COVID-19パンデミック状況下での留学生への対応 University of Toronto|メープルバレー発。カナダの大学情報・アカデミア事情

COVID-19パンデミック状況下での留学生への対応 University of Toronto|メープルバレー発。カナダの大学情報・アカデミア事情

10月下旬以降、留学生のカナダへの入国制限が緩和されました。トロント大学もカナダの各大学同様に留学生を迎え入れるにあたり、しっかりとしたCOVID-19感染対策計画を実施しています。トロント大学Meric Gertler学長は「留学生はトロント大学コミュニティーに不可欠であり、また彼/彼女らは全ての学生や教職員たちに素晴らしい経験をもたらしています。3つあるキャンパスでは、留学生がこのパンデミックの中でも安全に過ごせるように対策を講じています」と話しています。

1.留学生の出身国は159ヵ国!

 トロント大学は159ヵ国から約2万3千人の留学生を受け入れており、学部生は1万9千人、大学院生は約4千人、2020秋学期の統計では新入生の約30%が留学生になります。国別ランキングトップ5は中国、インド、アメリカ、韓国、香港となり、日本は9位になっています(表1)。そのため、トロント大学では、多くの留学生が安全にカナダに到着し14日間の自己隔離が出来るよう、入念にCOVID-19対策計画を立て実行しています。

(表1)トロント大学の留学生の出身国ベスト10

 例えば、学生への自己隔離プランの作成、空港でのピックアップ、学生寮等での自己隔離スペースの確保、食料品や生活必需品等のサポートや毎日の健康状態のチェックなど、多岐にわたります。また学生にはスナック、布マスク、体温計などが入ったWelcome Kitsと呼ばれるパッケージも用意してあるそうです。

 これらの留学生へのサポートは全て無料で、Joseph Wong氏(U of T’s interim vice-president, international)は「これは留学生に対するトロント大学のコミットメントだ」と話しています。

2.自己隔離中の留学生へのサポート

 Trinity Collegeで数理統計学とコンピューターサイエンスを学ぶ大学生のPiya Sialさんは、秋学期開始前にインドからトロントに戻ってきました。トロント大学のスタッフは、Piyaさんの自己隔離プランの作成やカナダへの再入国プロセスの手伝い、そしてトロント・ピアソン国際空港からシャトルバスで自己隔離が出来るホテルへの送迎などをサポートしました。また自己隔離中は食事はすべて部屋の前まで運ばれ、大学のヘルスサポートスタッフはPiyaさんの健康状態を毎日チェックしました。

 Piya さんと同じように730人以上の留学生がこのように安全にキャンパスライフに戻れるよう、自己隔離後はオンラインや対面授業の選択、学生寮での一人部屋の確保、またオンラインやフィジカルディスタンス下でのアクティビティへの参加などが計画されています。

 2週間の自己隔離中でも留学生は他の学生とのコミュニケーションを図る目的で、オンラインでのヨガやフィットネス、ボードゲーム・ナイト、料理教室など、大学のスポーツ・レクリエーション課などが主催するこれらのすべてのアクティビティに無料で参加できます。また「MY SPP」と呼ばれる携帯アプリで35ヵ国の言語で電話でのカウンセリングが受けられ、また大学のカウンセリングサービスもアプリから予約できます(写真)。

トロント大学の学生はMY SPPアプリでリアルタイムのサポートや各サービスへの予約が可能
トロント大学の学生はMY SPPアプリでリアルタイムのサポートや各サービスへの予約が可能

 Piyaさんは14日間の自己隔離中でも、大学のヘルスクリニックのスタッフや所属する大学の関係者との密接な連絡や、家族や友達との携帯メッセージのやり取りなどで孤独を感じなかった、と話しています。そのうちの一人、Shashwat Aggarwalさんは認知科学と経済学を専攻する大学3年生で、Piyaさんと同時期に同じホテルの1階下のフロアで自己隔離をしていました。Shashwatさんは出身国インドでのオンライン授業は大変だったけれど、トロント大学に戻ったことでTrinity Collegeの生徒会長の役割や、学生たちのキャンパスライフを向上させるためにオンラインイベント開催などの計画が出来る、と話しています。自己隔離を終えてキャンパスに戻った二人は、早速ピザを頼んで食べたそうです、もちろん2メートルのフィジカルディスタンスを保ちながら。

 トロント大学ではこのような留学生への自己隔離を含めたCOVID-19パンデミックへのサポートを年間を通して行っていく予定です。