Concordia University 博士号取得者の就職先の傾向|メープルバレー発。カナダの大学情報・アカデミア事情

Concordia University 博士号取得者の就職先の傾向|メープルバレー発。カナダの大学情報・アカデミア事情

 2年前、トロント大学での博士号取得者の就職事情をお伝えしましたが、今回はケベック州にあるConcordia Universityの大学院が、「Global Impact」というプロジェクトで同大学を2009-2019年に卒業した博士号取得者の就職事情を調査し、昨年公表されました。なんと卒業生の92%が調査に参加したとのことで、博士号取得者のキャリアパスに高い関心が表れています。

1.Concordia UniversityのPhD取得者

 Concordia Universityはジャーナリズムや芸術などの分野において有名な大学ですが、PhD取得者が一番多い学部は、意外にもエンジニアリング・コンピューターサイエンスで、そのうちの80%を男性が占める割合になっています(表1)。

表1)Concordia Universityにおける学部別、男女別PhD取得者

 また、全学部のPhD取得者を合わせると男性(61%)女性(39%)と男女比率がかなり違うことが分かります。そしてConcordia University は留学生が多い大学でも有名です。分野別留学生のPhD取得者の最も多い学部から、エンジニアリング(41%)、サイエンス(23%)、ビジネス(22%)、芸術(21%)、社会科学(18%)、人文科学(11%)となっています。

表2)Concordia University PhD取得者の卒業後5年間の主な就職先

2.PhD取得者のキャリアパス

 表2のグラフでは、Concordia University PhD取得者の1年から5年間の就職先の変化を見ることが出来ます。卒業後1年のPhD取得者の55%はPost-secondary education(大学などの高等教育機関)でポスドク(博士研究員)や非常勤講師などに就きますが、卒業後5年を経過すると民間企業などへ転職し49%に減少します。また、ビジネス、サイエンス、エンジニアリングの分野では民間企業へ、芸術系分野ではNPOやフリーランスになる傾向が見られます。この卒業後数年経過するとPost-secondary sectorから民間企業などへ転職する傾向は、University of British ColumbiaやアメリカのStanford Universityの調査結果と一致します。またConcordia University PhD取得者の傾向として、女性はフリーランスの道へ、男性は民間企業に就職するパターンが多くあり、留学生のPhD取得者は民間企業へ就職する傾向にあります。

表3)現在のPhD取得者の職種別割合

3.PhD取得者の現在の職種

 現在のPhD取得者の職種を見ると、半数以上がPost-secondary education(オレンジ色)でアシスタント・プロフェッサーやポスドクとしてキャリアを積んでおり、またPhD取得者の1/4は民間企業(青色)でエンジニアやプログラマーなどの職種で活躍しています(表3)。現在のPhD取得者の22%がテニュアトラックの教員で、女性(21%)男性(23%)と男女比率はほぼ同じです。またテニュアトラックの教員が最も多い分野から、ビジネス(69%)、社会科学(27%)、人文科学(22%)、エンジニアリング(21%)、芸術(14%)、サイエンス(11%)となっています。女性が最も多く活躍している分野はPost-secondary educationで、男性は民間企業での活躍が目立ちます。また、女性PhD取得者のなんと78%が起業家や個人事業主として活躍されています。

Concordia University PhD取得者の約半数以上が卒業後もモントリオール市に住みそして就職しているので、これからPhDを目指したいそしてモントリオール市で就活をしたい人にはConcordia Universityをお勧めします。