第2回 もしもS&Pトロント総合指数に投資したら、どのくらいの利回りで運用できた?|みらいのカナダ株式投資大作戦

 こんにちは!この記事では、カナダの代表的な株価指数である「S&Pトロント総合指数(S&P/TSX Composite Index)」の過去の成績を使って、もしもS&Pトロント総合指数に投資したら、どのくらいの利回りで運用できたかを紹介します。

 「指数に投資する」という考え方は「インデックス投資(Index Investing)」と呼ばれ、近年の資産形成によく採用されています。S&Pトロント総合指数そのものには投資できませんので、指数に連動する上場投資信託(ETF)や投資信託(Mutual Fund)を活用するのが一般的です。

 今回の記事は、商品選定の前段階として、そもそもS&Pトロント総合指数は投資対象として魅力的なのか、そのパフォーマンスを調べたというお話です。

利回りの求め方

 今回はYahoo Finance(https://ca.finance.yahoo.com/)で公開されている「S&P/TSX Composite Index(^GSPTSE)」の1979年からのデータを利用し、保有期間リターン(ローリングリターン)という考え方で利回りを求めました。

 保有期間リターンとは、例えば1979年1月1日から1年間投資した時の利回りを求め、それを1日ずつずらしていくことで求まります。

 例えば、2004年1月から2年間投資した人と2008年1月から2年間投資した人とでは、運用で期待できる利回りは異なります。前者は資源バブル下で大きな利益を得た一方、後者はリーマンショック下で運用損を出して終わったからです。

 このような投資タイミングによって損益が左右される株式市場において、できるだけ本質的な利回りを求める方法が保有期間リターンの算出です。

 なお、この計算は一括投資を仮定しています。そのため、今回の試算は「ある時1万カナダドルを投資して、X年間投資し続けたら何パーセントの期待利回りはいくらか」というものです。

1979年以降のS&Pトロント総合指数の利回り

 では、求めた結果を紹介しましょう。この結果は過去のもので、将来のあなたの運用成績を保証しない点に注意してください。

 1979年から2020年までのどこかで1年間だけ投資すると、その期待利回りはなんとマイナス45%からプラス84%もの幅がありました。1年間の投資って長いようにも感じますが、実際には博打的で、運用利回りはかなりばらつくのです。

 では、もう少し期間を延ばして、1979年から2020年までのどこかで3年間投資すると、期待利回りはマイナス14%からプラス26%の間になりました。少し幅が狭くなりましたね。

 仮に5年間投資し続けると、その期待利回りはマイナス6%からプラス24%となります。運用年数が長くなるほど、上昇相場も下落相場も経験しやすくなるので、利回りは一定の値に収束しやすいのです。

 さて、この利回りの中央値を見ると、運用年数の長さとは関係なく、おおよそプラス5%からプラス6%で推移します。この利回りがおそらくS&Pトロント総合指数の本質的な利回りです。

 つまり、ある年はたくさん儲かって、またある年は大きく損をするかもしれないけど、長い目で見れば平均5~6%ぐらいずつはお金が増えそうだと解釈できそうなのです。

元本割れ確率の推移

 ところで、投資っていつも儲かるとは限りませんよね?そこで、この一括投資でどのくらいの確率で元本割れを経験したのかも求めてみました。
 その結果、運用1年目で33%、2年目で26%、3年目で20%と、運用年数が長くなるほど元本割れで終わる確率も低くなりました。

 元本割れ確率が0%になったのは15年目。つまり一括投資後、15年以上投資を継続すれば、どんなタイミングで投資していても、多かれ少なかれ利益は出たのです。

 長期投資で元本割れの確率が下がった理由はS&Pトロント総合指数が長期にわたって上昇してきたためです。将来も株価が上昇するとは言い切れませんが、「長期投資なら資産形成できるのでは?」と可能性を感じませんか?

まとめ

 保有期間リターンの考え方で、S&Pトロント総合指数の過去の期待利回りを求めたところで、おおよそ5~6%と求まりました。

 冒頭でも述べたように、S&Pトロント総合指数そのものには投資できませんので、実際には上場投資信託(ETF)や投資信託(Mutual Fund)を利用することで、S&Pトロント総合指数と同じぐらいの運用成績を享受します。

 その具体的な商品の運用についてはまた次回以降で紹介しましょう。今回の試算は将来の運用成績を保証するものではないので、その点だけはご留意お願いしますね!