カナダの大学を卒業後カレッジへ進学する理由とは?|メープルバレー発。カナダの大学情報・アカデミア事情

カナダの大学を卒業後カレッジへ進学する理由とは?|メープルバレー発。カナダの大学情報・アカデミア事情

 カナダには4年制大学の他にCommunity College(カレッジ)と呼ばれる教育機関があります。カレッジでは主に就職に直結する実践的なスキルを短期間で習得するコースや、大学と提携があり編入制度が確立されているコースなどがあります。カレッジの最近の傾向として、カレッジ卒業または大学卒業を条件としたコースが増加しており、大学生が卒業後カレッジに進む割合やその理由は、カナダ政府や教育関係者の間では気になっているトピックでもあります。

1.14%のカレッジ卒業生は学士号取得者

 今春に発表されたカナダ統計局のリポートによると、最近のカレッジ卒業生のおよそ14%は学士またはそれ以上の学位を持っていることが分かりました。表1によると、オンタリオ州、ブリティッシュ・コロンビア州、ノバスコシア州がカナダ大学学士号を持ったカレッジ卒業生の割合が平均よりも高いことが分かります。特にオンタリオ州とブリティッシュ・コロンビア州のカレッジでは、カレッジ卒または大卒を条件としたコースを多く提供しているためと思われます。

2.更に学士号と同様の分野を極める

 カナダ大学学士号を持ったカレッジ卒業生の多くは、大学ではSocial and Behavioural Sciences and Law(社会科学など)やHumanities(人文科学)を専攻しており、カレッジでも同様の分野を学んでいることが分かります(表2)。これらの分野は一般的に、複数の資格を要求されることや他分野より給与が低いことなどにより、カレッジで更に専攻分野を学ぶ学生が増えています。また、大学で医療系専攻そしてカレッジでも医学系を学んだ卒業生(78%)、大学でビジネス専攻そしてカレッジでもビジネス系(56%)、大学ではサイエンス専攻そしてカレッジでは医療系(50%)となっています。このことは、学士号を持ったカレッジ卒業生の多くは、大学での専攻分野以外(例えば建築やエンジニアリング)をカレッジで学ぶのではなく、就職に有利になるようカレッジで更に専攻分野を極めるという傾向があることが分かります。

3.大学を卒業後5年以内にカレッジを卒業する傾向

 最近の傾向として、学士号を持ったカレッジ卒業生の81%は35歳以下、19%は35歳以上となっています。また、35歳以下のカレッジ卒業生の79%が学士号取得後5年以内にカレッジを卒業することに対して、35歳以上のカレッジ卒業生の88%は学士号取得後5年以降にカレッジを卒業する傾向にあります。表3では、この2つのグループと男女別に学士号を持ったカレッジ卒業生の主な専攻分野を表しています。35歳以下のカレッジ卒業生は男女共に広報、ジャーナリズム、法律などの社会科学分野を専攻する傾向に対して35歳以上のカレッジ卒業生は男性では、建築やエンジニアリング、女性では教育分野を専攻する傾向にあります。この傾向は、学士号を持っていないカレッジ卒業生にも見られ、35歳以上のカレッジ卒業生は自身の専攻分野を極めるよりも、キャリアチェンジや子育てを終えて再就職などといった理由があるのではないかと思われます。

 今回は、カナダ大学学士号を持ったカレッジ卒業生に焦点を当てましたが、学士号を取得後に修士課程に進む割合が一番高く、2番目に特化された学部課程(主に教育、法律、看護学)、3番目にカレッジ進学、4番目に大学のサーティフィケート(Certificate)またはディプロマ(Diploma)コースの順となっています。