現実的ではないとみなされる確率が高まります。財務予算は立証されたデータの下、現実的で且つ達成可能なもの、がビジネス成功の秘訣となります。