第23回 トレンドに乗る!セクターETFの活用方法|みらいのカナダ株式投資大作戦

第23回 トレンドに乗る!セクターETFの活用方法|みらいのカナダ株式投資大作戦

 今回はセクターETFの話題を紹介しますね。

 あなたはセクターETFを利用したことがありますか?

 セクターETFとは、ある特定の業種に属する企業群に投資できるETFです。セクターETFを使うと、例えばエネルギー関連企業や情報技術関連企業など、特定の業種に絞って投資できます。

 例えば、2022年5月時点で市場の話題の1つは原油です。

「原油価格の恩恵を受けるエネルギー関連の企業に投資したい。でも、どの企業が良いのかわからない」

 そう考えた時、セクターETFが使えます。今回の記事では、セクターETFの例や、相場での活用方法、注意点などを紹介していきますね!

セクターETFとは

 改めて、セクターETFとは、特定の業種に属する企業群に投資できるETFです。アメリカやカナダのセクターETFは、世界産業分類基準(GICS)に沿って分類された業種に投資できる商品として設計されています。

 セクターETFの具体的な商品例として、ブラックロックの商品リストから、カナダ市場に上場しているETFをいくつか見てみましょう。

  • XST…「Alimentation Couche-Tard」や「Metro」など、生活必需品を扱う店舗や流通会社へ投資
  • XEG…「Canadian Natural Resources」や「Suncor Energy」など、主に化石燃料を扱うエネルギー関連企業へ投資
  • XFN…「Royal Bank of Canada」や「Toronto Dominion」などの銀行株を中心とする金融関連企業へ投資
  • XIT…「Constellation Software」や「Shopify」など、情報技術関連企業へ投資
  • XMA…「Barrick Gold」や「Franco Nevada」などの素材関連企業へ投資
  • XRE…カナダのリート(不動産投資信託)へ投資
  • XUT…「Fortis」や「Brookfield Infrastructure Partners」などの電力事業者やインフラ事業者から成る公益企業へ投資

 ちなみに、セクターETFと似た商品にテーマETFがあります。テーマETFは、クリーンエネルギーや電気自動車など、特定の成長分野や話題性のある銘柄などを基準に、運用会社が独自に設定していることが多いです(例えばグローバルXのETF等)。

セクターETFの活用方法

 セクターETFを使うメリットは、市場のトレンドに併せて活用すると、超過利益が狙えるかもしれない点にあります。

 例えば、2020年のコロナ禍では、新しい生活様式への対応から、ハイテク関連銘柄が高い成績を出しました。

 一方、カナダ市場は、金融やエネルギー、素材といった20世紀から続く業種(オールドエコノミー)の比率が大きいため、トロント総合指数そのものの成績は伸び悩みました。

 この時、情報技術関連企業に投資できるXITに投資できたら、大きなリターンを取れたはずです。

 もう一例挙げると、2021年後半から原油価格の高騰が話題になりました。カナダは原油産業との結びつきが強いので、トロント総合指数も恩恵を受けています。ですが、エネルギー関連企業へ投資できるXEGを選べたら、さらに大きな利益を得られたかもしれません。

 このように、相場のサイクルに応じて、まるで波乗りするように売買できたら面白いと思うのです。

活用時の注意点

 セクターETFを使う時の注意点は、特定のセクターがいつも高い成績を出すとも、低迷し続けるとも限らない点です。

 例えば、XITはコロナ禍で高い成績を出せたものの、2021年9月をピークに下落相場に転じました。ワクチンが普及し、生活様式が元に戻っていく中で、ハイテク銘柄が売られたためです。

 また、XEGも2020年以降は極めて強いものの、それまで4年近く下落相場が続きました。もし、2020年4月頃にでも買おうとしていたら、周囲からは愚かな行為に見えたはずです。

 このように、セクターETFは「今の相場が永遠に続くかもしれない」と錯覚すると失敗しやすいとも言えます。ここから、セクターETFがどんな人に向いているか、も見えてきます。

セクターETFはこんな人に向いています

 というわけで、セクターETFは自分なりの投資アイデアを試したい人、または経済ニュースや政策、景気動向などに関心を持つ人にも向いています。
 一方、「投資は好きじゃないけど、老後のお金が必要だから…」といった方は、セクターETFよりももっと楽に管理できる商品をオススメします。

 個人的には結構好きなのですが、実は積極的には選んでいません。それは、仕事が忙しくなるとセクターETFを買っていたことを忘れるんですよね。「気がついたら、売り時逃してた(笑)」みたいな。あなたはそのあたりはいかがでしょうか?