カナダ、 合法後も数年は品不足により闇市場依存が続く見込み|カナダから見るマリファナ合法化のあと

カナダの大麻事情①
カナダ、 合法後も数年は品不足により闇市場依存が続く見込み

10月17日に嗜好用大麻が合法化され、解禁初日から在庫不足が顕著に現れていたカナダ。解禁日からわずか二週間で国内の公認販売店では在庫が底を付き、在庫不足の為ケベック州では政府によって管理されている小売業者の営業時間が週4日に限定され、アルバータ州では新規の小売店のライセンス発行が一時的に休止されるまでに至った。

 トロントの大麻企業、Biome Grow Inc.,のCEOであるKhurram Malikは、在庫不足の原因はHealth Canadaの厳しい大麻規制、カナダ連邦政府によるライセンス承認までの長い期間、そしてライセンスを取得した企業が商品開発に時間が掛かっている点にあるとGlobal Newsに述べている。カナダの大麻販売への規制は世界中の何処よりも厳しく、「新規のライセンス取得者の場合、継続的に高い品質の大麻を入手するにはライセンス取得後1年から2年程掛かってしまう」とMalik氏は同紙に述べている。Financial Postによると、カナダ国内最大の小売業者であり、全国に17店舗を持つNational Access Cannabisは、合法大麻の品不足の為、常にチームがアルバータ州の規制官によって支給される大麻の在庫を見張り、競合社に買い取られる前に大麻を入手しようとしているそうだ。

 更に、Global Newsの世論調査によると、品不足以外にも商品の配達遅延、購入者が販売店で何時間も長蛇の列に並ぶ必要があったことなどからOntario Cannabis Storeの購入者の40%がサービスに不満足だったと感じているそうだ。合法大麻のパッケージと中身に相違があることから苦情も上がっており、この相違は包装と販売までのプロセス間に起きる大麻の乾燥によるものだが、購入者の不満が募った。

 大麻合法化の目的の一つとして闇市場の撲滅が挙げられているが、解禁前から需要に追いつかない合法大麻の品薄状態による購入者の闇市場への依存が懸念されていた。11月のGlobal Newsの報道によると、供給不足解消には今後数年掛かる見通しだと発表された。今後も品薄状態が続くなか、まだ購入者の闇市場への依存は避けられないだろう。

カナダの大麻事情②
ケベック州で運転中の大麻所持者の逮捕相次ぐ―規制はまだ決まらず

 11月、ケベック州の警察が運転中の大麻所持の規制に関して、詳細はまだ不明確だと表明した。Journal de Montrealによると、合法化を経ても、運転者が車内で大麻を所持している場合、大麻が合法か否か特定する方法がまだ決定していない。政府の役員も大麻を合法的に所持するには、購入時の密封された状態で保持するべきなのか、詳細に関しては不明瞭だと述べている。まだはっきりしない点が多いなか、大麻の取り締まりが厳しいケベック州では、警察官がすでに大麻の「違法」な郵送を行なったとして、所持する大麻の合法性を証明できなかった運転が逮捕される事例が起きている。現状は合法大麻の購入者は車内で大麻を所持する場合、法律で認められたと証明する領収書か、SQDCの許可を得ているとことを証明できなければいけないようだ。

 また、大麻の影響下にある運転手への取り締まりに関しても検査方法が決定していない。ハイな状態にある者の運転を禁止されているが、対象者に罰金が科すのは現状だと警察官の判断に任されており、過失と誤診の可能性も高い。極端な場合には、警察官は大麻の影響下にある運転手に警察署での血液検査を強要することもできるが、大幅な時間と費用が掛かることから持続可能ではないと指摘されている。大麻合法化に伴う適切なツールと訓練を受けていない警察官は、自らの裁量で取り締まりを行わなければならない現状だが、この問題は今後数年持続するそうだ。

 カナダ統計によって11月19日に公表された2018年の大麻調査によると、大麻影響下にある運転手数は去年から変化していないそうだ。統計値によれば、過去12ヶ月に大麻を使用した者の39%が大麻を使用した後2時間以内に運転した経験があると述べ、43%が使用してから30日以内に運転しており、27%が使用後12ヶ月以内に運転したという。政府は大麻解禁後、大麻が身体に与える影響に関するキャンペーンを実地しているが、そのポジティブな影響はまだ見られていないようだ。準備が整わないまま合法化が通過してしまったカナダだが、合法化により、合法化以前から問題になっていた大麻影響下の運転についてより議論が交わされ、秩序を保った大麻の使用が促されることが期待される。 世界から注目を浴びるカナダの今後の動向に注目である。

世界情勢:韓国は東アジアで初めて医療大麻を合法化

 Marijuana Business Dailyによると、11月23日、韓国の国会は希少疾患患者の治療機会拡大を目的に、麻薬取締法を改正し難病患者への非幻覚性の医療大麻の処方を合法化した。韓国は嗜好用大麻への罰則が最も厳しい国の一つであり、今年10月、カナダの大麻合法化後に韓国税関は韓国人がカナダやその他の地域で大麻を喫煙するのは依然として違法だと発表し、薬物の使用後に帰国した韓国人は逮捕、又は起訴される能性があると述べていた。その為、比較的伝統的で保守的な韓国がスピーディーで画期的な取り組みに踏み切ったことで驚きが起こった。

 食品医薬品安全省は、医療大麻の処方は厳格な規制の下で行われることを表明している。大麻の主な有効成分であるカンナビジオール、テトラヒドロカンナビノールの使用をてんかんの患者、HIVとAIDS患者、そして癌関連の治療において許可することを発表した。 患者は「希少疾病用医薬品センター」に医療大麻の申請をする必要があり、医師の処方箋も求められる。 カナダのマリファナビジネスの大手企業Ela CapitalのCEO、Vijay Sappaniは、「世界大麻産業にとっても大きな飛躍である。他のアジアの国も韓国に続くのでは」と今後に期待していることを地元紙にて述べている。食品医薬品安全省は具体的な規定と患者の手続きに関する詳細は今後発表していくそうだ。 東アジアでは初めて合法化に踏み込んだことで、 世界的に大麻への風当たりが変わっていくことが期待される。


本文=菅原万有 / 企画・編集=TORJA編集部