第13回 資産形成は一括投資?積立投資か?カナダ市場の場合|みらいのカナダ株式投資大作戦

第13回 資産形成は一括投資?積立投資か?カナダ市場の場合|みらいのカナダ株式投資大作戦

こんにちは!みらいあせっとです!今回は投資で資産を作る時によくある疑問「一括投資?積立投資?」を紹介します。

 積立投資とは、例えば1万カナダドルを毎月100カナダドルなど、複数回に分けて投資する方法です。特に一定の間隔で一定の金額を積み立てて投資するスタイルを「ドルコスト平均法(定時定額投資)」と呼び、積立投資の代名詞として強調されることが多いです。

 一方で一括投資とは、例えば1万カナダドルといったまとまったお金をそのまま一度に全額投資するやり方です。

 実際のところ、特に「給与収入から老後資産を作る」場合には、暗黙的に積立投資を選ばれる方が多いかと思います。そのため、ある程度まとまった収入があった場合や、これまで貯蓄した資産をどう投資するかで悩んだ時に、今回の記事がお役に立てば嬉しいです。

積立投資と一括投資の特徴と得意とする相場

 先に積立投資と一括投資がどんな特徴を持つかをざっくりと紹介します。

●一括投資は上昇相場で大きな利益を生む一方、下落相場では大きな損失につながりやすい。取引回数が少ないので取引手数料を抑えやすい

●積立投資は購入タイミングをずらすため、上昇相場での利益は少なくなるものの、下落相場での損失も抑えやすい。取引回数が増えるので取引手数料がかかりやすい

 大きく儲けたい時には、まとまった金額の一括投資が有利です。
 一方、損を抑えたいときには積立投資が有効です。特に値上がりと値下がりを繰り返すような相場では、積立投資は一括投資よりも大きなリターンを生む可能性があります。

 この特徴の違いから、積立投資と一括投資とでは得意とする相場も異なります。

 リーマンショック以降の相場で言えば、XSP(米国のS&P500に連動するETF)のような力強く上昇する資産には一括投資が最適でした。もし、10年前の2011年に戻って米国株に投資できるとしたら、あなたもわたしも手持ちの財産を全額一括投資したはずです。

 一方、トロント総合指数のように、なかなか値上がりしにくかった資産には積立投資が向いていたと個人的には考えています。

 仮に2011年7月にXIC(トロント総合指数に近い成績を目指すETF)に投資したら2014年頃までは含み損(売ったら損が出る状態)が続きます。また、少し値上がりしたかと思うと、2016年初には再び2011年の買値付近まで値下がりしました。

 こういった方向感のわかりにくい相場では一括よりも、積立投資で投資タイミングをずらすことで、高値つかみのリスクを回避できます。

 実際に相場がどう動くか予想するのは難しいものの、相場が値上がりするか自信を持てないときには一括投資よりも積立投資のほうが向いています。

積立投資に対するバンガードのアドバイス

 ところでバンガード(アメリカの独立系資産運用会社)の論文によると、「相場への不安・恐怖から積立投資を選びたい時には過剰にリスクを取っていないか見直したほうが良い」と述べられています。

 というのも、積立投資は「値下がりが怖いので、投資タイミングを分散させよう」と相場に対して不安な見通しの表れとも言えるからです。

 対処法として、同論文では「投資に不安を感じる時には債券などの低リスク資産を適度に保有することで、資産全体の値動きを抑えよう」ともアドバイスされています。

 カナダには例えばVAB(Canadian Aggregate Bond Index ETF)というETFがあります。この商品はカナダ国債や公共債、社債等の債券に分散投資されており、資産全体のリスクを抑えたい時に使いやすいです。

 もしあなたが積み立てて投資したいと考えているなら、そしてその理由が「損をするのが怖いから」というものでしたら、現在の投資スタイルは自身にとって過剰なリスク選好でないか、チェックしてみると良いと思います。

まとめ

 今回は一括投資を選ぶか、積立投資を選ぶかを紹介しました。

 冒頭でも述べたように、「給与収入から老後資産を作る」ではどうしても毎月の積み立てで投資するケースが多いかと思います。理屈の上では一括が有利だとしても、その通りに投資するのは結構難しいかと思います。

 ライフスタイルや相場の雰囲気、そして投資に対してご自身がどう感じるかに応じて、適切な資産形成ができたらいいですよね。