2023年 注目のカナダ& トロントニュース|特集「MY TORONTO 2023」

日々のニュースを追えば今起きていることの最新動向がきっと見えてくるはず。カナダ生活に少しでも役立つであろう2023年注目のニュースやトロント情報をお伝えします。

注目ニュース 1
カナダの住宅価格が平均3.3%下がる見込み

 不動産会社の「Re/Max Canada」は、2023年にカナダの住宅価格が3.3%下落することを予言。彼らの調査の結果、ブリティッシュコロンビア州のケロウナやナナイモ、オンタリオ州のダラムでは10%、オンタリオ州のバリーでは15%も価格が下がる可能性があるそうだ。トロントエリアでは11・8%、バンクーバーエリアでは5%下がる見込み。

反対に、アルバータ州カルガリーでは価格が7%上昇すると予言されている。同州エドモントンも3%、ノーバスコシア州のハリファックスでも8%上昇するかも知れない。

2022年度、カナダでは住宅価格が下落。金利が上昇し、住宅ローンが上がり、景気が冷え込んだのが原因。家を購入せず賃貸にとどまる人が増え、家賃は平均的に10%から18%上昇。住宅価格が下がることでどう市場が変わってくるのかが注目される。

記者コメント
 現在トロントの家の平均価格が120万3916カナダドル(1億2096万円ほど)。これは家といってもSemi-Detached(セミディタッチ:家と家が一つの壁で分けられているもの)やタウンハウス、または2ベッドルームのコンドミニアムが買えるか買えないほどの値段。そこから11・8%引いてもまだ1億越えするのは痛い。

注目ニュース 2
トロントがスピード違反取締装置の数を増加

 トロントは2022年11月、スピード違反を監視する自動速度違反取締装置(Automated Speed EnforcementまたはASE)の数を25台増やすことを発表。区につき2台あったのが3台に増える。ASEの使用は2020年7月に始まり、50台が市内に設置済み。

装置がスピード違反を察知するとその車の写真を撮り、警察が見直した後に違反チケットをドライバーに送りつける仕組み。誰が運転していようがスピード違反をしていた車の所有者に送られる。最初の50台の導入により市はこの2年間でなんと3400万カナダドル(34億円)もの罰金を集めていた。

ASE装置一つにつきかかる費用は一年に5万カナダドル(500万円ほど)。大した金額だが、スピード違反常習者も多くいるためその数を減らすのに役立っているという。

記者コメント
 筆者はアメリカでもカナダでもUberを利用してきましたが、無謀にスピード違反しているドライバーが一度も捕まったところを見たことがなかったので気になっていました。それにしてもすごい罰金の額ですね。設置場所は3ヶ月から半年ごとに変わっているそう。運転される方はくれぐれも気をつけてください!

注目ニュース 3
オンタリオ州の学校でホロコースト教育が必須科目に

 2022年11月、オンタリオ州教育大臣のスティーブン・レッチェ氏は6年生の必須科目にホロコースト教育を加えることを発表。この取り組みの一つの理由は、最近学校で増えている反ユダヤ主義にストップをかけるため。オンタリオ州では2021年から2022年のスクールイヤーだけでも50件以上の反ユダヤ主義の行為(発言やシンボルを描くなど)が学校で起きていた。

レッチェ氏はこれからOntario College of Teachersと教育資料を作成する。この科目の導入は2023年9月開始予定。現在では10年生のカナダ史のクラスの一環として教えられている。

2023年春にはToronto Holocaust Museumがオープンを控えており、これからホロコースト教育が豊かになることが期待されている。

記者コメント
 第二次世界大戦終戦から77年。まだまだ終わりを見ない人種差別や宗教差別に心が痛みます。移民が多く、たくさんの人種が住むカナダでこのような差別があることは悲しいです。教師らのストに続き、教える側には負担が増えるかも知れないですが、この世の中を変えてくれるのは何より教育なのではないかと思います。

注目ニュース 4
AGOで女性印象派画家の展示会が夏に開催予定

 Art Gallery of Ontario(オンタリオ美術館、以下AGO)は2023年夏、二人の女性印象派画家に集点を当てる展示会を開く。その二人とはアメリカ出身のメアリー・カサットとカナダ出身のヘレン・マクニコル。カサットをメインに展示するのはカナダでAGOが初。印象派は1860年代に起きた芸術運動。

対象物を細部まで真似て描くそれまでのスタイルとは異なり、印象派は画題の全体的なフィーリングを緩やかな光で表した。主な画家はモネやルノワール。男勝りの印象派の世界であまり知られていないのは女性画家の活躍。

20代で母国を飛び出し、ヨーロッパで女性画家の道を切り開いた彼女たちの作品を一緒に観られるのは珍しく、現代の女性にインスピレーションを与えてくれるかも知れない。展示会は2023年6月3日から2024年9月4日まで開かれる。

記者コメント
 筆者は美術史を勉強しましたが、ヘレン・マクニコルは今回初めて知りました。彼女は2歳の時に病で聴覚を失い、なんと35歳という若さで世を去っています。女性印象派だけの展示会が開かれるのはすごくレアなこと。絵画は詳しくないという人でも、ぜひこの機会にチェックして欲しいです!

注目ニュース 5
自然保護地域グリーンベルトに住宅開発予定、抗議相次ぐ

 グリーンベルトは南オンタリオ州の自然保護地域。2005年にオンタリオ州政府によって作られた法律によって緑地、農地、森林、湿地などが保護されており、その規模と成功度は世界一と言われている。だが、2022年12月上旬、フォード州首相がグリーンベルトから15カ所(およそ7,400エイカーまたは2994ヘクタール)もの土地を住宅開発のために使うとほのめかしていることが報道された。今までグリーンベルトを守ると公言してきたフォード氏に厳しい目が向けられている。

州の広報担当者によると、2005年に可決したグリーンベルト保護法には土地を増やすことが同意されているため、問題はないという。フォード氏は増加している移民のために住宅開発案を押しているが、自然環境の専門家は開発がもたらす自然界へのダメージを懸念している。

記者コメント
 自然を保護するための法律で出来た地域なのに、それを壊すとは違法でしかないように感じます。住宅開発がリクエストされているピカリングの2022年の平均住宅価格はタウンハウスでも70万4,382ドル(7008万円ほど)。建設されたとしても、もし家賃や住宅価格がトロントエリアと変わらなかったら買う人も少ないのでは?

注目ニュース 6
一日10ドルの保育サポート実現に向け前進

2025年から一日につき10ドルで保育サポートを提供するオンタリオ州。2021年の3月にプログラムが発表されて以来、数回に分け25%ずつ費用を落としつつある。2022年11月1日、州のプログラムに加入を希望する保育園の申し込み締め切りを迎えたばかり。

トロントでは合計877件あるチャイルドケアセンターのうちの821件が加入することが分かっている。ヨークでは558件のうち466件、ピールでは194件のうち134件が参加。平均で82%が加入済みであることが分かっている。

加入していない保育園の中には州のプランの不透明さを心配する経営者もいる。例えば、保育料が一日10ドルになった場合、教材やスタッフの給料を支払えるのかがどうか予算の説明が足りないという。

記者コメント
 保育料というと普通家賃1ヶ月分と変わらない金額。一日10ドルだなんて夢のような話で、筆者は今でも信じられません。結婚をする年齢も遅くなっていて子供も持たない人が多くなっているこの時代にこの政策は画期的だと思います。もしうまくいけば世界中の子育て世代の希望になるかも知れないですね。

注目ニュース 7
トロント・ブルージェイズのチーム改革に期待の声

 ポストシーズンのワイルドカードシリーズで惜しくも敗退してしまったジェイズ。以来球団では来シーズンに向けて大きな改革が起こっている。まず、シュナイダー監督代行が正式に監督に就任。11月下旬には、マイアミ・マーリンズ全監督のドン・マッティングリー氏がベンチコーチに就任。

彼は現役時代ヤンキーズで14年間プレーし、同チームでキャプテンもコーチも務めた大ベテラン。監督としてはドジャースとマーリンズを率いた経験がある。そんな中、ファンにとって悲しいニュースも。

ジェイズとシアトル・マリナーズの間で交換トレードが成立し、テオスカー・ヘルナンデス外野手がチームを去ることが発表された。代わりに移籍してくるのはエリック・スワンソン投手とアダム・マッコ投手(マイナーリーグ)。新しいチームメンバーがどう球団を変えていくのかに注目だ。

記者コメント
 ポストシーズンの対戦相手で、しかも勝利を奪われた相手にチームのスター選手を持っていかれるのは納得がいかないのは私だけでしょうか。筆者はテオスカーが好きなのですごくショックなニュースでした。来シーズンもポストシーズンまで勝ち越してリベンジして欲しいです!

注目ニュース 8
RBCがHSBCを買収で合意

 2022年11月29日、Royal Bank of Canada(以下RBC)はHSBC Bank Canadaを買収することで合意。このニュースはカナダで最も壮大な銀行同士の取引だと大きく取り上げられた。現在の時点でRBCはHSBCを135億カナダドルで買収すると報じられている。

もし取引が成功した場合、RBCはTD Bankと並んでカナダで一番大きな銀行の一つとなる。国内7位のHSBC はカナダ部門に130支店を構えており、そのうち45支店が西海岸にある。そのためRBCの西海岸での事業拡大が期待される。

HSBCのカナダ部門はRBCに事業を売却するが、ヨーロッパや他の国では通常通りHSBCの経営を続けるそう。これからカナダ国内のHSBC利用者は、RBCのサービスを受けられることになる予定だ。

記者コメント
 トロントの銀行は建物が歴史的で素敵!サービスの質はさておき、筆者が好きなのは161 King St. EにあるRBC。44 King St. WのScotiabankのBay St.側にあるレリーフ(浮き彫り)も美しい。2 Queen St. EのBMO Bank of Montrealの外観も見事です。