「自分の世界を広げるためのツール」福家未紗さん カナダ滞在歴3か月|英語とわたしとカナダ

福家未紗さん

福家未紗さん

千葉県出身 / カナダ滞在歴3か月

【経歴】
2019年4月 日本の大学に入学
2022年8月 交換留学生としてトロントの大学に留学
2023年4月まで在学予定

 交換留学生としてカナダに来た福家さん。大学寮で暮らし毎日現地の大学に通い、ネイティブの学生に囲まれながら英語ライフを送る毎日だ。そんな福家さんの英語との向き合い方や勉強法など日々感じていることを語ってもらう。

転機は新型コロナウイルスの流行

 英語を学び始めたのは中学生からです。授業の科目として英語は好きで、苦手意識はありませんでした。大学1年生で受験したTOEICで、1か月前から対策しはじめて860点を取得したことは自慢に思っています。

 私にとって英語は勉強の科目として楽しめるものだったので、テストで良いスコアはとれても英会話はほとんどできませんでした。当初は留学したいとも海外で働きたいとも思っていなかったので、コミュニケーションで使える英語が身についていないことに問題は感じていませんでした。

 転機は、私が大学2年生になったときに起こったコロナウイルスの流行です。毎日のようにコロナウイルスや政治、社会情勢について問題が明るみになり、将来について不安が募る中で、「今の狭い視野のまま就職して後悔しないだろうか」と思うようになりました。
 日本の常識の外に一度出てみたいという思いが強くなり、大学2年生の終わりに留学を決断しました。

 カナダを選んだ理由は、ジェンダーの平等や移民の受け入れなど、多様な価値観を持つ人を受け入れている国として日本と比較してみたいと思ったからです。留学を決めてから英語を本格的に勉強するようになりました。

英語のリアルな発音を体で覚えるオーバーラッピング

 継続している英語の練習法は、英語の音声にぴったり被せて音読するオーバーラッピングです。カナダに到着してから、最も苦しんだことが英語を聞き取れないことだったので、リスニング力を急いであげようということで、この練習方法にたどりつきました。

 オーバーラッピングを行っていると、自分の発音が英語の音声に追いつくところは聞き取ることができ、反対に自分の発音では遅れてしまうところが聞き取れないことに気がつきます。倍速機能を駆使しネイティブスピーカーの発音をそっくり真似することで、英語のリアルな発音を体が覚えるようになりました。

交換留学生として毎日大学に通う

 大学生活の中で最も難しいのはディスカッションです。ネイティブの学生の専門用語を含んだ意見が飛び交う中で、まず話題についていくことが難しいです。さらに、自分の意見を組み立て意見を述べようと思っても、話題がすぐに移り変わるので発言することすらままなりません。今も苦戦中ですが、授業前に用語を確認したり課題の読み物について自分の意見をまとめたり、対策を講じています。

 また、大学の寮で暮らしているのですが、寮についてすぐ熱が出てしまい、コロナウイルスの影響で約10日間隔離をしなければなりませんでした。部屋の移動に関する指示を電話で受けたのですが、電話越しでかつ朦朧とした頭では何を言っているのかさっぱりわからず、適当に返事をしてしまいました。何とか移動はできたものの、隔離が始まって数日後に部屋の前にごみを置きにいった際に、オートロックで締め出されてしまいました。そのとき携帯は部屋の中で、知り合いもほとんどおらず、心臓が止まるかと思いました。最終的に、覚えていた寮のリーダーの部屋に行き鍵を開けてもらったのですが、あの時リーダーが寮にいなかったらと思うとぞっとします。

 今思えば最初の電話でオートロックのことについて話していたと思うので、それから分からないときに適当に返事をするのはやめようと誓いました。

日本のポップカルチャーの影響力を実感。英語を通して日本の再発見

同じ寮で暮らす韓国人の友達
同じ寮で暮らす韓国人の友達

 英語話者の友人と遊んでいた際に、「英語が上手くなったね」と言われたときは嬉しかったです。出会った当初は彼の話の半分も分からず愛想笑いばかりしていたので成長を感じました。

 また、友人と深い話ができたときは英語の成長とともに留学して良かったなと感じます。先日パキスタン出身の友人と話していた際に、パキスタンの政治の問題や宗教観について教えてもらうことができました。反対に、日本の政治や宗教について聞かれて、自分の意見を伝えて内容を理解してもらえたときも嬉しかったです。

カナダの大学内で、日本の大学について紹介するボランティアを行った
カナダの大学内で、日本の大学について紹介するボランティアを行った

 拙い英語の私と仲良くしてくれる友人たちに感謝すると同時に、日本のポップカルチャーの影響力を実感します。話しかけてくれる友人の多くは、日本の漫画やアニメがきっかけで日本の文化に興味を持っているからです。

 また、私が日本人だと名乗ると、多くの人が好意的に反応してくれます。自己紹介した際に「日本は世界で一番いい国だ」と言われたことがありました。ポジティブなイメージを持ってもらいやすい国に生まれたことは恵まれていると感じ、英語を通して日本の再発見にもつながりました。

英語をコミュニケーションの手段として使いこなし、社会問題や文化といった広いトピックについて、人の意見を聞き、自分の意見を持ち、そして発信することが夢

 人との交流を通して自分の常識から飛び出し新しい視点が見えることに面白さを感じています。例えば、カナダで生まれた人も、親はカナダ以外の国の出身である人が多いことに気づきました。大学の教授にそのことについて尋ねると、「市民権を持っていれば法的にはカナダ人だが、メンタリティとしてカナダ人であるかは難しい問題だ」と回答をもらいました。今まで当然のように使っていたカナダ人という言葉が自分の中で揺らいだ瞬間でした。カナダで出会う一人一人との交流を深めて、自分の常識外のことを知り、その発見を多くの人に発信したいです。

【一問一答】

  • カナダに来た時の英語力
    文法や単語の基礎はあるが、英語でコミュニケーションした経験がほぼない
  • オススメの学習ツール
    TED Talk(オーバーラッピング用
    Netflix「KonMari~人生がときめく片づけの魔法~」
    (英語の動画だが、日本人の方が出演されていて話についていきやすい)
  • 英語に関する資格や点数
    TOEIC 860点、IELTS 6.5
  • もし不自由なく英語ができたら?
    社会問題など複雑なトピックに関してディスカッションしたい