カナダの大麻時事ネタから大麻ツーリズムの盛り上がりと在庫不足解消の見込みについて|カナダから見るマリファナ合法化のあと

カナダの大麻事情①
カナダ・オンタリオ州、大麻ツーリズムのホットスポットとなるか?

10月17日に嗜好用大麻がカナダで合法化されてから約半年。旅行者が大麻栽培現場をバイクで回り種から大麻を栽培する方法を学ぶツアーや、カンナビスオイルを使ったエステ、大麻食品(エディブル)や大麻を使ったグルメ料理を楽しむことができる宿泊施設での週末のバケーションなど、大麻ツーリズムがカナダ・オンタリオ州で盛り上がりを見せる日が来るのもそう遠くないかもしれない。

 とある市場調査アナリストは、カナダには幅広い層の観光客を惹きつける大麻ツーリズムの大きなポテンシャルがあるとCBCに語った。カナダが大麻合法化に踏み切り大麻の資本化に取り組むなか、観光企業は早急かつ慎重に行動することで、大麻目的の観光を活性化できると述べた。例として、オンタリオ州の大麻法律は、建物外の大麻使用が禁止されているブリティッシュコロンビア州やケベック州と比較して、規制が緩やかだ。

 オタワのAbacus DateのCEO、デイヴィッド・コレット氏は、オンタリオ州ロンドンで開催されたOntario’s Southwestern Tourism Conferenceにて、カナダは大麻ツーリズムに関してより検討すべきだと表明した。カナダ市民の大多数はエディブル(大麻食品)とカンナビス飲料が店頭で入手可能になることについて賛成しており、70%がエディブルの合法化に賛成しているとコレット氏のデータは示した。

 Abacus Dataのデータによると、カナダ市民の半分以上が大麻を頻繁に、あるいは時々使用していることを示しており、カナダ市民の四分の三以上が毎月大麻を使用する友人や家族と交流があると述べている。長年大麻関連企業に関する調査を行なってきたAbacus DataのCEOのコレット氏は、「カナダには世界中の人々に、どのように大麻が作られているのかを見せることができるという、ユニークな環境がある。観光客がダブリンに訪れる際はギネスの醸造所を訪れる用に、オンタリオ州を訪れる際に大麻企業を訪れてみたらどうだろうか」とコレット氏は同氏に述べた。

 嗜好用大麻が2016年に合法化されたアメリカ合衆国のコロラド州は、解禁以来州外から訪れる観光客が増加している。フォーブスの調べによると、ガラスパイプ(吸引道具)の製造所、大麻の栽培現場、販売店を巡るツアーが人気。大麻フレンドリーな宿泊施設のベッド・アンド・ブレクファストや、バチェラー・バチェロットパーティー(新郎新婦が独身最後の夜を同性の友人と楽しむパーティー)、カンナビスを使用したグルメ体験、カンナビスオイルを使用したスパなどを提供しており、ラグジュアリーな宿泊施設で大麻の使用法のレクチャーを行なっている。

 旅行会社Kush Tourismの共同創業者マイケル・ゴードンはフォーブスに、顧客の大多数が州外からの観光客であり、経済的に恵まれたベビーブーマー世代が大多数だと述べた。コロラド州の訪問者数8200万人のうち、約40万人は大麻目的で訪れていることについて「巨大な数字ではないが、相当な数であることは間違いない」とコレット氏は述べた。「大麻のマーケティングの規制や、伝統的な観光客を失うというリスクも視野に入れる必要があるが、大麻はどこでも栽培できるという利点があり、地域に新しい観光客を招くことができる」と説明。さらにオンタリオ州の南西部はアメリカ合衆国から近いという観点からも、大麻ツーリズムの場として適していると述べた。マーケティングの規制などあるが、大麻ツーリズムがカナダ文化の一旦を担う日は、着実に近付いてきているだろう。

カナダの大麻事情②
カナダ、来年には大麻の在庫不足が解消される見通し

 嗜好用大麻が合法化され、解禁初日から在庫不足が顕著に現れていたカナダ。去年、供給不足解消には今後数年掛かるとGlobal Newsが報道していたが、大麻の在庫不足が解消されるのももうすぐの見通しだそう。

 National Access CannabisのCEO、マーク・ゴリガー氏は「来年の第二四半期には大麻不足が解消されるだろう」と見解をCalgary Heraldに述べた。「(大麻の)供給過剰とはならないが、規模の大きいサプライヤーによって市場に豊富な大麻の供給量がもたらされるだろう」と述べた。トロントの大麻企業、Biome GrowのCEOのKhurram Malinkは、カナダの大麻販売への規制は世界中の何処よりも厳しいため、解消の見通しに関して消極的だが、「現実的に不足が解消されるのは2020年になるだろう」とGlobal Newsに述べており、同じく来年には不足が解消される見解を述べている。

 さらに、嗜好用大麻が合法化されわずか半年弱だが、カナダ統計局のデータによると大麻はすでにカナダの経済を支える重要な一部になっているそうだ。統計局の調べによると、カナダ市民による大麻への出費は、去年第4四半期で合計59億カナダドル。 全体の8割の47億カナダドルを闇市場の売上が占めており、合法大麻への出費は、合計約12億カナダドルだそうだ。統計局は、去年第4四半期の世帯出費の約0.5%が大麻への出費だそう。Bank of Nova Scotiaによるデータによると、今年の嗜好用大麻の売上の71%は闇市場上のものだが、2020年には37%にまで落ち込む見通しだと先月に情報を公開した。


本文=菅原万有 / 企画・編集=TORJA編集部