第5回 セクターETFでポートフォリオをカスタマイズしよう|みらいのカナダ株式投資大作戦

第5回 セクターETFでポートフォリオをカスタマイズしよう|みらいのカナダ株式投資大作戦

んにちは!今回はトロント市場に上場するセクターETFを紹介します。
 セクターETFは例えば「ハイテク株に投資したいけど、どの企業が良いかわからない」といった時に活用できる商品です。どちらかといえば、積極的に投資したい・運用したい人に向いています。

 商品の特徴や活用時の注意点などを見ていきましょう!

セクターETFとは

 セクターETFとは、ある特定の業種に属する企業群に投資できるETFです。セクターETFを利用することで、例えばエネルギー関連企業や情報技術関連企業など、業種を絞って投資できます。

 カナダ市場は、金融やエネルギー、素材といった20世紀から続く業種(オールドエコノミー)の時価総額が大きいため、他の市場よりもセクターETFを活用するメリットがあります。

 例えば、トロント総合指数にはカナダの巨大な金融機関が大きな比率で含まれています。しかし、金融株は2020年3月の「コロナショック」以降、低迷し続けたため、トロント総合指数の足を引っ張る形になりました。

 もし、そのような状況で、ShopifyやOpenTextといった情報技術関連の株を重点的に選別して投資できたら、大きなリターンを取れたはずです。

 といった状況で利用できる金融商品がセクターETFです。「どんな株を買えばいいかわからない」が、「ある業種の企業群(例えば情報技術)は今後も高い成績を期待できそうだ」と考えた時に役立ちます。

どんな商品があるの?

 具体的な商品例として、米国の資産運用会社「ブラックロック」の商品リストから、各ETFのティッカーと概要を紹介しましょう。

  • XST…「Alimentation Couche-Tard」や「Metro」など、生活必需品を扱う店舗や流通会社へ投資
  • XEG…「Canadian Natural Resources」や「Suncor Energy」など、主に化石燃料を扱うエネルギー関連企業へ投資
  • XFN…「Royal Bank of Canada」や「Toronto Dominion」などの銀行株を中心とする金融関連企業へ投資
  • XIT…「Constellation Software」や「Shopify」など、情報技術関連企業へ投資
  • XMA…「Barrick Gold」や「Franco Nevada」などの鉱業株から成る素材関連企業へ投資
  • XRE…カナダのリート(不動産投資信託)へ投資
  • XUT…「Fortis」や「Brookfield Infrastructure Partners」などの電力事業者やインフラ事業者から成る公益企業へ投資
 例えば、「純金の価格が上昇しそうだ」とニュースで聞いたとき、XMAを購入するとその恩恵を受けられるかもしれません。XMAの構成銘柄のほとんどが純金を採掘する企業だからです。

 もう一例挙げると、XUTは不景気下でも株価が下がりにくい可能性があります。電力などのインフラ事業は景気動向に関係なく、常に必要とされるものだからです。

 といった観点で、セクターETFを選ぶと、運用の自由度が高まります。

活用時の注意点

 セクターETFを活用時の注意点は、特定のセクターが常に高いパフォーマンスを出すとも、低迷し続けるとも限らない点です。

 例えば、情報技術関連のセクターETF(XIT)は2020年3月から8月までは高いパフォーマンスを出せたものの、9月以降は伸び悩みました。一方、その間低迷し続けた金融関連のセクターETF(XFN)は、2020年11月のワクチン開発のニュースを受けて、値を上げました。
 相場に応じて、これらのセクターETFを適宜組み替えるのは難しいと思います。そういう意味で、セクターETFはあくまで補正・エッセンス的に取り入れるのが良いと個人的には考えています。

セクターETFが向いている人・向いてない人

 セクターETFは自分なりの投資アイディアを持っている人、試したい人、または経済ニュースや政策などに関心を持つ方にも向いています。

 一方、「投資はあまり好きじゃないけど、老後のお金が…」といった方は、セクターETFよりももっと楽に管理できる商品を選んだほうが良いです。

 セクターETFは、投資を始めてみて、「もっといろんな商品に投資してみたいな」と思えた時に、選ぶ余地のある金融商品といったところでしょうか。

まとめ

 今回はカナダのセクターETFについて解説しました。例としてブラックロック社の商品を挙げましたが、ほかにも様々な商品がありますので、関心を持ちましたらぜひ探してみてください。

 次回は配当をテーマにしたETFについて紹介しようと思います。