(続)私のフィールドトリップ | Nunavut(ヌナブト準州)への視察|メープルバレー発。カナダの大学情報・アカデミア事情

(続)私のフィールドトリップ | Nunavut(ヌナブト準州)への視察|メープルバレー発。カナダの大学情報・アカデミア事情

 前月号に引き続き、今回も私のフィールドトリップ、ヌナブト準州への視察についてお伝えしたいと思います。

1.ヌナブト準州への視察の目的

 私が参加したSentinel Northが主催するInternational Arctic Field School(IAFS)には主に6つのトレーニングのテーマがありました。それは①Basics of Arctic snow(北極の雪の基礎)、②Snow and Permafrost(雪と永久凍土)、③Arctic Hydrology(北極の水文学)、④Community Engagement, International Networking and Collaboration in Research(コミュニティエンゲージメント、研究における国際的なネットワークやコラボレーション)、⑤Infrastructure and Roads on Permafrost (永久凍土上のインフラと道路)、⑥Resources Access, Food Security and Well-being(資源へのアクセス、食の安全、福祉)などでした。その他にも、北極研究の研究者や政府関係者とカナダ国内外から来ている大学院の学生たちとの交流や、アクティビティを通してイカルイトのコミュニティを知る機会がありました。

2.毎日分刻みのトレーニング

海氷上での研修
海氷上での研修 ©Sentinel North / Université Laval

 朝7時から朝食が始まり夜10時まで、毎日色々なトレーニングやアクティビティがありました。基本的に午前中は様々な研究者や先生による授業やディスカッションが行われ、午後はフィールドワークを中心とする体験型の研修、夜は夕食を原住民の方と食べたりお話を聞いたり、またオーロラ鑑賞や博物館などへ出かけるアクティビティがありました。

イカルイト周辺でのオーロラ観測
イカルイト周辺でのオーロラ観測 ©Sentinel North / Université Laval / Photo: J. Griffiths

 またチームワーク作りの一環で、フィールドワークは各チームごとに行動をし、一緒に雪や氷の観察・測定をしたり、イグルー(圧雪ブロックで作る一時的なシェルター、かまくらに近い)を一緒に制作したり、チームごとに課題を与えられ最終日にプレゼンしたりしました。Nunavut Arctic CollegeのEnvironmental Technology Program(ETP)の学生もチームに入っていたので、カナダ国内外の大学院生とETPの学生(中にはイヌイットの学生も)との間で異文化交流や国際交流が見られたりしました。

チームで積雪量の測定をする様子
チームで積雪量の測定をする様子

 最終日のディナーは研修中にお世話になった方々を招いて、Arctic CharやCaribouなどのイヌイットの伝統的な料理を食べたり、イヌイット独自のThroat Singing(喉のみを使って歌う喉歌)のパフォーマンスや、昔から伝わるゲーム(主に体を使う)などをして楽しんだりしました。若いイヌイットの中にはアスリート並みに身体能力が高い学生が多く、力くらべや高く飛び跳ねたりして最も会場を沸かせていました。

3.フィールドトリップで学んだ事

 今回のヌナブト準州への視察での収穫は、同じく北カナダ研究をしている研究者の方々とのネットワーキングやイカルイトコミュニティまたはイヌイットの方々と知り合う機会が得られ、私自身の今後の研究やキャリアパスに大きく影響を与えました。もしまたこのような体験型研修や視察のチャンスがあったら是非参加したいと思います。