COVID-19の影響に対する 大学の対応とこれから University of Toronto|メープルバレー発。カナダの大学情報・アカデミア事情

COVID-19の影響に対する 大学の対応とこれから University of Toronto|メープルバレー発。カナダの大学情報・アカデミア事情

 新型コロナウイルス感染防止対策として、カナダの大学では様々な対応や取り組みが行われています。今回私が特に気になったCOVID-19関連のトロント大学ニュースをお伝えしたいと思います。

バーチャル卒業式

 COVID-19感染対策により、トロント大学のSpring Convocation(春の卒業式)はオンラインで執り行われることになりました。これは193年間行われてきた式典の中で初めてとなるスタイルで、私もとても気になるバーチャルイベントになります。6月2日に行われる卒業式では100ヵ国に散らばる卒業生およそ1万5千人が75の異なる学位を授与されることになります。

 Prime Minister’s Youth CouncilメンバーのHabon Aliさんと、高齢者やホームレスなどへの布マスクを作るボランティア活動Stitch4Coronaの創立者Kramay Patelさんの2人が卒業生代表として、各学部・学科からの学生アンバサダーと一緒にバーチャル卒業式に参加します。

Convocation Hall前での Habon Aliさん(左)とKramay Patelさん(右)
Convocation Hall前での
Habon Aliさん(左)とKramay Patelさん(右) ©UNIVERSITY OF TORONTO

 トロント大学のプレジデントMeric Gertler学長は「今回は卒業生一人一人と壇上で会って祝福することは出来ないが、特に最後の冬学期にCOVID-19の影響を受けたであろう卒業生全員が卒業を成し遂げた事をとても誇りに思います。またCOVID-19が落ち着いたときには、改めて通常の卒業式を皆さんと一緒に開催したいと思います」と話しています。

 バーチャル卒業式の模様は、当日バーチャルで参加できない卒業生に考慮して数週間ほど録画で見ることが可能とのこと。TwitterなどのSNSではハッシュタグ#UofTGrad20で沢山の卒業生たちの写真やツイートを見ることが出来ます。

“Feed the Six”地域コミュニティー活動

 トロント大学スカボローキャンパスでは、“Feed the Six”と呼ばれるボランティア活動が3月中旬から活発に行われています。このボランティア活動はチャリティーグループ「Hand Up Toronto(HUT)」と国際的な救援組織「GlobalMedic」が主体となって、スカボローキャンパスのHighland Hallで地域のフードバンク用に大口で購入した食料品を個別に再包装し、必要なコミュニティーに配るボランティアをしています。

 ボランティア参加者はスカボローキャンパスの学生やスタッフ以外にも、John Toryトロント市長や区議会議員も参加したそうです。米500g、大麦、各種豆類、缶類、子供向けのチョコレートなどが箱詰めされ、ドライブ・イン初日には1,100世帯に渡されました。

ボランティアの説明を受けるJohn Toryトロント市長(中央)
ボランティアの説明を受けるJohn Toryトロント市長(中央) ©UNIVERSITY OF TORONTO

 HUTメンバーのRaza Rafiq氏によると、トロント全体では、2万5千世帯がこのサービスに登録しており、スカボローキャンパス地域では約4千世帯が食料不足に陥っているそうで、COVIDパンデミックによって毎月の家賃を払うことと、家族を食べさせていくことの選択に迫られる家庭を出来るだけサポートしていきたい、と話しています。この活動を知り、私もボランティアに参加したいと思いました。

スカボロキャンパス駐車場で食料品が詰まった箱の受け渡し
スカボロキャンパス駐車場で食料品が詰まった箱の受け渡し ©UNIVERSITY OF TORONTO