コロナ禍でのコミュニティーへの貢献 University of Toronto|メープルバレー発。カナダの大学情報・アカデミア事情

コロナ禍でのコミュニティーへの貢献 University of Toronto|メープルバレー発。カナダの大学情報・アカデミア事情

 現在、トロント大学の3つのキャンパス(St. George、Mississauga、Scarborough)では立地やキャンパスの広さを利用して、COVID-19アセスメントセンターやワクチンクリニックをオープンしています。COVID-19パンデミック感染対策の一環であるこれらのサービスは、地域コミュニティーや保健所などと共同で行われています。

1.Mississaugaキャンパス(UTM)

 Mississaugaキャンパスでは2021年3月1日からTrillium Health Partnersとピール地域と共同でワクチンクリニックをオープンさせました。キャンパス内にある巨大な体育館には20か所のワクチンステーションとワクチン接種後の待機場所が設けられています(写真1)。

▲写真1 UTMスタッフメンバーが椅子の間を 測定している様子 Photo by Nick Iwanyshyn
▲写真1 UTMスタッフメンバーが椅子の間を測定している様子 Photo by Nick Iwanyshyn

 ワクチンクリニックは供給量にもよりますが、一日当たり2千から4千人の接種を見込んでおり(3月時点)、今後50万人以上へのワクチン接種を目指しています。Mississaugaキャンパスには研究用に使用されていた冷凍庫があり、現在はワクチン保管用として使用されています。体育館は、車椅子や高齢者の方でも車やバスなどで簡単にアクセスし易いようバリアフリー化されています。そして将来的には、各キャンパスのワクチンクリニックが学生や地域コミュニティーがボランティア活動など参加できる機会の提供や、医療や看護学生によるワクチンクリニック支援が出来るようにしたいとのことです。

2.Scarboroughキャンパス(UTSC)

 Scarboroughキャンパスでは2020年12月から2021年4月まで、Scarborough Health Network (SHN)とCentre for Immigrant and Community Services(CICS)との共同でCOVID-19アセスメントセンターを開設しました。スカボロー地区は新型コロナウイルス感染者が多くホットスポットに指定されているため、冬場の広いアセスメントセンターの開設は必須でした。アセスメントセンターはHighland Hallという新しい建物内にあり、出入り口に異なる空調設備が完備されているため、安全面に工夫されています。TTCバスループ前にあり、また駐車場も完備されているため、Mississaugaキャンパスと同じく簡単にアクセスし易くなっています。2021年6月からはワクチンクリニックに変わりました。

▲写真2 UTSC Highland Hall前にあるアセスメントセンターの看板 Photo: Scarborough Health Network(SHN)ウェブサイトより
▲写真2 UTSC Highland Hall前にあるアセスメントセンターの看板
Photo: Scarborough Health Network(SHN)ウェブサイトより

3.St. Georgeキャンパス

 St. Georgeキャンパスでは先住民が安心してワクチン接種が出来るようにと、先住民のお祭りPow Wowを取り入れたワクチンクリニックをトロント大学のVarsity Stadiumで行いました(写真3)。

▲写真3 トロント大学Varsity Stadiumで行われたワクチンクリニックPow Wowの様子 Photo by Johnny Guatto
▲写真3 トロント大学Varsity Stadiumで行われたワクチンクリニックPow Wowの様子
Photo by Johnny Guatto

 6月の週末に行われたこのワクチンクリニックでは、およそ200人が1回目または2回目のワクチン接種に訪れたそうです。このワクチンクリニックを開催したNa-Me-Res 代表Teekens氏は「COVID-19パンデミックでは、保健医療セクターにおける先住民族への不公平さが明らかになりました。そのため、特に人種差別などを経験したコミュニティーメンバーが医療サービスを受けたくても躊躇してしまう傾向があります」と話しています。

 Teekens氏はまた、「私たちは通常はNational Indigenous People’s Dayに近い週末にPow Wowを行っていましたが、コロナ禍でキャンセルとなっていました。今回のワクチンクリニックPow Wowではドラマーやダンサー、またはMétisやInuit出身のパフォーマーたちがまた演技が出来る場所を作ることが出来ました(写真4、5)」と話しています。

Photo by Johnny Guatto
Photo by Johnny Guatto
Photo by Johnny Guatto
Photo by Johnny Guatto

▲写真4、5 ワクチンクリニックPow Wowのパフォーマンス

 トロント大学Dalla Lana School of Public Health付属Waakebiness-Bryce Institute for Indigenous Health (WBIIH)をはじめ、様々な医療系学部のメンバーがボランティアとして参加しました。