【Q&A付き】ビジネスを救え!カナダ政府による追加経済政策「Canada Emergency Business Account」 | RBC銀行解説

【Q&A付き】ビジネスを救え!カナダ政府による追加経済政策「Canada Emergency Business Account」 | RBC銀行解説

カナダのスモールビジネス・中小企業向け4万ドルの無利子ローン

3月27日にカナダ政府は、COVID-19による直接的な影響によって、運転資金に大きな打撃を受けているビジネスに対して、新たに「Canada Emergency Business Account」を通して4万ドルの無利子ローン(2023年1月1日まで)を提供すると発表しました。

4月9日前後から国内の金融機関は次々とオンライン申請の受付を開始したところです。このローンに関して、気になっているビジネスの方が多くいらっしゃると思いますので、「Canada Emergency Business Account」の全容に関して解説致します。

【申請条件】*カナダ政府の規定に基づく

・2020年3月1日時点で、カナダにおいてビジネスの運営を行っており、連邦税登録(Federal Tax Registration)をしている

*申請には、Canada Revenue Agency 発行のEmployer’s Account Number (Business Number) が必要。これは、000000000(9桁数字)XX(2桁アルファベット)0000(4桁数字)で構成される番号のことを指します。

・2019年に合計で$50,000 -$1,000,000の給与支払いがあったこと

・2019 T4 Statement of Remuneration PaidのBox 14によって、給与支払い金額の裏付けが可能なこと

・申請するビジネスがホールディング会社ではないこと

・2020年3月1日時点で、ビジネス口座を開設しており、尚且つ口座がアクティブとなっていること(休眠口座となっていない)

・借入資金の使用目的として、給与・家賃・光熱費・保険・不動産税等の遅延することができないビジネス経費の支払いのみに使用することを理解し、既存の未払いの借入や経費の支払い、配当金の支払い、それから報酬金の支払い等に使用してはいけないことに同意すること

【CEBAの特徴】

・2020年12月31日までの間、CEBAはリボルビング短期ローン(Revolving line of credit)として申請要件を満たすビジネスに付与される

・与信枠の限度額は$40,000

・2023年1月1日まで借入残高に関わらず金利0%

・2020年12月31日以降、リボルビング短期ローンにおける借入残高は、2025年12月31日を満期日とするリボルビングなしの5年長期ローンに切り替えられ、2023年1月1日より、年率5%の金利が借入残高に適用される

・2021年1月1日時点での借入残高の75%を2022年12月31日までに返済していれば、残りの25%の返済義務を免除。例) 2021年1月1日における借入残高$40,000。2022年12月31日までに$30,000を返済した。残りの$10,000は返済が免除される。

・2021年1月1日時点での借入残高の75%を2022年12月31日までに返済しなかった場合、全借入残高及び未払い利息に対して2025年12月31日までの返済が義務付けられる

【申請方法】

・ビジネス口座をお持ちの金融機関を通して、オンラインで申請。

*与信枠は、申請をした金融機関を通して付与されます。具体的な申請方法はお取引のある金融機関にお問い合わせください。

・複数の金融機関にビジネス口座を持っている場合は、メイン銀行を通して申請

・複数のオーナーがいるビジネスは、1名がビジネスを代表して申請

・申請時に2019 T4 Statement of Remuneration Paidを参照する必要性あり

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【よくある質問】

Q1. Sole ProprietorshipやPartnershipとして、ビジネスを行っていますが、申請できますか?

A1. 前述の通り、申請時にCRA発行のEmployer’s Account Number (Business Number)それから、T4が必要となり、これらの内どちらかをお持ちでない場合は、申請条件を満たしていないと判断されます。

Sole Proprietorshipの方は、Government of Canada’s COVID-19 Economic Response Planサイトにて別途申請可能なプログラムをご確認ください。(URL: www.canada.ca/en/department-finance/economic-response-plan.html)

Q2. 2019年における給与支払い総額は$50,000を超えているのに、メイン銀行から申請に関する知らせが来ないのはどうしてですか?

A2. メイン銀行としてご利用されている銀行に具体的な申請方法に関してお問い合わせください。
RBCをメイン銀行として利用しており、上記の申請条件全てを満たしているが、申請に関する通知が届いていない場合は、私の方までメールにてお問い合わせください。

Q3. メイン銀行に問い合わせた結果、申請できないと告げられました。どうしたら良いでしょう?

A3. カナダ政府運営のサイトより、申立てを行うことができます。(URL: http://www.cebaquestions.ca/ )

Q4. 2019年における給与支払い総額が$1,000,000を超えています。申請できますか?

A4. CEBAの対象外とはなりますが、Business Development Bank of CanadaとExport Development CanadaのBusiness Credit Availability Programの対象となるかもしれません。
(URL: http://www.canada.ca/en/department-finance/programs/financial-sector-policy/business-credit-availability-program.html)

また、Canada Emergency Response Benefitの申請内容もご確認ください。
Torjaさんの2020年4月1日付記事「解説】カナダ・トルドー首相が発表
「Canada Emergency Response Benefit (CERB)」の内容。新型コロナ3.25」
で詳しく言及されています。

Q5. カナダ政府のCEBA, BDCのBCAPのどちらの申請条件にも該当しませんでした。金融機関からビジネスに対する追加融資は可能ですか?

A5. 現在の事態がいつ収束し、経済がいつ回復するのか不確定要素が溢れているこの状況下において、民営銀行からビジネスに対する運転資金用の新規及び追加融資を望むのは正直、難易度がかなり高いです。ほとんどの銀行が、COVID-19による直接的な打撃を受けているビジネスに対する融資を一時的に見送っているのが現状だと推測します。

こうなった背景には様々な理由が考えられますが、主な理由としては、不確定な状況下においてビジネスのお客様が自己返済能力以上の借り入れをすることによる経済的負担を無くし、債務不履行になる可能性を排除するため、それから銀行自身の不良債権増加による経営悪化を防止するため等が予想されます。しかし、業界によっては、通常通り営業を行っている業界もあるので一概には言えません。

また、COVID-19による影響で、現在は営業休止の状態ではあるが、ビジネス・オーナー共に財務的に体力がある場合は、民営銀行からの融資が下りる可能性も十分にあり得ます。その場合、通常の審査よりも厳しい基準が設けられ、審査プロセスが長引くことが予想されます。

それから業界によっても審査基準が異なりますので、ケースバイケースでの判断になることでしょう。2020年4月号掲載の記事にも記述のある通り、金融機関ごとに各々のCOVID-19対応策が発表されていますので、お取引のある金融機関に詳細を伺うことをお勧めします。

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