第10回 商品(コモディティ)価格からみるカナダ市場が値上がりする時|みらいのカナダ株式投資大作戦

第10回 商品(コモディティ)価格からみるカナダ市場が値上がりする時|みらいのカナダ株式投資大作戦

今回はカナダの株式市場と商品(コモディティ)の関係について見ていきます。

 コモディティってご存じですか?コモディティとは石油などのエネルギー資源、小麦などの食糧、鉄や金などの金属資源などの「商品」のことを言います。コモディティ価格とは、これら商品の価格のことですね。

 2020年3月以降、様々なコモディティ価格が値上がりしています。例えば2020年8月には金価格が史上初の1オンス2000米ドルを突破しました。また、原油先物価格も未だコロナの影響で需要が減っているにもかかわらず、コロナ前の水準に戻っています。
 一説には「コモディティスーパーサイクル」の始まりではないかとの意見もあります。過去、コモディティ価格が大幅に上昇する時があり、現在がその入り口なのではないか?との見立てです。

 カナダは様々な天然資源を有するため、カナダの株式市場はコモディティ価格とも深い関係がみられます。コモディティとの関係を知っておくと、相場で利益を得るためのネタになるかもしれません。一緒に詳しくみていきましょう!

カナダ市場とコモディティ価格の関係

 単刀直入に述べると、コモディティ価格が上昇する時はカナダ市場(S&Pトロント総合等)も値上がりし、コモディティ価格が下落する時はカナダ市場も下落する関係があるようにわたしは思っています。

 もちろん、いつも必ずそうなるとは限りませんが、過去の長期的な相場の傾向を見ると、カナダ市場とコモディティ価格は同じ方向に値動きしやすい関係性があるように見えるのです。

 このような関係性が見られる背景には、カナダには様々な天然資源があり、その生産に携わる企業が大きな影響力を持っていることが挙げられます。

 例えば、Suncor EnergyやCanadian Natural Resourcesは原油の生産を行う企業です。彼らの収益は、原油価格が高いほど大きく、原油価格が低いほど小さくなります。そのため、株価は原油価格との相関性が高くなります。

 もう一例挙げると、Barrick GoldやKirkland Lake Goldといった貴金属関連企業もわかりやすいです。金価格が高いほど収益が大きく、金価格が低いほど収益も低いという関係から、株価は金価格と相関しやすいです。

 トロント総合指数のセクター構成比率を見ると、エネルギー関連の企業(石油や天然ガスなど、エネルギーに関与する企業)は全体の12.5%、素材関連の企業(金属資源や資材など、経済活動の「素材」を提供する企業)は全体の11.9%を占めています。

 米国のS&P500指数のエネルギーセクターは2.8%、素材セクターは2.7%ですから、カナダ市場におけるエネルギー・素材関連企業のウェイトの大きさが際立ちます。

 といった特徴も踏まえ

カナダ市場は日本市場やアメリカ市場に比べてコモディティ価格との相関性が高い

とわたしは考えています。

コモディティ価格はどんな時に値上がりする?

 これまで述べた特徴から、「どんな時にコモディティ価格が値上がりするか」がわかれば、投資上のチャンスが生まれるように思います。
 過去、コモディティ価格が大きく上昇した時は米ドルが弱い時(米ドル安の時)でした。コモディティは米ドルで取引しますので、米ドル安はコモディティ価格の上昇を招きやすいのです。

 では、どんな時に米ドルが弱くなるかというと、1つは米国の政策です。また、中国やインドの市場動向も影響を与える可能性があります。
 なんだか、世界は1つなんだぁなと感じます。

まとめ

 今回はコモディティとカナダ市場の関係について紹介しました。
 現在のコモディティ価格の水準は「S&P GSCI 商品指数」でチェックできます。この指数はエネルギー、工業用金属、貴金属、農産物、家畜の価格から計算されるもので、コモディティ全体のパフォーマンス測定に利用できます。

 例えばTradingViewなどのツール上で、XIC(iShares S&P/TSX Capped Composite Index Fund)などのETFとS&P GSCI商品指数を重ねてみると、通貨の違いはありますが、値動きの方向が似ていることに気づくかと思います。

 食糧も資源も世界経済と密接な関係を持っています。カナダ市場を見る時はぜひコモディティについても併せてチェックしてみてください。