トロントが分岐点。 アイビーリーグ・ダートマス大学に進学 プロサッカー選手・トロントFC 櫻井 功大さん(前編)|Hiroの部屋

ヒロさん(左)と櫻井さん(右)
ヒロさん(左)と櫻井さん(右)

今回、登場していただくプロサッカー選手の櫻井功大さんは、米国滞在ののち2014年に渡加し、トロントFCアカデミーを経て大学進学のために単身で渡米。アイビーリーグの名門校ダートマス大学を卒業し、2022年4月にMLSネクストプロのトロントFCⅡに入団した。愛するチームでプロとしてのスタートラインを切った彼の「今まで」と「これから」について詳しく話を伺っていきたい。

サッカーが繋いだ2人の出会い、父との関係。

ヒロ: 功大くんとの出会いは、2014年。駐在員だった功大くんのお父さんが僕もいたサッカーチームに参加し、ある時期から功大くんを試合に連れてき始めたからですよね。チームメイトの皆が功大くんのサッカーの上手さに驚いたのが懐かしいです。サッカー経験者のお父さんは熱血指導者で、それに応える功大くんとの素敵な親子関係が、とても好印象でした。親御さんは功大くんの人生とサッカーに対してどのように向き合ってくれたのですか?

櫻井: 幼い頃は、サッカーに対して厳しい面もありましたが、トロントへ来てからは僕の意志を尊重して挑戦をサポートしてくれました。家族にはとても感謝しています。

ヒロ: 功大くんは今年、晴れてプロサッカー選手になったけど、この夢はいつから抱き始めたのですか?

櫻井: 実は幼稚園の頃で卒業文集にも「プロサッカー選手になりたい」と書いていました。しかし、現実味を帯びてきたのはトロントへ来てからです。渡加して以来、トロントFCアカデミーでプレーしていました。その翌年、遠藤翼選手(現メルボルン シティFC所属)がドラフト1位でトロントFCに入団したニュースは嬉しかったですし、大きな影響を受けました。

 

Hiroさんと櫻井親子はコミュニティーのサッカーチームで一緒にプレーしてきた
Hiroさんと櫻井親子はコミュニティーのサッカーチームで一緒にプレーしてきた

トロントへ来て現実味を帯びてきたプロへの道

 大学進学を決めた2016年は、大きなターニングポイントでした。実は、この年のパフォーマンスが良かった事から高校卒業後にプロを目指してはどうかという話もありました。しかし、僕自身、一度トロントを離れて修行したいという気持ちがありました。トロントへ来て2年が経ち、生活やサッカーにも慣れてきましたがプロを本気で目指すにあたってこの環境下では通用しないと考え、外に出て揉まれた方がいいと思うようになりました。

 実際、僕が高校時にセカンド チームでデビューした時に1、2年でプロ契約を解除される選手の姿を見て改めて厳しい世界だと痛感しました。そのため、サッカー人生が終わった後のことも考え、大学ではサッカーと学業を両立させようと決めていました。トロントFCという恵まれた環境をあえて出て、大学では技術と人間性の両面を磨きたい、そして卒業後、トロントFCへプロサッカー選手として帰ってきたいという僕の思いを周囲に伝え、大学進学を決意しました。

技術と人間性を磨くため、自ら選んだ茨の道

ヒロ: アイビーリーグ・ダートマス大学に進学が決まるのはすごいことだと思います。学業・スポーツともにトップクラスの環境下での大学生活は実際どうでしたか?

櫻井: 正直大変でした。学業との両立には苦労しました。いつも睡眠時間との戦いです。学業を疎かにするとチームにいることが出来なくなる一方で、学業を頑張りすぎると睡眠時間が削られてスポーツに影響します。このバランスを上手く取るために、毎日トライ&エラーを繰り返して勉強法を試していました。その甲斐あって、サッカーのパフォーマンスレベルを保ちながら、卒業時には成績優秀賞を頂けました。

 ハードな毎日でしたが、チームメイトの存在で乗り越えることができたと思います。チームメイトはサッカーだけでなく、学業でも良い成績を取りたいという高い意識を持っており刺激になりました。

 

困難な状況も楽しんでいる自分がいた

アメフト・佐藤敏基選手と、アイスホッケー・アーロン選手とキンカ居酒屋で交流
アメフト・佐藤敏基選手と、アイスホッケー・アーロン選手とキンカ居酒屋で交流

 
ヒロ: それでも、今まで多くの困難があったと思います。それを乗り越え、努力を続けることができる理由を知りたいです。

櫻井: そうですね、1つは、困難を乗り越えた時に得られる達成感です。具体的には大学入学前にGPAの目標を立てて、必ずこれより上を取ると決めて頑張ってきました。時には辞めたいと思う事もありましたが、困難な状況も楽しんでいる自分がいたと思います。勉強もサッカーも頑張った後は必ず成果がついてくる、その喜びがあるから頑張れました。そして何よりサッカーの存在です。とにかくサッカーが大好きだということに尽きますね。

ヒロ: 話を聞いてセルフマネジメントの重要性を感じますね。大学進学もそうだし、学業も相当ハードだとおもう名門校で選手としてだけでなく、人間力を磨いてきた功大くんはさすが一流だと感心します。

(聞き手・文章構成TORJA編集部)
対談はサロンを貸切にし、撮影のため一時的にマスクを外して実施しています。

櫻井功大さん

プロサッカー選手・トロントFC所属

 1999年生まれ。横浜FマリノスとトロントFC アカデミーで活躍し、トロントで高校生活を過ごし、アメリカの大学14校からスカラーシップ付きのオファーを受け、アイビーリーグ名門・ダートマス大学に入学。2021年卒業し、トロントFCに入団。大学に進学後も夏休みの期間などはトロントFCに招待され練習に参加するなど、チームへの思い入れも強い。