第24回 ファミリーハグは家族の絆|カエデの多言語はぐくみ通信

第24回 ファミリーハグは家族の絆|カエデの多言語はぐくみ通信

 私たち家族は夫婦と成人した姉弟2人の子どもの4人家族。昔から日本人カナダ人問わず「いい子たちですね」、「家族仲がいいですね」とよく言われてきました。友人夫婦からは自分たちの子育ての手本にしたいと言われたこともあります。あまりに頻繁に言われるので、家族仲が良い理由を考えてみました。お付き合いください。

兄弟仲は親の介入が必要

 初めての子育てをする時、自分の親の育て方を思い出すものですが、学校や友達のことを一度も聞かれたことがないくらい子どもの生活に関心のないのが私の両親でした。昭和の親とはそんなものかもしれません。ただ、小さい子どもが好きな父には、よく怒鳴られたものの、小学生まではよく遊んでもらい感謝すると同時に、それがなければどのような大人になっていただろうと怖くなることがあります。

 私は3姉妹の一番下で姉妹仲はそれほどよくありません。親が姉妹仲にまったく介入してこず、姉たちが私をいじめたり無視しても何も注意しなかったのが原因だと思います。ですので、私は子どもの姉弟仲にはある程度介入することにしました。

 今は仲の良い姉弟ですが、園児時代は弟が姉をよく叩いていました。姉は人を叩いてはいけないという教えを忠実に守り叩かれっぱなし。私も弟にその都度注意するものの止めないので、とうとう姉に「叩かれたら叩き返していいから」と言いました。そこから姉の反撃が始まり弟が姉を叩く回数は減りました。

 また、姉弟間の意地悪な言葉を耳にしたらすかさず注意しました。そして、姉弟が仲良くしている場面を見たら褒めたり喜ぶようにし、「世界に2人しかいない姉弟なので助け合って欲しい」と、子ども曰く耳にタコができるくらい言い続けました。成長した姉弟は歳が近いので、2人でいるとカップルに見られることもありますが全く気にしていません。親に話したくないことも相談し合っているようです。

言葉は家族の潤滑油

 家族内で潤滑油となる言葉は「おはよう」「ありがとう」「ごめんなさい」です。私の育った家庭ではそれがなく、顔を合わせても何かしてもらっても無言でした。多分私は挨拶もろくにできない人間だったのではないかと思います。幸い友達に恵まれ、彼女たちから色々なことを教わり、今の自分があるのは半分は友達のおかげです。もちろん、子どもたちには自分から挨拶は欠かしませんし、子どもが挨拶や「ありがとう」を忘れたらそれとなく促します。

 また、夫も私も子どもにすぐに謝ります。親でも子どもに謝る場面はいくらでもあります。感情的に叱ってしまったり、約束を守れなかったり、自分の言動に矛盾が生じた時には口に出して謝ります。できるだけ子どもの心にモヤモヤを残したくないからです。

 そして、愛情表現は言葉とハグで頻繁にしてきました。夫はカナダ人なので家族に対して「I love you」をしょっちゅう言いますが、日本語にはそれに当たる言葉がほぼないため、私が子どもたちに言ってきたのが「大好きだよ」という言葉です。大人になった子どもたちを見ても昔と重なり「かわいい」という気持ちがムクムクと起きるので、そんな時には躊躇せずに言っています。そして子どもたちからも同じ言葉が返ってきます。

大人の会話の輪に入れる

 私たち夫婦は子どもの話を真剣に聞くように心がけました。また、子どもたちが周囲の大人に好かれた理由として、大人との会話が好きということがあります。カナダも日本と同じで、子どもや若者が大人と会話ができなくても大目に見ます。しかし、私は大人と会話することを小さい時から子どもたちに奨励してきました。大人から知識を吸収したり助言を聞く機会が増えるのと、日本人グループだと子どもたちの日本語の練習にもなるからです。

 パーティ等で自分から大人に混じって会話ができた後は、子どもを褒めるのではなく、「話してくれてありがとう」という気持ちでお礼を言うと嬉しそうでした。特にティーンエイジャーになっても大人と会話ができると周りの評価が高くなり、外で知人に会っても自分から世間話ができると信頼に足る若者としてますます点数が上がります。 そのおかげで、アルバイトや良い研修先を紹介してくれたり、強力な紹介状を書いてもらえたりしています。

ファミリーハグで絆を確かめる

 私たち夫婦の育児はもちろん完璧ではないし、娘からは過保護だったと言われています。それでも、私が受けた関心の薄い子育てでは子どもは寂しく感じると思い、過保護気味でも子ども優先で育ててきたことに後悔はありません。

 私たち家族は子どもたちが小さい時から4人でファミリーハグをしてきました。子どもたちを真ん中に入れて、おしくらまんじゅうのようにギューッとするのです。夫なのか私なのか、誰が始めたのかは忘れましたが、中に入った子どもたちはギューッとされるのが大好きでした。子どもたちが高校生くらいまでは頻繁にやっていたように思います。

 今でも息子が懐かしがって時々ファミリーハグをしようと言い出します。そうやって家族への愛情表現を恥ずかしがらないことが私には嬉しく感じます。昔は私の腰までしかなかった息子が、今では見上げないといけない大男。人に見られたら恥ずかしいけれど、できるだけ続けたい家族の絆です。

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