第33回 続・カナダ株の配当ETFを選ぶためのいくつかのポイント|みらいのカナダ株式投資大作戦

第33回 続・カナダ株の配当ETFを選ぶためのいくつかのポイント|みらいのカナダ株式投資大作戦

こんにちは!みらいあせっとです!今回もカナダ市場に上場するETFのうち、配当をテーマにしたETFの選び方を見ていきます。

一般に配当ETF選びでは「分配金利回り」と「1口当たりの価格」が意識されやすいかと思います。いっぱい分配金がもらえて、しかも買いやすいETFがいい、って感じですね。

でも、そういったETFが必ずしも優良な商品とは限りません。実はちょっとクセが強いかも・・・(例えば米国上場のSPYDのように)。

そこで、もっと違う観点から配当ETFを選ぼう!というのが今回のテーマです。

前回のおさらい。セクター比率と構成銘柄の選定基準

最初に先月のおさらいをしますね。前回の記事では「セクター比率」と「構成銘柄の選定基準」について紹介しました。

1つめは「ETFのセクター比率(業種比率)」。例えば金融株(銀行など)や公益株(電力会社など)の比率が、配当ETFのパフォーマンスに大きく影響を与えます。
2023年3月現在、アメリカのいくつかの金融機関の破綻の影響で、世界中の金融株が大きく値下がりました。例えば、Vanguard Canadian High Dividend Yield ETF(VDY)のように金融セクター比率の大きいETFはこういった局面で不利になりがちです。

2つめは「銘柄の選定基準」。例えば、iShares S&P/TSX Canadian Dividend Aristocrats Index ETF(CDZ)が過去5年以上連続して配当を増やせた企業に投資しているように、特定の条件を満たした企業だけに投資しているETFがあります。その選ばれる条件次第で、ETFのパフォーマンスにもいろいろと特徴が出てきます。

こんな感じで配当ETFを見ていくと、分配金利回りなどとは違った観点から、自分に合ったETFを選べると思いませんか?

今回は「さらにこんなポイントもあるよ!」って事柄を紹介していきますね。

ETFを特徴付ける「構成比率上位銘柄」

ETFが特に投資している10社の銘柄と比率(構成比率上位銘柄)をチェックする方法があります。

例えば、VDYはRoyal Bank of CanadaとToronto-Dominion Bankの2社になんと資産の27%近くを投資しています(前者は14.6%、後者は12.4%、2023年3月18日現在)。するとVDYのパフォーマンスは良くも悪くも「この2つの銀行の株価に大きく影響を受けます。

一方、SPYD(SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF ※米国上場の高配当ETF)は1つの銘柄に約1.4%の比率で投資しています。このETFはVDYのように「特定の銘柄に依存せず、市況が良いほどにETFも値上がりしやすくなります。

この違いは一長一短があり、どちらが良いとは言い難いです。

例えば、VDYは良くも悪くも特定の銘柄の成績に偏りやすいです。一方、「SPYDは市場全体の状況(≒景気動向)に影響を受けやすく、配当ETFなのに値動きが荒っぽい傾向にあります。

配当ETFでどんな投資がしたいのか、を考えた時に、これらの特徴を把握しておくとETFを選びやすくなります。

忘れてはいけない「経費率」

忘れてはいけない…と言いつつ、前回の記事ですっかり忘れていた(笑)のですけど、ETF選びで経費率(Expense Ratio)は極めて大切です。

経費率とはETF運用時に発生するコスト。わたしたち投資家が、金融商品の運用で唯一運用成績をコントロールできる要素です。

低コストな商品を選べば、その分運用成績は向上しますし、高コストな商品を選べば、その分運用成績が悪くなります。

商品を選ぶ時は、Expense Ratioの項目は常にチェックするようにしたいですね。

まとめ

前回と今回で配当ETFを選ぶポイントをそれぞれまとめました。

  • ETFのセクター比率(業種比率)
  • 銘柄の選定基準
  • 構成比率上位銘柄はどうなっているか
  • 経費率(Expense Ratio)が低いか

配当ETFという観点ではありますが、実際は他のETFや投資信託などもこういった観点で選んでいくとよい商品を見つけられます。

最初はなかなか難しいと思いますが、ぜひ試してみてくださいね!