第10回:中小企業の強い味方 Canada Small Business Financing Loan|カナダのお金について「なるほど納得!銀行のいろは」

第10回:中小企業の強い味方 Canada Small Business Financing Loan|カナダのお金について「なるほど納得!銀行のいろは」

 今月は、カナダの中小企業が最も多く利用しているCanada Small Business Financing Loanについてご紹介します。どういった目的に利用できるのか、また申請に必要な手順や書類等についてもお話しします。

Canada Small Business Financing Loan (CSBFL)とは?

 CSBFLはカナダ政府が策定した借入プログラムで、金融機関に対して85%の政府保証を提供することによって、地場中小企業が金融機関から借り入れする際、それを容易にすることを狙いとしています。年商1千万ドル(10ミリオンドル)以下の新規・既存ビジネスどちらも申請することが可能です。ここでいうビジネスとは、物やサービスを販売・提供することによって、売上が発生し、利益を計上する経済活動を有するビジネスを指します。農業や畜産業、非政府組織、慈善団体、宗教団体は申請の対象外となります。

借入可能額と借入目的

 CSBFLを使ってファイナンス出来るものは多々あり、ファイナンスの対象となる資産をEligible Assetsと呼んでいます。

  • Maximum Financeable Amountは政府が定めるCSBFLの最大貸付金額を指します。金融機関によっては、ローンを申請するビジネスの所属業界により別途最大貸付金額を設定している場合もあります。
  • 借入期間に関しても、CSBFL自身の最長借入期間を提示していますが、不動産購入を除いては、通常、最長10年を条件にビジネスの賃貸契約期間の年数が実際の借入可能年数になります。例えば、自分でレストランを出店する場合に大家さんと7年間の賃貸契約を結べば、借入期間は7年間になります。
  • 所有する商業用不動産と賃貸物件の違いに関してですが、前者は自身のビジネスが所有する不動産を指し、後者は家賃を払ってビジネスを運営しているオフィスまたは商業用ユニットを指します。
  • 改築費用及び設備投資について、もし両方ともファイナンスが必要な場合は其々35万ドルではなく、合算35万ドルが最大借入可能金額となります。
  • 既存ビジネスの購入費用の内訳には、売りに出されているビジネスの既存設備の金額、既存内装の金額、在庫、のれん、弁護士費用等の諸経費が通常含まれますが、CSBFLでファイナンスできるのは既存設備及び内装の買取金額、つまり有形資産のみです。

必要書類、申請手続き

 ビジネスのローンなのに、なぜ個人の書類が必要なのか疑問に思うかもしれませんが、自分が投資家になったつもりで、売上、実績、与信記録が何もない出来立てほやほやの会社に資金援助する際、株主の個人の財務状況を知らずして、ビジネスの経営計画書や財務予算だけを信頼して、お金が貸せますか?

 株主が多額の借金を抱えていたり、何年間も納税していなかったら投資することに懸念を抱くでしょう。個人ビジネスの場合は、オーナーとビジネスが密接に結びついており、資金面においては相互補填の関係にあると言えます。オーナーの個人資産はビジネスの経営状況が悪化してしまった場合に頼れるバックアップの一つであり、貸し手に返済能力を証明する手立てにもなります。また、CSBFLでは補えないビジネスの設立費用や不動産購入用の手付金が十分にあることを確認するためにもオーナーの個人資産の詳細が求められます。金融機関は提出された全書類を総合的に判断した上で、融資額を決定します。中でも、ビジネスプラン、財務予算、オーナーの個人資産は審査結果を左右する三大重要項目となります。

 また、ファイナンスの目的によっては、ビジネスユニットへの下見やビジネスの資産価値の査定が求められることもあります。

金利、申請費用