第21回 カナダ市場にも忍び寄る 景気後退(リセッション)の日|みらいのカナダ株式投資大作戦

第21回 カナダ市場にも忍び寄る 景気後退(リセッション)の日|みらいのカナダ株式投資大作戦

今回は米国株に投資できるインデックスファンドとカナダ株ETFの組み合わせ・相性について、あなたと一緒に考えていきます。

 具体的には、資産形成のためにVOOやVFVをすでに買っていて、ここにXIUやVCEなど、カナダ市場に連動するETFを組み合わせていいのかな?というお話。

 結論から述べると、カナダ市場は「景気敏感株」の特徴が強く、S&P500 + カナダ株ETFのポートフォリオでは景気連動性が強くなると予想できます。
 つまり、S&P500 + カナダ株ETFのポートフォリオは「攻めの投資なら向いていて、守りの投資なら向いてない」という結論です。

 本題に入る前に、この記事の着想を得た少し長い前置きを書かせてください。ちょっと誘導的に話を進めますね。

少し長い前置きを書かせてください

 あなたは投資情報をどこで収集していますか?もしかしたら「日本語で資産形成の方法を学べたら」と考え、Twitterの米国株投資家のツイートをよく見ているかもしれません。というのも、カナダ市場との親和性を考えると、あなたは米国株投資家のツイートに関心を持つだろうと思うのです。

 すると、こんな主張も見ているかと思います。

「資産形成はS&P500に投資するインデックスファンドだけで良い」

 「S&P500」とはアメリカの大企業500社から成る株価指数ですね。カナダでももちろんS&P500に連動するインデックスファンドを購入できます(ETFで言えば、例えばVFVなど)。

 しかし、「だけで良い」と言われると逆に不安になるもの。そこでカナダ株ETFと組み合わせるのはどうだろう?というのが今回のお話です。

 ちなみに、大元のネタは2022年4月16日にトウシル(楽天証券のメディア)で公開された記事「「S&P500一本持ちで大丈夫?」分散投資のコツhttps://media.rakuten-sec.net/articles/-/36898)」です。

 この記事では、S&P500に投資するインデックスファンドにどんな金融商品を組み合わせるかが紹介されています。参考になるので、分散投資で困ったらぜひ一度チェックしてみてください。

カナダ市場を組み合わせると

 さてさて、長い長い前置き失礼しました。ここまで読み進めてもらって恐縮です。

 ここからが本題で、このS&P500連動のインデックスファンドにカナダ株を組み合わせると?というお話を進めていきます。

 改めてこんな状況です。

「VOOやVFVをすでに買っていて、ここにXIUやVCEなどのカナダ市場連動のETFを組み合わせていいのかな?」

 ここでポイントになるのが、カナダ市場の特徴です。過去の記事でも触れているように、カナダ株(カナダ市場)を理解する上で大切な観点が2つあります。

1つは「原油価格」、もう1つは「カナダ5大銀行」です

 カナダでは石油産業に関わる大企業が多いため、トロント総合指数も景気動向も原油価格の影響を受けています。

 原油価格は、景気が良い時に上がりやすく、景気が悪い時に下がりやすい傾向にあります。ここからカナダ市場は世界の景気に影響を受けやすく、景気が悪い時には株価が値下がりしやすいと予想できます。

 一方、金融株は債券(ここではカナダ債券)の金利上昇に強く、金利低下に弱い傾向があります。金利が上昇するのはやはり景気が強い時なので、金融株の株価も原油価格同様に景気に連動しやすい特徴を示します。

 カナダ5大銀行は日本のメガバンクに比べるとかなり大きな存在感を持っています。他社に対して時価総額が大きいのです。そのため、この5つの銀行の株価はカナダ市場全体の雰囲気に大きな影響を与えます。

 といった特徴を踏まえると、カナダ市場は定性的には守りに使える分散投資先ではないと言えます。つまり

「「S&P500一本持ち」にカナダ株式を組み合わせるのは、攻めの分散投資なら向いていて、守りの分散投資なら向いてない」

 もちろん、将来も同じとは限りませんが、大企業が入れ替わらなければ景気敏感性が強いままだと思っています。

投資方針から考えてみる

 大切なポイントは、あなたの価値観によってカナダ市場は適切な投資先にも、不適切な投資先にも見える点です。ここが金融商品選びでなかなか難しい点でもあって、逆に楽しい・面白いと思える点だとも思います。

 あなたは投資に「利益の一部を捨ててでも損をしないこと」と「損失は覚悟で利益を増やすこと」のどちらを求めますか?

 わたしは景気連動性よりも安定的に資産が成長してほしい(つまり前者)だと思っているのですけど、なぜかカナダ株を買うのがやめられないです笑